全身を診ることで見えてくる
肝臓疾患のリスクと予防策
中原小杉元住吉 ほしおか内科・消化器・内視鏡クリニック
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日:2026/01/20
- 保険診療
症状がないまま進行するサイレントキラー、肝臓疾患。多くの人が痛みや不調を感じないため問題視されにくく、健診で指摘されても放置してしまうケースが後を絶たない。放置すれば肝硬変や肝臓がんなどへ進行するだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞など全身の重大な病気のリスクも高まることが明らかになっている。そんな中、臓器横断的な視点で診療にあたる、日本肝臓学会肝臓専門医・日本消化器病学会消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・日本内科学会総合内科専門医の資格を有する「中原小杉元住吉 ほしおか内科・消化器・内視鏡クリニック」の星岡賢英院長は、初期の脂肪肝の見逃し防止に注力してきた。「症状がない時こそ、将来を守るチャンスです」と語る星岡院長に、肝臓疾患と全身疾患の関連性について詳しく教えてもらった。
(取材日2025年12月18日)
目次
肝臓の炎症は全身の血管炎症のサイン。脂肪肝が招く心筋梗塞・脳卒中・腎臓病のリスク
- Qこちらではどのような検査が受けられるのでしょうか?
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A
▲早期発見、早期治療でリスクを抑えられると話す星岡院長
大学病院クラスの精密検査を身近に提供できる体制を整えています。2020年の開院時に導入した高性能超音波診断装置は、当時、国内のクリニックでは極めてまれな導入例でした。肝硬度測定こそ普及し始めていたものの、脂肪肝の数値化機能を搭載した性能が高い機器は高額で、クリニックへの導入は採算面から敬遠されていました。しかし「利益より、地域の方々に基幹病院と同等の精密検査を提供したい」という信念で導入を決断。現在は脂肪量測定も保険適用となり、窓口負担を抑えた専門的評価が可能です。「なんとなく脂肪肝」で終わらせず、5年の運用実績を持つ当院で、数値による客観的な評価を改善への第一歩にしていただきたいです。
- Q「全身を診る」ことの重要性について教えてください。
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A
▲身近なクリニックへの受診は、今の健康状態を知るきっかけとなる
病気は一つの臓器だけで完結することはほとんどありません。例えば脂肪肝の患者さんは、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症など生活習慣病を複数併発していることがほとんどです。現在、日本人の約3割が脂肪肝を持つとされる国民病ですが、単に肝臓だけの問題ではなく、全身の代謝異常の最初のサインです。実際、お酒を飲まない人の脂肪肝炎「NASH」も、非アルコール性から代謝異常関連へと名称が変更されました。お酒を飲まないことが原因ではなく、肥満や糖尿病などの代謝異常が原因であることが明らかになったためです。だからこそ、当院では一つの臓器に絞らず全身を診ることで病気のリスクを発見し予防に努めています。
- Q一つの疾患や数値を改善するだけでは不十分ということですね。
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A
▲患者との対話を大切にし、全身の総合的な診療をめざす
はい。例えば血糖値や肝臓の数値だけ良くしても、他に異常があれば心筋梗塞や脳梗塞のリスクが残ります。尿酸値が高いと痛風や尿路結石が心配されますが、近年の研究では尿酸塩が心臓や血管に沈着し、脳梗塞・心筋梗塞・狭心症などの心血管系リスクを高めることが明らかになりました。また、睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病の悪化と深く関連しています。これらは互いに影響し合うので、一つだけに注目する時代は終わったのではないかと思います。ですので、当院ではそれぞれがリンクし合う観点から患者さん一人ひとりの全体像を把握しながら診療にあたっています。
- Q肝臓疾患と全身の病気の関連について教えてください。
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A
▲頸動脈エコーをはじめ検査機器が充実し、詳しい検査ができる
脂肪疾患は自覚症状がないため放置されがちです。しかし、肝臓の炎症は全身の血管でも炎症が起きやすくなっているサインです。特に糖尿病が併発すると、腎臓病や末梢神経障害で手足の切断に至るリスクも上昇します。「たかが脂肪肝」と軽く考えがちかもしれませんが、実は脂肪肝がある方は心血管疾患で亡くなるリスクが高いことが報告されています。症状がないまま突然、脳卒中や心筋梗塞で倒れて初めて気づく方も少なくありません。健診で指摘されたら放置せず、検査を受けることが将来の健康を守るために極めて重要です。
- Qこちらのクリニックならではの取り組みについて教えてください。
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A
▲生活習慣を改善できるよう、患者を温かくサポートする
当院は、日本肝臓学会肝臓専門医・日本消化器病学会消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・日本内科学会総合内科専門医を保有する医師が必ず診察することが大きな特徴です。内視鏡で胃や腸を見るだけでなく、肝臓から全身を診るという包括的な視点で臓器横断的な診療を行っています。また、高性能超音波診断装置を早くから導入しました。開院当時、脂肪量測定はまだ保険適用外でしたが、地域の肝臓を守る医師としてこの精度は不可欠だと確信し、あえて上位の機種を選びました。利益重視なら導入を躊躇するような高価な機器ですが、保険適用となった今、より多くの方に提供できるようになったことを本当にうれしく思います。

