ピロリ菌除菌はゴールでなくスタート
「面の検査」で見逃しを防ぐ
中原小杉元住吉 ほしおか内科・消化器・内視鏡クリニック
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日:2026/01/16
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日本人の胃がんの99%はピロリ菌が原因とされているが、検査方法によってはリスクを見逃されているケースが少なくない。また、服薬中のため検査ができない、除菌に失敗したなどの理由で、適切な診断や治療を受けられずにいる患者も多い。「中原小杉元住吉 ほしおか内科・消化器・内視鏡クリニック」で院長を務める星岡賢英先生は、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つベテランで、内視鏡検査だけでなく自由診療のピロリ菌除菌にも対応する。「ご本人だけでなくご家族の健康も守り、地域医療に貢献したいと考えています」。今回は星岡院長に、同院におけるピロリ菌検査と治療の考え方について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年12月18日)
目次
胃がんリスクを大幅に高めるピロリ菌、早期発見・早期治療のために受診を
- Qピロリ菌とは何ですか? どんな人が感染しているのですか?
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A
▲定期的な検診を通してピロリ菌の検査の受診を推奨する
ピロリ菌はもともと土の中にいる菌で、井戸水や川の水を介して人に感染します。現代では主に唾液感染が多く、離乳食の時期に親から虫歯菌と一緒にもらってしまうケースが多いです。5歳未満で感染することがほとんどで、大人になってからの感染は1%以下となります。特に注目すべき点は、ピロリ菌感染がある場合、同じように育った家族も唾液を介して感染している可能性が高いということです。そこで当院ではご本人だけでなく、祖父母、おじ・おばまで含めて家族全体のフォローを推奨しています。ピロリ菌は次世代への「感染の連鎖」を断ち切ることが重要です。ご本人だけでなく、お子さんやご家族全員を救う視点を大切にしています。
- Qなぜピロリ菌の検査・除菌が胃がん予防に重要なのですか?
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A
▲ピロリ菌を持っていることによるリスクを理解しよう
ピロリ菌に感染すると胃に炎症が起こり、胃がんのリスクが約15倍になります。日本人の胃がんの99%はピロリ菌が原因とされ、適切な検査と治療が胃がん予防の鍵です。胃がんのリスクを下げるためには、20代までに除菌することが重要です。ただし「除菌成功」=「検診卒業」ではありません。除菌後もピロリ菌が残した傷痕は消えず、特に50歳以降に除菌した方は年間0.2〜0.6%の胃がんリスクが残ります。また除菌後の胃がんは見つけにくいという特徴もあります。ですので当院では、除菌はゴールではなくスタートとお伝えし、除菌後も年1回の定期的な検査を推奨しています。
- Qピロリ菌の診断はどのように行うのでしょうか?
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A
▲早期発見早期治療につなげるためにも検査をすることが大切
ピロリ菌の検査方法は「点」の検査と「面」の検査に分けられます。「点」の検査は内視鏡で胃粘膜の一部をつまんで調べる方法などがありますが、ピロリ菌は胃全体に均一に存在しないため、見逃しのリスクがあります。私はこのリスクについて2020年に研究発表を行いました。「面」の検査には尿素呼気試験・便中抗原検査・胃液PCR検査などがあり、当院でも「面」の検査を採用しています。また、健診でよく使われる採血の抗体検査は、現在の感染か過去の感染かを区別できません。そのため抗体検査だけでの診断を避け、必ず「面」の検査で確認することが推奨されています。
- Qピロリ菌検査結果が陽性の場合、どのような治療を行うのですか?
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A
▲精密なピロリ菌のPCR検査が可能
ピロリ菌の1次除菌では、胃酸抑制の向上をめざし、胃薬と2種類の抗生剤を使用します。2次除菌では別の抗生剤を使用します。1次・2次はともに保険が適用されます。さらに当院では、新しい抗生物質を用いた3次除菌も積極的に実施しています。1次・2次・3次除菌と段階を踏んで、精度の高い除菌を実践しています。2021年1月から2026年1月までの間で、当院では300件のピロリ菌除菌治療を行いました。これまでの実績を踏まえ、患者さん一人ひとりに合わせた対応を心がけています。
- Q全自動遺伝子解析装置を用いたピロリ菌検査も行っているとか。
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A
▲患者の負担を軽減するためにさまざまな工夫をしている当院
通常、尿素呼気試験などでは判定精度の維持のために胃痛を我慢して2週間ほど休薬が必要ですが、この検査方法では抗生剤や胃薬の影響をほぼ受けないため休薬が不要という点が患者さんにとって最大のメリットです。また、胃カメラ時に本来捨てる胃液を使うため患者さんへの追加負担がなく、約50分で当日結果が出ます。さらに、ピロリ菌の有無に加えて、1次除菌で使用される抗生物質への耐性の有無も同時に判定できるため、1次除菌の失敗リスクを事前に予測でき、より効率的な治療計画を立てることが可能です。ただし、保険適用の関係で段階的に治療を進める必要があり、患者さんと相談しながら方針を決めていくことが大切です。
自由診療費用の目安
自由診療とはピロリ菌の3次除菌/初回(診察・処方箋発行):1万円、除菌判定(2ヵ月後の呼気検査):7000円 ※別途、調剤薬局にて薬代(1万円程度)の支払いが必要です、胃内視鏡検査/1万円~、大腸内視鏡検査/2万円~

