渡邉 順 院長の独自取材記事
渡辺内科医院
(新潟市西蒲区/越後曽根駅)
最終更新日:2026/08/27
越後曽根駅から徒歩3分、新潟市西蒲区の穏やかな町並みに「渡辺内科医院」はある。木のぬくもりを生かした院内は明るく開放的で、初めて訪れる人の緊張もほぐしてくれるような空間だ。2020年にこの地で開業した渡邉順院長は、消化器疾患と内視鏡を専門とし、新潟大学大学院でも研鑽を積んだドクター。幼少期に県外から移り住んだ際、温かく迎えてくれた地元への恩義が開業の原点にあるという。「『取りあえず渡辺内科医院に行ってみよう』と思ってもらえたらうれしい」と穏やかに語るその人柄は、話しているだけで自然と肩の力が抜けていくような安心感がある。消化器の専門性を軸に幅広い相談を受け止める、町のかかりつけ医としての思いを渡邉院長に聞いた。
(取材日2026年7月17日)
地元への恩義を胸に、町のかかりつけ医として
まずは、こちらで開業された経緯を教えてください。

親族に医療関係者が多く、医療を通じて地元に貢献し、人とつながっていく姿を幼い頃からそばで見てきました。自分もいつかこの地で同じような仕事をしたいという思いが、自然と芽生えていたように思います。実は生まれはここではなく、幼少期には父の留学でアメリカにいた時期もありました。この土地に来たのは小学校の途中からで、いわばよそ者のような存在だったのですが、地域の方々が温かく受け入れてくれました。その恩義が自分の中にずっとあって、地元を大事にしたいという気持ちの根っこになっています。大学は県外へ出て、新潟大学に入局してからもあちこちの病院に赴任していたので、開業にあたってやっと帰ってこられたという感覚でしたね。
消化器内科を専門に選ばれた理由をお聞かせください。
研修医時代、私たちの学年からすべての診療科を回るスーパーローテーション制度が始まりました。自分が希望しない科も含めて幅広く経験できたことで、意外な面白さに気づいたり、さまざまな先生方と知り合えたりと、とても良い時期でした。消化器内科を選んだのは、臨床研修中に出会った尊敬できる先輩の存在が大きいですね。もともとはまったく別の分野を考えていたのですが、消化器内科は救急科外来で一番活躍できる領域で、そこで一生懸命に患者さんのために動く先輩の姿に惹かれました。大学院では病理の研究にも取り組み、臨床とは異なる視点で病気を見つめる経験を積みました。その後はさまざまな病院に赴任し、勤務医と開業医の両方の世界を知れたことは、今の自分にとって大きな財産になっていると感じています。
クリニックの雰囲気や特徴について教えてください。

当院の設計を担当してくださった方が、幼稚園や公共施設を多く手がけてこられた設計士で、木をふんだんに使った温かみのある空間に仕上がりました。デザイン性というよりも居心地の良さを大事にしていて、自分自身とても気に入っています。この辺りは遠くの病院まで車で通うのが難しい方も多い地域ですので、歩いてふらっと相談に来られる診療所として少しでもお役に立てたらと思っています。開業当初はご高齢の方が中心になるかなと想像していたのですが、中高生や働き盛りの40〜50代の方まで幅広い世代の方が受診してくださっていますね。「取りあえず渡辺内科医院に行ってみようか」と気負わず思ってもらえるような、そのような場所でありたいと考えています。
まず話を聞くことから。患者の思いに寄り添う診療
日々の診療で大切にされていることを教えてください。

「患者さんを診る時は、自分の家族だと思って診なさい」と教わったことがあり、その言葉をいつも心のどこかで意識しています。日々の診察で大切にしているのは、なるべく患者さんご自身の話を聞くことです。つい医療者側から「こうしましょう」と進めたくなるのですが、時間の許す限り、その方が感じていることや思いに耳を傾けるようにしています。勤務医時代、病気の完治をめざすことが必ずしも患者さんやご家族にとって一番良い選択とは限らないのだと感じる場面がありました。一人ひとり考え方は違いますし、病気だけを見るのではなく、その方の気持ちも含めて診ていきたいと思うようになりました。一回の診察ですべてが解決するわけではないので、回数を重ねながら少しずつ理解を深めていくことも大事にしています。
消化器以外のことで相談に来られる方もいますか?
大きな病院にいると「それは専門外なので」と言ってしまいがちですが、開業医としてはあまり専門を前面に出しすぎず、まずお話を聞くところから始めたいと思っています。実際、消化器とはまったく関係のないご相談も少なくありません。最近では朝起きられない、学校に行けないといった悩みを抱えた中高生が来てくれることもあります。何科に行けばいいかわからないけれど困っているという方や、総合病院に通いながらもう少しゆっくり相談したいと受診される方もいますね。話しているうちに何が問題なのか整理できて、不安の解消に役立つと思うので、こういう役割も大切だなと感じます。すべてを当院で解決できるわけではありませんが、必要に応じて他の医療機関へのご紹介もしています。
診療の他に、患者さんのために取り組んでいることはありますか?

開業してから気づいたのですが、行政が実施しているがん検診や特定健診といった制度が意外なほど知られていないのです。例えば新潟市では2年に1回、上部消化管内視鏡検査による胃がん検診を受けられますし、帯状疱疹ワクチンも年齢によっては補助が出ます。こうしたお話をすると驚かれる方がとても多いのですよね。検査があると知った上で受けないのはご本人の判断ですが、選択肢を知らないまま過ぎてしまうのはもったいないと感じます。行政と患者さんをつなぐ橋渡しも、町の診療所の大事な役割だと思っていますので、別件で来られた方にも対象年齢であれば検診やワクチンの情報をお伝えするようにしています。日本消化器病学会消化器病専門医として、胃がんや大腸がんの検診で精密検査が必要になった方にも対応しています。
地域を愛するスタッフとともに、つながりの輪を広げて
スタッフの皆さんについてお聞かせください。

僕のほうからこうしてほしいと細かく言っているわけではないのですが、スタッフが自発的に患者さんを大切にし、地域を大切にしてくれています。正直、僕よりも評判が良いのではないかと思うくらいです。自分が褒められるより、スタッフを褒めていただけるほうがずっとうれしいですね。うちのスタッフは地元の方が多く、近くから通ってきてくれているので、地域に対する愛情や思い入れが自然とあるのだと思います。患者さんが安心できる雰囲気は、スタッフ皆でつくっているものですし、本当に恵まれているなと感じています。体の不調に限らず、介護や家族のことなど暮らしの困り事まで相談してくださる方が増えてきたのも、クリニック全体の空気が少しずつ信頼につながっているからだろうと思います。
今後、地域の中でどのようなクリニックでありたいですか?
小さな町ではありますが、医療を通じて皆さんと家族のように付き合い、つながっていけたらうれしいなと思っています。「子どもにも勧めたい」「家族にも通ってほしい」と言っていただけたらうれしいですし、その輪が少しずつ広がっていくようなクリニックでありたいと思います。休日には学生時代から続けている剣道で、地元の子どもたちに教えに行ったり自分の稽古に通ったりもしています。医療の仕事だけだと、どうしても同じ世界の人との付き合いになりがちですが、剣道ではいろいろな職業や世代の方とつながれるので、自分の人生にとって大きなプラスになっていると感じます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

体の調子が気になる時、検診で気になる結果が出た時はもちろんですが、何となく調子が優れない、困っているけれどどこに相談すればいいかわからないという方にも、ぜひ気軽にに足を運んでいただけたらと思います。すべてを当院だけで解決できるわけではありませんが、お話を伺いながら考え、必要に応じて適切な医療機関におつなぎすることもできます。お互いに相談しながら、その方にとってより良い道を一緒に見つけていけたらというのが私の願いです。おなかのことに限らず、どれだけ小さなことでも気軽に声をかけていただけたらうれしいです。優しく丁寧に、患者さんに負担をかけない診療をこれからも大切に続けていきます。

