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神澤 孝夫 院長の独自取材記事

伊勢崎クリニック

(伊勢崎市/伊勢崎駅)

最終更新日:2023/08/09

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック main

伊勢崎市上植木本町にある「伊勢崎クリニック」は、2020年7月に開院した訪問診療を中心に行うクリニック。同院の患者は主にポストアキュートと呼ばれる急性期を脱したけれども引き続き介護や健康管理が必要となる患者や、最期を自宅で迎えたい人が占める。容態が急変した場合の臨時往診や連携病院への紹介などにも24時間365日体制で対応する。院長の神澤孝夫先生は、もともと脳神経外科を専門としていたが、ポストアキュートの受け入れ先が十分にないことに危機感を覚え、地元での開業を決意した。「複数の疾患を抱える高齢の患者さんをトータルで診ることがわれわれの使命です」と話す神澤院長にさまざまな話を聞いた。

(取材日2023年4月7日)

要介護やがん患者の緩和ケアなど訪問理由はさまざま

どのような方が訪問診療の対象となりますか?

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック1

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中の後遺症で介護が必要な方、認知症や神経難病疾患で介護が必要な方、緩和ケアを必要とするがん患者さんや在宅で抗がん剤治療を継続される方、在宅で最期を迎えたいとお考えの方や、その他支援が必要な方などです。現在は高齢者の方を中心に訪問していますが、どうしても主治医が見つからないといった理由で、小児の方も数人担当させてもらっています。お薬が必要な患者さんに関しては、処方箋を発行しています。調剤薬局での受け取りが難しい場合でも、調剤薬局の方にご自宅まで配達してもらうことも可能です。

訪問診療で可能な検査や、対象エリアについても教えてください。

検査に関しては血液検査、尿検査、便検査や簡易的なエコー検査、心電図検査はご自宅で可能です。大きな機器が必要な検査は、提携医療機関をご紹介します。主な診療圏は、当院を起点とした半径4キロメートル圏内のエリアです。最大診療圏は半径16キロメートルです。

介護や医療に関する相談も受けつけていると聞きました。

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック2

特に介護保険も含めた手続きに関する情報は皆さん意外と知らなくて、いざ自分の身内に介護が必要になった時に何から始めていいかまったくわからないという方も多いんです。それは皆さんだけの責任ではなくて、相談窓口のハードルが少し高いことも要因の一つだと思います。ですから、われわれのようなクリニックが介護や医療に関する相談を受けつけることも役割の一つだと思っています。当院にはメディカルクラークという専門家が5人おりますので、お電話いただければ介護保険のいろはから、介護の段階に応じたアドバイス、どの病院にかかったらいいかといった情報もお伝えできると思います。皆さんにはぜひ気軽に頼っていただきたいと思っています。

ポストアキュートの受け入れ先になりたい

開業の理由を教えてください。

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック3

私はもともと脳神経外科を専門としていて、新潟大学や名古屋大学、米国などで研究に勤しんでいました。脳血管研究所美原記念病院などでは長く臨床も経験しました。救急などに対応していると、病院で急性期を乗り越え、退院しなければならない患者さんの中には受け入れ先がなく、介護難民となる方もいるという事実を目にする機会が多くありました。また、そのようなポストアキュートの患者さんが、病院から自宅に戻って、自宅で治療を受けて改善をめざす事例も見てきました。だったら、自分がポストアキュートの患者さんの受け入れ先となって、できるだけ元気だった頃の生活環境に近い状態で過ごせるよう、お手伝いをしようと思ったのが開業のきっかけです。

米国では入院期間が短いと聞きますが、その経験も開業に影響を与えたのでしょうか?

そうですね。私は米国で研究した経験がありますが、米国は日本と比較して入院期間がとても短いそうです。手術後でも当日か翌日には帰宅して、外来に通いながら傷の処置をしていくんです。仮に入院していたとしても、処置をする時間は1~2時間なので、それ以外の時間は家にいてもいいですよね。家にいてもある程度の治療を続けることはできるんだなと実感しました。

この地を選んだのはなぜですか?

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック4

ここは私の地元ですが、これまでこの地で働く機会がありませんでした。ですので、医師のキャリアの最後は地元に貢献して終わりたいという想いが強くあり、ここに戻ってきたのです。開業にあたり、訪問診療をやることで地域に大きく貢献できると考えました。また、都会でさまざまな医療施設が整っている場所よりは、地方に訪問診療のニーズがあると考えたこともこの地を選んだ理由の一つです。ただ、その反面、経営面ではリスクでもありました。訪問の範囲が広く、患者さんのお住まい同士が離れているので移動に時間がかかります。そのため、多くの患者さんを診ることが難しくなります。経営が成り立つのかといった不安材料もありながらの開業でした。

開業してみてどうでしたか?

開業してみて、そのような不安は必要なかったことがわかりました。想像以上に訪問診療のニーズは高かったのです。スタッフの数も、開業時は医師が私、看護師2人、事務3人でしたが、3年足らずで医師8人を含めた総勢30人に増員しました。当院では、患者さんの具合が急に悪くなった際に駆けつける緊急往診を多数行っていますし、お看取りも担当しますので、複数人の医師が連携しながら365日24時間いつでも対応できる体制を整えています。

介護する側も孤立しないでほしい

訪問診療のニーズはなぜ増えているんでしょうか?

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック5

昔は脳卒中やがんなどを理由に60代や70代で亡くなる方が多くいました。しかし近年は医療技術が進歩したことでがんなどの生存率が高くなり、その結果、脳卒中、がん、認知症、心疾患など複数の疾患を抱える高齢の患者さんが増えています。そういった方は引き続き介護や看護が必要なのですが、大規模病院は主に急性期の患者さんに対応するのが役割ですので、急性期を経過した場合は退院しなければいけません。そういった背景から、訪問診療のニーズが増えているのだと思います。複数の疾患を抱える患者さんをトータルに診るという、病院とは異なる役割を発揮するのは、われわれの使命であると感じています。

やりがいを感じる瞬間を教えてください。

たくさんありますよ。例えば、高齢の方の中には救急車に抵抗のある方も多いです。何かあったときに当院にご連絡いただき、サポートができたとしたら、良かったなと感じられると思います。訪問診療と聞くとお看取りが主かと思われるかもしれませんが、実際は改善をめざされる方もたくさんおられます。そういった方を少しでも支えることができれば、やりがいにつながると思いますね。

最後にメッセージをお願いします。

神澤孝夫院長 伊勢崎クリニック6

介護をされる方にお伝えしたいのが、どうか孤立しないでくださいということです。患者さんは体の具合が悪いので、どうしても言い方がきつくなったり、家族に反発してしまったりすることもあります。また、家族だけで話し合って煮詰まっていくと、家族関係が悪くなることもあるんです。ですので、できるだけオープンにして、悩み事や困り事を周りに相談してほしいと思います。第三者の視点が入ると、簡単に解決することもあるんです。私はこれまで、どうしてこんなになるまで相談しなかったのだろうという事例を見てきましたし、逆に、家族円満で、笑顔で最期を看取れた事例も見てきました。家族が円満でいれば、看取りも決して悪くないんです。そういった最期を迎えるためにも、ぜひ気軽にお電話していただきたいと思います。

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