白 英 院長の独自取材記事
HAKUブレストケアクリニック
(横浜市都筑区/センター北駅)
最終更新日:2024/11/20

早期発見・早期治療ができれば、治癒も期待できるようになった乳がん。「もしかしたら乳がんかもしれない」と不安になった時に、気軽に受診できるクリニックが身近にあれば、乳がんで命を失う人が減るのではないか。そんな思いで2020年に「HAKUブレストケアクリニック」を開業した白英(はく・えい)院長。子育て世代の多いエリアで、多忙な女性が安心して受診できる乳腺専門クリニックをめざしている。乳腺診療の他に検診後の精密検査や精度の高い乳がん検診、術後のフォローにも力を入れる白院長に、同院の特徴や乳がん診療への思いを聞いた。
(取材日2024年6月28日)
乳腺外科の専門性と患者に寄り添う診療姿勢が特徴
まず、クリニックのあらましをお聞かせください。

当院は乳がんや乳腺良性腫瘤、乳腺症、乳腺炎など、乳房に起こる病気や乳がん検診を専門的に行う「女性のための乳腺専門のクリニック」です。スタッフは全員女性で、診療時のデリケートな不安や悩みに寄り添い、「来て良かった」と思っていただけるようなきめ細かな対応を心がけています。開業以来、多くの患者さんが来てくださっています。マンモグラフィ、超音波検査、細胞診、針生検や吸引生検などの組織検査など乳がんの診断に必要な検査はすべて行えます。地域柄、30代でがんが見つかる方も少なくありません。当院で乳がんと診断された場合は速やかに大きな病院に紹介し、紹介先の病院で手術を受けて、こちらで経過観察やホルモン療法を受けるという一連の流れがスムーズにできる体制を整えています。開業して丸4年になりますが地域に根づいてきたなという実感があります。
この街で開業された経緯を教えてください。
もともとは昭和大学藤が丘病院で消化器外科医として内視鏡検査、手術、化学療法などを行っていました。次第に女医として女性の患者さんのニーズに応えるべく、乳腺疾患に興味を持つようになり、この分野を学ぶために聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科に入局しました。そこで乳腺外科医として乳がんの診断から手術、再発治療、緩和ケアまで難症例を含む多くの経験を積みました。そして若い世代の多いこの地域に乳腺疾患を扱うクリニックが不足していると常々感じていたので、今までの経験を生かしこの地域に貢献できたらという思いで開業することにしました。
日々の診療で大切にされているのはどのようなことですか。

「もしかしたら、がんかもしれない」という不安を抱いて来られる患者さんに対しては、まずは話をしっかり聞き、適切な診断と丁寧でわかりやすい説明を大切にしています。画像の読み方や過去の比較画像などもお見せして説明しています。乳がん術後の方には一人ひとりの患者さんの性格や考え方、生活背景などに配慮しながら、少しでも治療に対して前向きな気持ちになっていただけるように声かけを行っています。良性疾患でも乳がんの経過観察でも大きい病院と同じレベルの診療を行うことを目標にしています。
患者さんに寄り添うスタッフさんたちの対応も印象的ですね。
そうなんです。女性にとってデリケートな領域ですし、不安な思いで来られたり、ショックを受けたりする患者さんに、私が何も言わなくても、しっかり話を聞くという基本的な姿勢を守って、うまく対応してくれるので助かっています。休み時間や朝の時間に患者さんに対する情報の共有や指導を行っていますし、スタッフのほうからわからないことなどは積極的に聞いてくれるのでコミュニケーションはよく取れていると思います。
精度の高い乳がん検診で、早期発見をめざす
検診で行う検査について教えてください。

乳がんは自覚症状が出る前の早期発見であればあるほど、治療への期待が高まります。当院では無症状の段階である乳がんの超早期に特徴的な微小石灰化の描出能にこだわったマンモグラフィ機器を導入しています。マンモグラフィは経験豊富な女性技師がきめ細かに痛みに配慮して検査を行っています。また、超音波検査も超音波講習会を受けた高い技術を持った院長もしくは技師が行います。触診とマンモグラフィ、超音波検査の結果はその場で総合判定して説明し、今後どのように検診を続けていったらいいかアドバイスしています。
どのようなメリットがありますか。
一般的な乳がん検診では、何か異常があれば要精査になり、当院のような専門クリニックや病院で精密検査を受けることになります。当院で自費検診を行った場合は、しこりがあるが良性のものだから心配はないのか、あるいはがんが疑われるのか、精密検査を行うのか、速やかに判断することができます。患者さんも1回の受診で済み、早く必要な治療に結びつけることもできます。精度の高い乳がん検診を当院で行っていることを知っていただき、活用していただきたいと思っています。
術前術後のフォローアップにも力を入れているそうですね。

乳がんの術後は継続した治療と経過観察など10年にわたるフォローアップが必要といわれ、患者さんとは長いお付き合いになります。ですから、仕事や育児を抱える患者さんが治療を続けやすい環境を提供したいと考えています。乳がんと診断され涙していた方も、手術を受けて「無事帰ってきました」と元気に戻ってきてくださるような環境を整えたいと思います。大きい病院ではなかなか時間がなく相談できなかったことや聞きづらかったことをここでどんどん言っていただいて、悩みが少しでも解決できればと思います。乳がんのタイプによっては非常に大切な治療の一つである、分子標的治療やホルモン治療による再発治療も行っています。
自分の胸を意識するブレストアウェアネスを広めたい
ところで、今も乳がんの先端の医療現場でご活躍されているそうですね。

はい。週に1度、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで外来診療、大学病院で手術を担当しています。ここは乳がん診療に特化した施設で、先進の画像診断や治療、専門性を磨いたスタッフによるチーム医療が行われています。乳がんの鑑別診断に有用なMRI検査や、良悪性の鑑別が必要な石灰化の診断の際に行うマンモトーム生検などは、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで速やかに検査できるように、連携体制を整えています。私自身外来診療を続けることで常に新しい乳がんの診断法や治療法をアップデートし、自身のクリニックでの診療に還元し患者さんのお役に立ちたいと思っています。
専門的な立場から、気になることはありますか。
依然として乳がんはどの年代にも多いですから、自分の胸を意識する生活習慣、ブレストアウェアネスを心がけ、月に1度ぐらいは胸に触って異常がないかを確認し、1〜2年に1度は検診を受けていただきたいですね。進行した状態でがんが見つかるのは、しこりに気づいてもどこを受診したらいいのかわからないと悩まれたり、受診を先延ばしにされたり、というような方です。乳腺クリニックはいまだにハードルが高いと感じられる方が多いので、そのハードルをなるべく下げたいと思っています。また、他施設で受けた乳がん検診の検査結果に専門用語が多かったり、反対に簡潔過ぎたりとわかりにくいと悩まれる方も多いようです。そうした場合も相談していただければ、読み解きながら説明させていただいています。
今後の展望をお聞かせください。

まず、気軽に乳がん検診や乳腺のことならなんでもご相談いただけるクリニックにしていくことです。そして乳がんになっても一生懸命頑張る方々をサポートすること。術後の患者さんへのフォローアップにも力を入れ、ホルモン療法や副作用についてじっくりと時間をかけて説明したいですね。また近隣の大学病院とは密接に連携していますが、さらに離れた地域からも患者さんはいらっしゃっていますので連携の範囲ももっと広い範囲に広げていきたいと思っています。
最後に読者にメッセージをお願いします。
乳腺専門のクリニックの役割は乳がんの早期発見ですが、乳房の痛みの伴う乳腺症やしこりは、がんとは無関係の良性のものであることも多く、そのような方に対してきちんと検査をして心配ないことを伝え、安心していただくことも当院の大切な役割です。少しでも気になることがあれば、後回しにせず、受診して不安な気持ちを解消してください。もし乳がんと診断されても、きちんと治療を受ければ今までどおりの日常生活に戻ることも望めます。もっと気軽に乳腺専門のクリニックを利用していただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診:視触診+マンモグラフィ+超音波/15400円~、視触診+超音波/8800円、視触診+マンモグラフィ/8800円