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藤本 進 院長、平田 勇 先生の独自取材記事

フジモト新宿クリニック

(新宿区/新宿御苑前駅)

最終更新日:2023/06/30

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック main

曙橋駅、新宿御苑駅近くにある「フジモト新宿クリニック」。藤本進院長は、入院患者よりも在宅患者のほうが同じ病状でも生き生きと過ごしているように感じ、「在宅医療を通して医師として患者さんに貢献したい」という使命感を持って、2001年外来診療と在宅医療に対応する同院を開業したという。もともと消化器外科を専門とし、近年は認知症の診療に注力。在宅医療においては難治性の神経疾患も診ているという藤本院長。2008年からは循環器外科を専門とする平田勇先生が外来診療に加わり、それぞれの得意分野やスキルを生かした幅広い診療を行っている。ダンディーな雰囲気が魅力的な2人の先生に、在宅医療や外来診療での取り組み、医療に対する思いを聞いた。

(取材日2023年4月20日)

新宿の地で、在宅医療と外来診療の両輪で地域に貢献

最近、移転されたそうですね。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック1

【藤本院長】当院は外来診療と在宅医療の両方に対応するクリニックで、外来診療部は近くの別の建物にありましたが、今回在宅医療部と同じところに移転したのです。外来スペースは少し狭くなりましたが、在宅医療との連携体制は非常に良くなりました。診療体制も見直し、外来は医師1人体制とし、土曜日も夕方まで診療するようにしました。私は在宅医療を中心に、外来は平田先生が中心に対応しています。
【平田先生】私は内科と循環器関係の疾患を担当し、心エコーも行います。最近は外来でも認知症の患者さんを多く診ています。院長は在宅で難治性の神経疾患、悪性疾患の末期の方、疼痛のコントロールなどにも対応されていますね。

もともとの開業のきっかけを教えてください。

【藤本院長】友人のクリニックで訪問診療に携わっていた中で、自分の在宅医療クリニックを開きたいと思うようになり、2001年に「在宅医療」と「外来」の二本柱で開業しました。新宿にはなじみがあり「開業するなら新宿で」と思っていました。私が開業した当時は、まだ在宅医療に対応しているクリニックはほとんどありませんでしたね。このエリアは高齢化だけでなく完全独居率が非常に高く、認知症の方が多いのが特徴で、当院の患者さんも高齢の方が中心です。

平田先生はいつからこちらで診療されているのですか。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック2

【平田先生】2008年から勤務しています。私はもともと外科で、特に心臓血管外科を専門にしていました。こちらでの患者さんは主に循環器疾患の心不全関係、高血圧と糖尿病、高脂血症、不整脈などを抱えた方が多いですね。生活習慣病は自覚症状がない疾患なので、治療をドロップアウトしてしまう方もいます。私が大学病院や総合病院で行っていた心臓手術は、治療をドロップアウトして病気が進行した方などに対して行う手段です。ですから患者さんが治療を継続できるようサポートしていきたいと考えています。例えば血液検査をして結果が良くなったら一緒に喜ぶなど、シンプルですがそうやって治療を継続していただけるよう取り組んでいます。

外来、在宅ともに認知症を含めた高齢者診療に注力

診療面にはどのような特徴がありますか。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック3

【藤本院長】以前は小児科も診ていましたし、胃の内視鏡検査なども行っていましたが、今は、在宅医療、外来診療ともに認知症を含めた高齢者の診療が中心となっています。外来で診ていた患者さんが通えなくなったら在宅医療に依頼してもらうように、切れ目なく診療を継続させています。コロナ禍の中では訪問診療先の高齢者施設でクラスターが発生したり、在宅の方にワクチンを接種してまわる体制を整えたり、今までとは異なる対応を経験しました。感染状況が落ち着いても、無症状の感染者から家庭内で免疫力の弱いお年寄りに感染する例が増えているので、危惧しているところです。

そもそも医師を志したきっかけを教えてください。

【藤本院長】もともと家族や親戚に医師が多い家系でしたので、幼い頃から医師の世界にはなじみがありました。影響が大きかったのは小児科の医師であった父の存在です。私が1歳の時に他界してしまいましたので、残念ながら父との思い出はないのですが、父がどんな仕事をしていたのかという話は聞いていて、「父のような医師になってほしい」との母や周囲の期待も感じていました。子どもの頃はそうしたプレッシャーに反発していたのですが、高校生で進路を決める時に「父がいた世界を見てみたい」と思うようになり、医学部に進学しました。その後は「手技を使って人の役に立つ」ことに興味が湧き、消化器内科で内視鏡検査を専門にする道を選びました。

平田先生はいかがですか。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック4

【平田先生】生い立ちが院長と似ていて、私も幼少期に父親を失い、その頃から医療に対する自分の目的が定まっていきました。大学卒業後はトレーニングを積むため大学病院や国立病院に勤務し、患者さんの診断をつけ、最終的に大きな手術をして社会復帰まで持っていくことに、ある意味「最後の砦」みたいなプライドを感じていました。しかし、治療していくうちにそういう患者さんを生まないようにするのが、医療として重要なのではないかと思うようになりました。自分が健康を害したこともあって、生活習慣病を筆頭に、病気が進行しないような医療に取り組みたいと思い、今に至っています。

プライベートな時間はどのように過ごされていますか。

【藤本院長】中学時代に在籍していたブラスバンド部のOB仲間15人ぐらいでバンドを組んでいて、毎年1回、出身地である伊丹のライブハウスでコンサートを開いています。私の担当はトロンボーンで、バンドでは主にジャズを演奏しています。これが最高のリフレッシュタイムですね。
【平田先生】院長みたいな優雅な趣味はないのですが(笑)、体を動かすことは好きなのでランニングは長く続けています。1回で約7キロ程度のランニングをし、職場へは入職当時からずっと自転車通勤していますね。

かかりつけ医として患者の生活全般をコーディネート

注力されている認知症の対応について教えてください。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック5

【藤本院長】認知症の場合、家族の負担が大きいと同時に、家族の方の接し方が一番のキーポイントになります。患者さんへの接し方の一番のポイントは、認知症という病気で症状が出ているのだということを家族が理解することです。何度も同じことを言うのを訂正したり、物忘れを指摘したり、怒ったりすると本人は余計に不安になり混乱がひどくなってしまい、生活に支障をきたす症状が強く出てきてしまう恐れがあります。そこを家族がうまく接することができていると、認知症であっても記憶障害があっても穏やかに生活できる方が多いように思います。

これからの展望について聞かせてください。

【藤本院長】外来から在宅まで連続して診ていくというコンセプトを大切に、開業以来続けてきたことを密度を濃くしていきたいと考えています。認知症の診療と嚥下障害のサポートなどにも対応し、ライフワーク的に取り組んでいきたいですね。高齢者、特に後期高齢者の場合、血圧や血糖値を下げすぎると脳梗塞や低血糖につながることもあり、通常の基準ではなく、その人に合わせた血圧や血糖のコントロールが必要になります。そうした診療の経験やスキルを生かしていきたいと思っています。
【平田先生】私はとにかく現場が好きなので、現場を続けていきたいというのが基本にあります。患者さんには根掘り葉掘り話を聞くようにしていて、高血圧のコントロールができている人でも動悸があるか確認するなど、患者さんのお話を拾い上げ信頼関係を大事にしながら、健康を維持してもらうように治療介入していく。そういう姿勢を今後も続けていきたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

藤本進院長、平田勇先生 フジモト新宿クリニック6

【藤本院長】かかりつけ医は診療のスタートラインだと思います。患者さんがどういう形で自分の病状を安定させていけばいいかを相談でき、専門的な検査や治療が必要になったら然るべき病院を紹介する。戻ってきたら、また通いやすいクリニックとして普段のお手伝いをしていくというのが、かかりつけ医の原点かなと思います。在宅医療に関しては介護事業者と医療者の連携が大事ですし、外来でも、介護保険でどのようなケアが入っているかも注意しながら、生活全般のコーディネーターのような形にならないといけないと思っています。生活習慣病のある方はかかりつけ医を持ち、病気をコントロールして、高齢になったら、将来も見据えて当院のような在宅医療にも対応できるクリニックをかかりつけにして頼っていただければと思っています。

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