大古 美治 院長の独自取材記事
おおご泌尿器科クリニック
(横浜市栄区/本郷台駅)
最終更新日:2021/10/12
JR根岸線の本郷台駅から徒歩3分のメディカルモール内にある「おおご泌尿器科クリニック」。排尿トラブルをはじめ、泌尿器科の症状全般を診る専門性の高いクリニックだ。院長を務めるのは、大古美治(おおご・よしはる)先生。横浜栄共済病院の泌尿器科部長を務めるなど、神奈川県内の基幹病院で数多くの研鑽を積んできた泌尿器科のエキスパートだ。「患者さんのお話をしっかりと伺い、わかりやすい言葉で伝えることを心がけています」と話す大古先生は、穏やかで温かみあふれる笑顔が印象的。数多くの質問に対して、丁寧に答えてくれるその姿勢からは、日頃から患者と真摯に向き合っている様子が伝わってきた。
(取材日2021年6月17日)
排尿の悩みを専門的に診るクリニック
開業されたのは約1年前と伺いました。
そうです。それ以前は、主に神奈川県内の基幹病院で泌尿器科全般について研鑽を積んできました。2008年から約12年間は、当院から徒歩数分のところにある横浜栄共済病院に勤めていましたので、この地域での診療歴はもうずいぶん長くなりましたね。開業に至った理由は、長年病院で診療する中で、患者さんにとって不便な状況に気づいたからです。それは、泌尿器科疾患を診る「町のかかりつけ医」が少ないということ。泌尿器の疾患には、がんなどの重篤な病気から投薬治療で症状を和らげていける疾患までさまざまありますが、内科と比べ泌尿器科のクリニックは少ないものですから、投薬治療中心の患者さんでも基幹病院に通院せざるを得ない傾向にありました。そうすると患者さんの待ち時間は長くなりますし、病院の負担も増えます。地域に気軽に通える専門性の高いクリニックをつくり、基幹病院との橋渡し的な役割を果たしたいと思い、開業を決意しました。
院内でこだわったところを教えてください。
精密な検査を行うために、エコー、エックス線などの検査機器に加えて膀胱鏡という膀胱専用の内視鏡を導入しました。尿に関する一般検査は、診察室内の顕微鏡で迅速に行えます。また、泌尿器科の受診に抵抗のある方も多いかと思いましたので、院内のインテリアはあえて病院っぽくない和やかな雰囲気にしました。以前勤めていた病院の内装が好きだったので、それを参考にして木目調のインテリアにライトグリーンのチェアを合わせたのですが、落ち着きがあって自分でも気に入っています。コンセントつきのカウンターもありますから、少々お待たせするときもスマホなどを見て退屈せずにお過ごしいただけるのではないでしょうか。プライバシーに配慮し、男性も女性も受診しやすい環境を整えていますから、気になることがあれば事前にスタッフへお問い合わせいただければと思います。
どんな患者さんが来られますか?
栄区は横浜市の中でも高齢化率の高いエリアですから、高齢者に見られる排尿トラブルでお悩みの方が多く来られますね。当院では腎臓、尿管、膀胱、前立腺、精巣など、排尿や生殖に関する病気を広く診ていますから、お悩みの症状があれば気軽にご相談いただければと思います。頻尿に関するご相談もよく受けますが、実は頻尿にもいろいろなパターンがあって、病気による場合以外にも、水分を多めに取り過ぎたことで症状が出ている場合があるんです。薬を飲まなくても、生活習慣を変えるだけで症状が改善することがありますが、そういうこまやかな判断は泌尿器専門のクリニックでないと難しいです。医師に話すだけでも気持ちが楽になることがありますから、そんなちょっとしたお悩みを抱えている人のお役に立てればと考えています。
安心して相談できる雰囲気づくりを重視
先生が医師になられたきっかけと、泌尿器科を選んだ理由を教えてください。
医師をめざしたのは、子どもの頃に盲腸になって入院・手術をしたのがきっかけでした。当時は下半身麻酔で意識のある状態で手術を受けたのですが、とても気持ち悪くてつらい時間だったことを鮮明に覚えています。ですが、それを機に医療への関心が高まり、高校卒業後は横浜市立大学医学部へ進学しました。学生時代にいろいろな診療科を回る中で、泌尿器科を選んだのは、内科的な診断と手術などの外科的処置、両方を行えるところに興味を惹かれたからです。1つの科で責任を持って治療を完結できるところも魅力に感じました。医師になってからは、1つの病気を掘り下げて学ぶよりも広く泌尿器疾患全般を診られるようになることを意識し、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格も取りました。
駆け出しの頃に影響を受けた人はいますか?
泌尿器科の医師になって初めて赴任した病院に、腎臓がんのスペシャリストの先生がいらっしゃったのですが、その先生の日常診療や臨床研究に対する姿勢にはたいへん感銘を受けましたね。一般診療が終わった後、自ら病院に残って今までの症例を熱心に分析されていて、その姿は医師としての私の目標となりました。また、病棟を回診する際、患者さんに話しかけるだけでなく手を握って会話されていた先生がいらっしゃったんです。そうすることで患者さんが安心感を得ているのが伝わってきましたし、言葉のコミュニケーション以上の信頼関係が生まれているように感じました。診療においていかに患者さんと接すべきか、その心得を学びましたね。
先生の診療モットーについて教えてください。
患者さんのお話にしっかりと耳を傾けることを大切にしています。病院に勤務していた頃は担当する患者さんがとても多く、お一人にかけられる時間が限られていたのが残念でした。当院ではまず、患者さんが何でも話しやすい雰囲気をつくるためにご来院時に明るくお声がけし、親しみを込めて「さん」づけでお呼びするようにしています。そしてできるだけわかりやすい言葉でゆっくりと話して、病気や治療の内容について不安が残らないように気をつけています。診療の過程では、症状だけでなくその方の生活やご家族のことまで把握することも大切です。なぜなら、患者さんの生活環境によってベストな治療法は変わってくるからです。教科書的には手術をするのが正しくても、ご高齢で体力的に心配な場合や、ご家族のサポートを受けづらい場合には別の方法を取るほうがいいこともあります。そうした個人のご事情にも配慮した全人的な医療を提供することを心がけています。
痛みの少ない検査や一般的な健康相談にも注力
病診連携・診診連携にも力を入れているそうですね。
はい。近隣のクリニックや病院と密に連携を図るように心がけています。診察の際は、泌尿器の疾患だけでなく、患者さんが他に気になっている症状があればご相談いただけるように、余裕を持って診療にあたっています。そういうちょっとしたお悩み相談にも応じられるのは、町のクリニックならではだと思っています。幸い当院は複数のクリニックが入るメディカルモールの中にありますし、元の勤め先も近くにありますから、私の専門外の病気や入院が必要な症状については、すぐに適切な医療機関へつなぐことができます。話すだけで安心される患者さんもいらっしゃいますから、ここでは些細なことでも気軽に話せる環境をつくっていたいですね。
先生のお勧めする健康法や、休日の過ごし方について教えてください。
排尿トラブルの予防法としては、運動をお勧めしています。特に夜間頻尿の方は、昼間に運動するだけでもぐっすりと眠ることができ、症状の改善に良い影響を与えることもあります。ウォーキングなどをできる範囲で日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。私の休日はというと、まとまった休みが取れれば、以前はハワイに行くのが楽しみでした。ハワイが好き過ぎて、クリニックのロゴにオアフ島のダイヤモンドヘッドを入れたほどです(笑)。ダイヤモンドヘッドには登ったこともありますが、そこから見える景色はとても素晴らしいんですよ。新型コロナウイルス感染症の流行が収束して、また気兼ねなく旅行できる日が来るのを心待ちにしています。
読者の方々へメッセージをお願いします。
排尿のお悩みを相談することに恥ずかしさを感じる方もいらっしゃると思いますが、今は新しい治療薬がどんどん開発されていますから、受診していただければ適切な治療につなげることができますし、気分的にも軽くなると思います。受診へのハードルを下げるために、当院では痛みを伴うような検査はなるべく後回しにして、負担の少ない形で検査・診断できるように配慮しています。地域に密着して、心配事を気軽に相談できるクリニックでありたいので、お困り事があればぜひご来院ください。