白 英 院長の独自取材記事
HAKUブレストケアクリニック
(横浜市都筑区/センター北駅)
最終更新日:2025/09/12

早期に発見・治療ができれば、完治をめざせることも多い乳がん。「もしかしたら乳がんかも」と不安になったとき、気軽に受診できる専門クリニックが身近にあれば、乳がんで命を失う人が減るのではないか。そんな思いで2020年に「HAKUブレストケアクリニック」を開業した白英(はく・えい)院長。子育て世代の多いエリアで、多忙な女性が安心して受診できる乳腺専門クリニックをめざしている。乳腺診療のほかに精度の高い乳がん検診や精密検査、術後のフォローにも力を入れる白院長に、同院の特徴や乳がん診療への思いを聞いた。
(取材日2025年6月25日)
女性の不安や悩みに寄り添う乳腺専門クリニック
クリニックのあらましをお聞かせください。

乳がんや乳腺良性腫瘤、乳腺症、乳腺炎など、乳房に起こる病気の診療や乳がん検診を専門的に行う「女性のための乳腺専門クリニック」です。すべて女性のスタッフがデリケートな不安や悩みに寄り添い、「来て良かった」と思っていただけるようなきめ細かな対応を心がけています。マンモグラフィ、超音波検査、細胞診、穿刺吸引細胞診や針生検といった組織検査など、乳がんの診断に必要な検査はすべて可能です。地域柄比較的若い世代の受診が多く、30代でがんが見つかる方も少なくありません。当院で乳がんと診断された場合は速やかに適切な病院に紹介し、手術を受けてからこちらで経過観察やホルモン療法を受けていただくという一連の流れがスムーズにできる体制です。開業して丸5年ですが、ご高齢の方も増えるなど患者層も広がり、地域に根づいてきた実感があります。
この地域で開業されたのはなぜですか?
もとは昭和大学藤が丘病院(現・昭和医科大学藤が丘病院)で消化器外科の医師として内視鏡検査、手術、化学療法などを行っていました。次第に女性医師として女性の患者さんのニーズに応えたいと乳腺疾患に興味を持つようになり、この分野を学ぶために聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科に入局。そこで乳腺外科医として乳がんの診断から手術、再発治療、緩和ケアまで難症例を含む多くの経験を積みました。常々、若い世代の多いこの地域に乳腺疾患を扱うクリニックが不足していると感じていたことから、今までの経験を生かしこの地域に貢献したいと開業を決めました。
診療で大切にされていることは?

「もしかしたらがんかも」という不安を抱いて来られる患者さんには、まず話をしっかり聞き、適切な診断と丁寧でわかりやすい説明を提供するようにしています。画像の読み方や過去の比較画像などもお見せして説明し、理解を促します。乳がんが見つかった方や術後の方には、その方の性格や考え方、生活背景などに配慮しながら、少しでも治療に対して前向きな気持ちになれるような声かけを工夫しています。良性疾患でも乳がんの経過観察でも、大きい病院と同じレベルの診療を行うことが目標です。
患者さんに寄り添うスタッフさんの対応も印象的ですね。
女性にとってデリケートな領域ですし、不安な思いで来られたり、ショックを受けている患者さんにはきちんと話を聞いて対応するように心がけてくれています。「スタッフさんのおかげで安心できた」、「説明がわかりやすかった」と患者さんから感謝のお言葉をいただくことも多いです。休み時間や朝の時間に患者さんの情報共有や指導を行っていますし、わからないことなどは積極的に聞いてくれるのでコミュニケーションはよく取れていると思います。
高精度のマンモグラフィと超音波検査で早期発見に尽力
乳がん検診について教えてください。

乳がんは発見が早期であればあるほど、治療への期待が高まります。そこで当院では乳がんの早期発見に特徴的な微小石灰化の描出能にこだわったマンモグラフィ機器を採用し、大学病院で長く検査を担当してきたマンモグラフィ専門の女性スタッフが常勤しています。痛みに対してもベテランならではの配慮が可能です。超音波検査も、超音波検査に関する専門的な知識・技術を持つ院長もしくは専門のスタッフが担います。検査スタッフ増員により検査枠も拡大し、お待たせする期間も短縮できました。触診とマンモグラフィ、超音波検査の結果はその場で総合判定して説明し、今後どのように検診を続けていったらいいかのアドバイスもしています。
こちらで検診を受けるメリットについて伺います。
一般的な乳がん検診では、何か異常があれば当院のような専門クリニックや病院で精密検査を受けることになります。当院で自費検診を行った場合は、しこりがあるが良性のものだから心配はないのか、あるいはがんが疑われ精密検査を行うべきなのか、速やかに判断することができます。患者さんにとっては1回の受診で済み、早く必要な治療に進むことができる点がメリットです。
術前術後のフォローアップにも力を入れているとか。

乳がんの術後は継続治療と経過観察などで10年にわたるフォローアップが必要とされ、長いお付き合いになりますから、仕事や育児を抱える方でも通院を続けやすい環境を提供したいと考えています。乳がんと診断され涙していた方も、手術を受けて「無事帰ってきました」と元気に戻って来られる環境を整えたいですね。大きい病院では時間がなく相談できなかったことや聞きづらかったことをここでどんどん言っていただいて、悩みが少しでも解決できればと思います。また、乳がんのタイプによっては非常に大切な治療の一つである、分子標的治療やホルモン治療による再発治療も行っています。さらに、ホルモン治療中の方でリスクが高まりがちな骨粗しょう症を見逃さないため超音波式の骨密度測定装置も導入しました。
ブレスト・アウェアネスを広め、気軽に受診できる場に
今も乳がんの先端の医療現場で診療されているそうですね。

週に1度、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックでの外来診療と、同大学病院での手術を担当しています。乳がん診療に特化した施設で、乳がんの鑑別診断に有用なMRI検査や、良悪性の鑑別が必要な石灰化の診断の際に行うマンモトーム生検などが必要な場合は、ここで速やかに受けられるように連携体制を整えています。常に新しい乳がんの診断法や治療法をアップデートし、自身のクリニックでの診療に還元したいです。
専門的な立場から気になることはありますか?
依然として乳がんはどの年代にも多く、自分の胸を意識する生活習慣、ブレスト・アウェアネスを心がけていただきたいですね。月に1度程度は胸に触って異常がないかを確認し、1〜2年に1度は検診を受けてください。進行した状態でがんが見つかるのは、しこりに気づいてもどこを受診したらいいのかわからないと悩まれたり、受診を先延ばしにされたり、というような方です。乳腺クリニックはいまだにハードルが高いと感じられる方が多いので、そのハードルを下げたいですね。また、他施設で受けた乳がん検診の検査結果に専門用語が多かったり、反対に簡潔すぎたりでわかりにくいと悩まれるような場合も、ご相談いただければ読み解きながら説明させていただきます。
今後の展望をお聞きします。

乳がん検診や乳腺のことならなんでもご相談いただける場でありたいです。そして乳がんになっても一生懸命頑張る女性たちをサポートすること。術後の患者さんへのフォローアップにも力を入れ、ホルモン療法や副作用についてじっくりと時間をかけて説明したいですね。また近隣の大学病院とは密接に連携していますが、さらに遠方からの患者さんも多いので連携の範囲ももっと広げていきたいです。
最後にメッセージをお願いします。
乳がんは低年齢化が進んでおり、35歳未満で発症する若年性乳がんも増えています。また好発する40代は女性にとってたいへん忙しい時期で、仕事や家事、育児に追われ、自分のことはつい後回しにしてしまうという方も。後悔しないために、年に1度は時期を決めるなどして時間をつくって検査を受けてください。乳腺専門のクリニックの役割は乳がんの早期発見です。とはいえ乳房の痛みの伴う乳腺症やしこりは、がんとは無関係の良性のものであることも多く、そのような方に対してきちんと検査をして心配ないことを伝え、安心していただくことも当院の大切な役割と考えています。少しでも気になることがあれば後回しにせず受診して不安な気持ちを解消してください。もし乳がんと診断されても、きちんと治療を受ければ今までどおりの日常生活に戻ることも望めます。もっと気軽に乳腺専門のクリニックを利用していただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診:視触診+マンモグラフィ+超音波/1万5400円~、視触診+超音波/8800円、視触診+マンモグラフィ/8800円