森本 将史 院長の独自取材記事
もりもと歯科クリニック
(松山市/余戸駅)
最終更新日:2021/10/12

伊予鉄道郡中線余戸駅から徒歩10分ほどの場所にある「もりもと歯科クリニック」。院内には、木目を基調とした温かみのある空間が広がっている。院長の森本将史先生は勤務医時代に、東京都内の医科と歯科が併設されたクリニックで研鑽。口腔内の状態が全身の健康に及ぼす影響について理解を深めると同時に、金属アレルギーの治療にも多く携わったという。そうした経験から、できるだけ金属素材を使わない治療を行うとともに、予防歯科にも力を入れる森本院長。「患者さんとしっかりコミュニケーションをとり、ゴールをきちんと設定した上で、丁寧に診療を進めていくことを大切にします」と穏やかに語る。地域のかかりつけ医をめざす森本院長に、歯科医師をめざしたきっかけから今後の展望に至るまで幅広く聞いた。
(取材日2020年10月29日)
誰もが緊張せずに来院できる雰囲気づくりにこだわる
まずは、歯科医師をめざしたきっかけやご経歴についてお聞かせください。

乳腺外科の医師として働く父親の姿を見て育ちましたので、自然と「医療の仕事に携わりたい」と思うように。勤務医時代には、東京都内の医科と歯科が併設されたクリニックに勤務。そこでは、口腔内の状態が全身の健康に及ぼす影響について学ばせていただくと同時に、金属アレルギーの患者さんの治療に携わる機会も多くありました。消化器の入口である口と、出口である腸をしっかりケアすれば体のバランスも整うというのが、そのクリニックのコンセプト。アレルギーの発症と深い関わりがあるとされる腸内環境を整えるには、口の中に金属素材をできるだけ使わないほうが良いという考えでした。そのクリニックでの経験を通して、私自身もできるだけ金属素材を使わない歯科治療を提供したいと思うようになりました。
2020年11月の開業にあたり、なぜこのエリアを選ばれたのですか?
私は徳島県出身ですが、妻が愛媛県出身で松山市にもなじみがあったことが、ここでの開業を決めた理由の一つ。勤務医時代は横浜市に住んでいましたので、当初は、横浜市や東京都で開業することも視野に入れていました。ただ、勤務していた都内のクリニックには全国から患者さんが来ており、中には愛媛県から来院される患者さんもいらっしゃいまして。そうした方々の治療にあたる中で、同じようなクリニックが愛媛にあれば、患者さんの負担も少なくなるのではと考えたのです。金属アレルギーに対応するクリニックはまだあまり多くないのが現状。多くの症例を診てきた経験を患者さんに還元することで地域医療に貢献できるのではないかと考え、ここでの開業を決意しました。
内装にもこだわっていらっしゃいますね。

清潔感を大切にすることはもちろん、患者さんに緊張感を与えない、やわらかな雰囲気にすることも意識しました。この地域にはファミリー層も多く、幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃると思いますので、誰もが緊張を感じることなく気軽に来院できる雰囲気づくりを心がけたのです。私自身子どもの頃に押さえつけられて治療を受けたことから、歯科に対してあまり良くないイメージを持つように。同じような思いを持ってほしくないので、お子さんを治療する際には、やむを得ない場合を除き、無理に治療を進めるようなことはせず、優しく丁寧に接するよう努めています。また私自身、歯科医院特有のにおいも苦手ですので、そうした面にも気を配るよう心がけていますね。
全身の健康への影響も考慮に入れた歯科治療を提供する
診療コンセプトを教えていただけますか?

かぶせ物をする際などは、金属素材をできるだけ使わず、セラミック素材などを用いて治療を行うよう心がけています。また当院では、予防も重視。口は消化器の入り口ですので、口腔内の環境が悪いと、腸内環境ひいては全身の健康にも悪影響が及びかねません。口腔内をしっかりケアすることはとても大切。口腔ケアをきちんと行うことが、全身の健康維持にもつながるということをご理解いただけるよう、患者さんをサポートしていきたいと考えています。加えて、院内感染対策も徹底。コップやエプロンだけでなく、スリーウェイシリンジの先もディスポーザブル(使い捨て)製品を使用するとともに、使い捨てできない治療器具に関しては、高圧蒸気滅菌器を用いて滅菌。当院では、滅菌管理の厳しいヨーロッパの基準を満たす滅菌器を採用しています。
金属素材をできるだけ使わない治療を心がけているのですね。
金属アレルギーには、指輪やピアスなどが触れている部分に症状が出る局所性のものと、金属イオンが体内に入り、全身に症状が引き起こされる全身性のものがあります。歯科の金属アレルギーは、全身性のもの。手や足や顔はもちろん、臓器にまで炎症が及ぶケースもあります。都内のクリニックには、症状の原因がわからずお困りの患者さんも多くいらっしゃいました。アレルギー性疾患の原因は、食物や腸内バランスの乱れなどさまざま。きちんと検査をした上で、金属系のものが原因とわかれば、「金属アレルギーの可能性がありますので、金属素材を取り外してみましょう」と提案させていただいていました。勤務医時代に多くの症例を診てきた経験から、できるだけ金属素材を使わない治療を心がけるようになったのです。
診療の際はどんなことを大切にされていますか?

初診の際には、痛みなどの症状がある場合はその治療を優先しますが、それ以外の場合、まずは一通り検査をさせていただきます。そして次に来院されたときに、治療内容をしっかりとご説明。患者さんに納得していただいてから治療をスタートします。きちんとした説明もないまま治療を始めるとしたら、患者さんは不安を感じますよね。患者さんとしっかり話し合い、ゴールをきちんと設定した上で治療を進めていくというのが私の方針。経済的な面などそれぞれご事情もおありかと思いますので、治療方法もいくつかお示しし、選んでいただくようにも心がけています。患者さんとしっかりコミュニケーションをとり、ゴールをきちんと設定した上で、丁寧に治療を進めていくことを大切にしていますね。
口内環境を整えて、地域の人々の健康をサポートしたい
歯科医師としてどんなときにやりがいを感じますか?

「食事の際によく噛めない」という患者さんを、噛み合わせ治療などを通してお助けすることにもやりがいを感じますが、金属アレルギーの治療のように、歯科治療が全身の症状の改善につながるようなときには、いっそう大きなやりがいを感じますね。口の中の金属素材を取り除くことは私たち歯科医師にしかできないこと。それによって症状が改善され、「治りました」と患者さんが喜んでくださるときに、私自身も大きな喜びを感じるのです。
印象に残る患者さんのエピソードをお聞かせください。
掌蹠膿疱症という病気を患っていた20代の患者さんのことが印象に残っています。掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に水疱が多発して痛みも伴う病気。その方は足の裏にも水疱ができており、歩くのもつらいということで、お若いのに杖をつきながらクリニックにいらっしゃっていました。金属アレルギーの検査をしたところ、陽性反応が出たため、口腔内の金属素材を取り除くことに。金属素材を取れば必ず症状が治まるというわけではありませんが、それでも、治療後に患者さんが笑顔になってくれたことがとても印象的でした。
お忙しい中、どのようにリフレッシュされていますか?

開業準備のために夏頃からこちらに移り住んでいるのですが、忙しくてなかなかプライベートを楽しむ時間がとれていない状況です。1歳7ヵ月の子どもがいますので、今は妻や子どもと過ごす時間が一番の楽しみ。仕事が落ち着いてきたら家族であちこち出かけたりしたいですね。
今後の展望や読者に向けたメッセージをお願いします。
地域の皆さんの口内環境をしっかりと整えていくことが、私の目標。お口の状態は全身の健康にも影響を及ぼしますので、予防のための定期的なメンテンスで良い状態を保っていただければ幸いです。また、虫歯にならないためには、子どもの頃からお口の環境を整えることも大切。幼い頃からきちんとケアすれば虫歯になるリスクを減らせるため、当院では小児歯科にも力を入れています。できるだけ金属素材を使わない治療を行っていることを、地域の皆さんに積極的に発信していきたいとも考えていますね。当院では、拡大鏡などを使った精度の高い治療、全身の健康も考慮に入れた治療を心がけています。小さなお子さんからご高齢の方まで、どうぞお気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはオールセラミック詰め物/6万6000円(税込)、オールセラミックかぶせ物/8万8000円(税込)