寺本 園子 院長の独自取材記事
碧の杜歯科くりにっく
(安八郡神戸町/北神戸駅)
最終更新日:2024/10/10

北神戸駅から徒歩2分、青をベースとした外壁がひときわ目立つ建物が「碧の杜歯科くりにっく」だ。関西の歯科クリニックなどで研鑽を積んだ、2児の母親でもある寺本園子院長が「小さなお子さんでも怖がらない、歯医者さんらしくない歯医者さんを」と2020年8月に開業した。木の素材を生かした待合室は、まるで北欧風カフェのよう。大人用診察室からはキッズスペースが確認でき、授乳室やおむつ替え室も備えるなど、子ども連れに配慮した造りが特徴的だ。また、訪問診療にも対応し、嚥下の指導や、内科・外科クリニックとの医科歯科連携も行っている。一般歯科のほか小児歯科、矯正歯科にも対応する寺本院長に、クリニックの特徴、矯正を始めるべきタイミングや注意点、メンテナンスの大切さなどについて聞いた。
(取材日2022年3月4日/情報更新日2024年2月9日)
老若男女がリラックスできるクリニックをめざす
建物の外観や内装、インテリアに先生のこだわりが感じられますね。

歯科は、小さいお子さんには「怖い、痛い」というイメージがつきまとい、大人になってもそのまま敬遠される方は多いと思います。そんなイメージを払拭して、すべての世代の方が癒やされてリラックスして通えるような「歯医者さんらしくない歯医者さん」をめざしています。建物は北欧で見られるような、緑の森に囲まれた青壁の家といった雰囲気ですね。待合室は北欧風カフェを参考に、木の温かな質感を生かした内装にしました。ゆったりとしたスペースになっていますので、診療前後はフリードリンクを片手にくつろいでいただければと思います。
レイアウトや設備から、母親でもある院長の気配りが感じられます。
駐車場から診察室まで、バリアフリー構造にしました。車いすやベビーカーを利用される方でも移動しやすいので、高齢者の方もお子さん連れのお母さんもストレスなく来院できるのではないでしょうか。また、診察室は子ども用と大人用に分けています。お子さんが少しでも不安を感じずに治療が受けられるようにと、子ども用診察室の天井にはテレビも設置しました。大人用診察室はキッズスペースの隣で、大きな窓ガラスを通してお子さんの様子がわかるようになっていますし、授乳室やおむつ替え室もありますので、小さいお子さん連れのお母さんもぜひご来院ください。
お父さまの内科・外科クリニックとの医科歯科連携もされているとか。

父はここから車で約5分程度の場所で開業医をしています。医科と連携することで、例えば局所麻酔を打った後、過度な緊張などが原因で気分が悪くなってしまった場合や、注射部位の炎症がひどいなど歯科領域で対応できないような場合でも、すぐにバトンタッチできる体制が整えられるのです。現在スタッフは歯科衛生士や、受付を兼務する助手を合わせて9人です。子育て中の人もいるので、気兼ねなく休みが取れるようにサポートし合える、働きやすい環境づくりもしています。子育て経験のあるお母さんが中心ですので、小さいお子さんの気持ちを気遣ってくれるなど、とても助かっていますね。
さまざまな利点のある小児矯正に注力。成人矯正も対応
小児矯正に力を入れているそうですね。いつ頃から始めると良いのでしょうか。

成長によってタイミングは異なりますが、だいたい6歳から7歳くらいで下の前歯が生えてきた頃にご相談いただくと良いと思います。ただ、最適なタイミングを見極めることは難しいと思いますので、まず歯が生え始めたら定期検診に来ていただき、都度ご相談いただくのがお勧めです。この地域はお子さんの口腔環境への関心が高い保護者の方が多く、歯並びについての相談は増えていますね。検査では、セファロという矯正歯科専用のエックス線機器での撮影を行い、型採りをして歯の大きさを計測します。それによって、今後歯が顎にすべて収まるかどうか、噛み合わせが適切か、受け口になる可能性はあるかなどを診断していきます。矯正器具の装着を嫌がる子もいますので、その際にはお子さんの気持ちやモチベーションを考えながら時期を決めるのが良いでしょう。
小児矯正には、鼻呼吸がしやすくなるメリットもあるのだとか。
実は上顎の真ん中には亀裂があり、小児矯正では顎の成長を利用し、この亀裂を矯正器具で大きく外側に、機械的に広げていきます。これは同時に、上顎の裏にある鼻孔、つまり空気の取り入れ口を広げることにもつながるので、鼻呼吸がしやすくなり口呼吸の癖をやめさせる助けにもなるのです。さらに、口呼吸をしていると舌の圧力が弱く、頬の圧力が強くなり、上顎のスペースが狭くなるので、きれいに歯が並びにくくなる要因にもつながります。ちなみに下顎と比べ上顎は成長が早く、10歳くらいで止まってしまうのですが、下顎は上顎についてくるようなかたちで成長します。ですので、上顎のスペースが小さくなる原因の一つである口呼吸の癖をやめさせるような指導も重要なのです。癖は矯正器具だけでは直りませんので、当院ではMFTと呼ばれる、口の周りの筋肉を鍛えて正しく機能させるためのトレーニングを併用し、成長を利用した矯正治療を行っています。
最近では、成人矯正の相談も増えているようですね。

ええ。成人矯正は、永久歯がすべて生えそろってから行うもので、第1期治療と呼ばれる小児矯正に対し、第2期治療とも呼ばれます。ただ、小児矯正をされた経験がなく、大人になって初めて矯正を始めるという方であっても、もちろん対応できますよ。就職活動や結婚式を控えられた方、普段の歯磨きにお悩みのある方も、まずはご相談いただけたら。また、成人矯正は、元の歯並びに戻ってしまう“後戻り”がないかを確認するために、定期的な通院が必要になりますので、患者さんとは長いお付き合いをしていきたいですね。矯正装置については、一般的に固定式と着脱式がありますが、当院では固定式を採用しています。
幅広い世代に親しまれるクリニックでありたい
日頃のメンテナンスや歯磨き指導にも力を入れていると聞いています。

例えばお子さんの場合、「永久歯に生え替わるから、乳歯が虫歯になっても大丈夫」と考える保護者の方は多いと思います。ですが、乳歯の頃から歯磨きの習慣を身につけ、甘いものを与えすぎないよう生活習慣に心を配ることは大切です。当院では、初診の際に歯科衛生士が時間をかけて歯磨き指導や間食の与え方などをアドバイスします。1ヵ月に1度は染め出しをして、磨き残しをチェックすると良いですね。もちろん大人の方にとってもメンテナンスは重要です。虫歯や歯周病などの治療が終わっても、再発によって再び治療が必要に……といったケースは少なくありません。定期的にメンテナンスを行い、お口のトラブルの早期発見・早期治療につなげましょう。ちなみに当院では、メンテナンスという言葉は硬いので予防歯科先進国であるフィンランドのあいさつにちなんで、「moimoi(モイモイ)タイム」や「Terve(テルヴェ)タイム」と呼んでいます(笑)。
訪問診療にも力を入れていらっしゃいますね。
この地域はお年寄りも多く、今は通院できてもいずれできなくなる時がやってくるかもしれません。寝たきりになっても歯科医師のケアが受けられる道筋を最後までつけてあげたいですね。高齢者の肺炎の主な原因は誤嚥によるものといわれていますので、ケアは月2回もしくは4回の口腔内清掃を行って口の中の細菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを下げることを第一目標としています。また、誤嚥の原因となる食べ物を正常に飲み込む力の維持・改善をめざす指導にも取り組んでいます。
最後に、先生が治療で心がけていることをお聞かせください。

どの世代でも初診でいきなり治療することはありません。小さなお子さんでもお年寄りでも、まずはじっくりお話をお聞きしてコミュニケーションをとり、心を開いていただけるよう努力しています。小さなお子さんのお口を無理に開いて治療したことで、歯医者嫌いになっては大変です。訪問診療でもお年寄りのお話をしっかり聞いて、歯のケアが心のケアにもつながればと考えています。3世代にわたって地域の皆さんのお口の中をケアさせていただけるような、親しまれる歯医者さんでありたいと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/40万円~、成人矯正/80万円~