山本 雅章 院長の独自取材記事
やまもとまさ歯科クリニック
(箕面市/箕面船場阪大前駅)
最終更新日:2024/06/24

箕面市船場にあるクリニックビルの3階に「やまもとまさ歯科クリニック」はある。口腔がんや交通事故などで顎の骨や歯を失った人に、口腔機能を取り戻すため顎顔面補綴治療を行ってきた山本雅章先生が院長を勤めるクリニックだ。同院ではその治療経験を生かし、顎顔面補綴治療後のメンテナンスはもちろん、虫歯の治療や入れ歯、ホワイトニング、インプラント治療などを幅広く提供している。「体を健康にすることはできませんが、お口から患者さんの健康にアプローチしていくことはできると思っています」と話すとおり、歯そのものの治療だけでなく、その根本原因を探り再発予防にも力を入れているという院長に、顎顔面補綴治療患者への思いや、診療において重視していることなど、詳しく聞いた。
(取材日2020年11月27日)
顎顔面補綴治療で培った経験を生かし、開業
顎顔面補綴治療に長年従事されていたそうですね。

はい、大学の6年生の時、現在は新潟大学の補綴学分野の教授と准教授である先生方の顎顔面補綴治療に感銘を受け、医療を志すものとして一助になればと思ったことが、この道に進んだきっかけです。顎顔面補綴治療とは、口腔がんや先天奇形、外傷などによって、骨や顔面の一部が失われた人に特殊な入れ歯やインプラント治療などを用いてその部分を補い、食事をしたり会話したりできるように修復していくことをいいます。例えば、口腔がん手術で口と鼻が大きくつながってしまった部分をふさぎ、さらには失った顔や歯を補うような入れ歯を作っていくのが私たちの仕事になります。生活での機能面もさることながら、顔面の変形や見た目を気にして「外出できない」「仕事に就けない」という人も大勢いますから、精神面での支えともなる重要なものとなっています。
開業のきっかけを教えてください。
顎顔面補綴治療を必要とする患者さんには、もっと受け皿となる場所が必要だと思ったことがきっかけです。大学病院では助教を務め、後進の育成にも尽力してきましたが、まだまだこの治療を知らない人は多いと感じていました。例えば、口腔がんは口腔外科でも耳鼻咽喉科でもどちらでも手術をすることがあるのですが、口腔がん手術後の機能回復のための顎顔面補綴治療というもの自体の認知がまだ十分とは言えず、手術された人がこの先どのように食事をしたり会話をしていくのかなどの歯科治療面でのフォローがされないまま退院されていたこともあったようです。苦しんでいる患者さんがまだいるのではないか、ならばもっと外に出て交流を図るべきではないかと思い、開業に至りました。
病院やクリニックとの連携にも注力されていると聞きました。

悩みを抱えた患者さんはまだまだいると思っています。現在は大阪大学歯学部附属病院、大阪大学医学部附属病院などとの病診連携はもちろん、同じクリニックビル内などをはじめ診診連携にも力を入れています。今後は地域の耳鼻科や歯科にも働きかけ、たくさんの人に知ってもらうとともに、患者さんを一人でも多く救えるようなネットワークの確立も行っていきたいと考えています。
クリニックでは、どのような治療を行っていますか?
当院は顎顔面補綴治療専門のクリニックというわけではありませんから、一般的な虫歯や歯周病の治療、ホワイトニング、歯列矯正、定期的なクリーニングなど幅広く対応しています。顎顔面補綴治療は患者さんが生活に必要とする機能を取り戻していくため、さまざまな技法を取り入れていかなくてはいけません。ですから、入れ歯や詰め物の治療はもちろん、インプラント治療なども得意としています。また、私自身が3人の子どもの父親ですから、小さな子どもさんの診療も得意ですよ。ご家族皆さんで通院していただけると思います。
患者の暮らしを一番に考えた治療を提案
診療の際にはどのようなことに気をつけていますか?

きちんとお話しすることを大切にしています。治療計画などはもちろんですが、特に治療後の痛みが予見できる時には、必ずお伝えしています。「次回の治療まで」というと1週間前後ありますから、その時間を患者さんが安心して過ごしていただけるようにと考えています。また、治療技術でいうレベルの向上だけでなく、治療に納得してもらえるというレベルも必要だと思っています。治療箇所はその都度カメラで撮影し、患者さん自身がすぐに目で見て確認できるようにして納得していただけるような治療の提供を心がけています。
コミュニケーションを大切にされているのですね。
どの患者さんともお付き合いは長くなりますし、身内の一人のような気持ちで接しています。特に食べにくい、しゃべりにくいといった悩みは生活の中のことです。世間話を通してプライベートなことまでしっかり聞くことで、その方の生活背景や大事にしていることがわかってきますから、そこから治療に必要な情報を得ることもあるんですよ。私が接してきた患者さんの中には末期がんの方もたくさんいまして、なんとか食事を楽しんでもらいたい、生きるために食べられるようにしてあげたいと、その人の暮らしを第一に考えて懸命に治療に励んできました。程度の差はあったとしても、歯が痛い、腫れる、しゃべりにくい、歯並びが気になる、見た目をきれいにしたいなど、誰にでも悩みはあるものですから、その一つ一つに対して丁寧に伺っていくことをめざしたいと思っているんです。
クリニックづくりで、こだわった点を教えてください。

感染症対策ですね。新型コロナウイルス感染症への対策はもちろんですが、それ以前から患者さんには安心安全で自信を持って提供できるような環境づくりが大切だと感じていました。例えば、お口の中に入れる器具は当然どのクリニックも滅菌したものを使っていますが、ヨーロッパ基準のレベルにこだわった滅菌器や洗浄機を導入しています。また院内には医療用空気清浄装置を設置し、衛生的な給水設備も整えました。ほかにも顎の内部構造まで確認するために用いる歯科用CTなども導入し、診断や治療に生かしています。駐車場やバリアフリー、車いすからの移動も楽にしていただけるような診察台や空間づくりなど、通院のしやすさという点にもこだわっています。
かかりつけ歯科医師として、気軽に相談してほしい
ところで、お休みの日はどのように過ごされていますか?

家族と一緒に過ごすことが多いですね。私の趣味はロードバイクなんです。夢はいつか家族でツーリングすることなんですが、まずは子どもを自転車好きにしようと、子どもたちは自転車、私は走って、この千里中央辺りを散歩していることが多いですね。一緒に自転車で走るには、私のスピードが速すぎて難しいんですよ。早く追いついてもらいたいですね。
最近増えたと感じる患者さんのお悩みはありますか?
食いしばりや噛みしめです。子どもの歯ぎしりや若い人の顎関節症、高齢者の歯根破折など、全世代の方に増えています。特に最近のご高齢の方は健康年齢が上がってアクティブですので、スポーツなどで食いしばった時に顎の力に歯が負けてしまうことがあるようです。歯が割れた、抜けたから歯を入れる、ということが治療ではなくて、まずは原因を探っていくことが必要だと考えています。また、そういった時のため、日頃からすぐに相談できるかかりつけ歯科医院を持つことは重要だと思います。実は私も食いしばり対策として就寝中にナイトガードを使用しているんですよ。人生が長くなった時代だからこそ、先を見据えた治療提案も重要視しています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

長年、ご高齢の方の診療を行ってきて、皆さんおっしゃることの一つが、「今になって食べられないことがどんなにつらいかわかった」ということです。「食べる」という行為はすなわち、「幸せ」を感じる大きな出来事なんです。歯を健康に保てば、その先には幸せがあること、そして同時に、歯の健康は日々の積み重ねがなければ得ることはできないことを皆さんに知っていただきたいですね。当院では、患者さんの心や暮らしに寄り添った診療に努めています。一緒に歯の健康寿命を延ばしていきたいと思っていますので、いつでも気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/20万円~、ホワイトニング/3万円~、インプラント治療/45万円~