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白 英 院長の独自取材記事

HAKU Breast Care Clinic

(横浜市都筑区/センター北駅)

最終更新日:2020/12/15

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「もしかしたら乳がんかもしれない」。そんな不安が頭をよぎった時に気軽に受診できるクリニックが身近にあれば、乳がんで命を失う人が減るのではないか。そんな思いで2020年11月に開院した「HAKU Breast Care Clinic(ハク ブレストケアクリニック)」。院長の白英(はく・えい)先生は、乳腺外科を専門とする乳がん治療の専門家。患者の緊張や不安な気持ちが少しでも和らぐようにと天然木をあしらった院内には、白先生が選んだグリーンや雑貨が並ぶ。乳がんは早期発見・早期治療ができれば、治癒も期待できると言われる今だからこそ、精度の高い乳がん検診をもっと気軽に受けてほしいと話す白先生に、乳がん診療にかける熱い想いを聞いた。
(取材日2020年12月1日)

女性だからこそわかり合える心身の痛みに寄り添う診療

まずはクリニックの特徴について教えてください。

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当院は乳がんや線維腺腫、葉状腫瘍などの良性腫瘤、乳腺症、乳腺炎など、乳房に起こる病気を専門的に検査診断し、治療する「女性のための乳腺専門のクリニック」です。スタッフは全員女性で、診療時のデリケートな不安や悩みに寄り添い、「来てよかった」と思っていただけるようなきめ細かな対応を心がけています。ありがたいことに開院から1ヵ月足らずで、乳房に痛みがあったり、しこりを心配している方、乳頭からの分泌液が気になる方、乳がん検診等で精密検査を勧められた方などがホームページなどで調べて来てくださいました。中には、「ずっと気になっていたけれど、どこで診てもらえばいいのかわからず悩んでいました。女医さんが診てくれると知って来ました」と開院初日に意を決して来てくださった方もいました。開院したことで少しでも地域の皆さまのお役に立てたら本当にうれしいですね。

乳腺専門のクリニックを開院しようと思った理由をお聞かせください。

もともと私は昭和大学藤が丘病院で消化器外科医として内視鏡検査やがんの手術、化学療法など行っていましたが、第2子出産を機に地元のクリニックに勤務していました。当時女性の患者さんからの乳房の痛みやしこりに関する相談も多かったのですが、正直あまり携わっていない分野でした。女医としてのキャリアを伸ばすためにも一度乳腺をきちんと勉強し直そうと、聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科で約12年、3人の子どもを育てながら、細々ではありますが乳がんの診断から手術、再発治療、緩和ケアまで難症例を含む多くの経験を積むことができました。以前からこの地域に乳腺を診るクリニックが不足していると感じていたので「だったら自分がやろう」と思ったのです。もともと胃腸症状や内科的な疾患も診てきましたが、より専門性を高めて女性が相談しやすいように乳腺専門のクリニックとして、2020年11月に開院しました。

日々の診療で大切にしていることを教えてください。

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病院で手術をする時は麻酔前に必ず患者さんに触れ「大丈夫ですよ」と言うようにしています。後から「あの時の一言で安心できた」と言ってくださる患者さんがとても多いんです。当たり前ですが患者さんはいつも不安だと思うんです。ですから「もしかしたら、がんかもしれない」という不安を抱いて来られる患者さんに対しては、的確な診断と丁寧でわかりやすい説明を大切にしています。例えば、ただ「様子をみましょう」と言うのではなく、「これはがんの可能性は極めて低いので、しばらく様子を見ても大丈夫です」と言えば、不安はだいぶん和らぐのではないでしょうか。一人ひとりの患者さんの性格や考え方、生活背景などに配慮しながら、少しでも治療に対して前向きな気持ちになっていただけるような声かけを心がけています。

大学病院との連携で、高度な医療を身近なクリニックで

先生は今も乳がんの先端の医療現場でご活躍されているそうですね。

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週に一度、聖マリアンナ医科大学附属ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで外来を担当しています。ここは乳がんに特化した診療施設で、「World Class Care(世界水準のケア)」をモットーに、先進の画像診断や治療、高度な専門性をもつスタッフによるチーム医療が行われています。常に新しい乳がんの診断法や治療法に携わることで、患者さんにとってより良い選択肢を提案できればと考えています。

乳がんの早期発見のために、どのような検査を行っているのでしょうか。

乳がんは自覚症状が出る前の早期発見であればあるほど、治療への期待が高まります。当院では問診や視触診の他、無症状の段階である乳がんの超早期に特徴的な微小石灰化の描出能を高めたマンモグラフィ検査や超音波検査を導入しています。マンモグラフィは経験豊富な女性技師がきめ細かに痛みに配慮して検査し、短時間で精密な検査をめざしています。これらの画像診断はその日のうちに結果が確認できるため、不安な気持ちで何日もお待たせすることはあまりありません。画像診断でしこりが発見された場合は、しこりに太めの針を刺して組織を一部採取し、良性か悪性かを判断する針生検なども行います。院内の滞在時間は1~1時間半程度。何か気になる所見が見つかった場合は、昭和大学病院や聖マリアンナ医科大学病院、横浜労災病院などを紹介しています。

乳がん患者の術前術後のフォローアップにも力を入れているそうですね。

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乳がんの術後は、継続した治療と定期的な経過観察が必要です。乳がんの術後は10年にわたるフォローアップが必要といわれており、患者さんとは長いお付き合いになります。笑顔でいても、仕事や育児を抱えての治療には、さまざまな不安がつきまとうはずです。つらい症状に対し、「それは薬の副作用です」で済ませず患者さんを取り巻く環境の変化や不安な気持ちに寄り添うことで、「またここへ来て話を聞いてもらえてホッとする」と思っていただけたらうれしいですね。また乳がんのタイプによっては非常に大切な治療の一つである分子標的治療も行っています。大きな病院では薬の処方や点滴を受けるだけでもかなり待ち時間があるので少しでもそのストレスを解消できたらと思っています。

乳がんで命を失う人を一人でも少なくするために尽力

印象に残っている患者とのエピソードを教えてください。

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がんの手術後に再発して治療をずっと頑張って来られた患者さんがいらっしゃいました。その方は「つらい抗がん剤治療は受けたくない」と言われましたが、がん治療の現場は日進月歩で、新薬が承認されたり、新しい治療法が開発されたりする世界。何度も「諦めずに頑張りましょう」と声をかけ続けながら、その方に合いそうな薬を使い、私も必死に治療しました。でも最終的にその方の命を救うことはできませんでした。その方が亡くなってしばらくしてから、ご家族の方が「最期まで先生に診てもらえて幸せだった」と書かれた手紙を持ってきてくださったんです。そんなふうに思っていただけたことをありがたく思うと同時に、このように乳がんで命を失う方を一人でも少なくしたいと切実に思いました。

今後の展望をお聞かせください。

1つはもっと気軽に乳がん検診や乳腺のことならなんでもご相談いただけるよう、「来院してよかった」「また来よう」と思っていただけるクリニックにしていくことです。そして乳がんになっても一生懸命頑張っている方々をサポートすること、もう1つは、どうしても今の医療では救えない患者さんに最後まで寄り添うこと。将来的には訪問診療も行いたいと思っています。これは開業医でなければできないことで、最後まで患者さんに寄り添うために開院したといっても過言ではありません。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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乳腺専門のクリニックの役割は乳がんの早期発見ですが、乳房の痛みは乳腺症、しこりはがんとは無関係の良性のしこりであることがほとんどです。そのような方に対して、きちんと検査をして心配ないことを伝え、安心していただくことも大切な役割だと思っています。仕事と家庭の両立、子育て、受験、介護、キャリアの維持、更年期障害など、女性の悩みは尽きません。だからこそ、セルフケアも含め乳がんに関する正しい情報をわかりやすく伝え、少しでも気になることがあれば、すぐに受診してほしいと切に思います。なんともなければ安心できるし、初期の乳がんであっても、きちんと治療を受ければ今までどおりの日常生活に戻ることが望めます。不安な気持ちを解消するためにも、もっと気軽に乳腺専門のクリニックを利用していただければと思います。

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