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赤川 玄樹 院長の独自取材記事

横浜みなと呼吸器内科・内科クリニック

(横浜市港南区/港南台駅)

最終更新日:2021/10/12

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喘息は一般的に子どもが発症すると思われがちだが、発症年齢は全年齢にわたっており、喘息の前段階の咳喘息などは、20~40歳の患者もかなり多いという。「実は私も40歳の頃に発症した1人です」と朗らかに笑うのは、2020年に開院した「横浜みなと呼吸器内科・内科クリニック」の院長、赤川玄樹先生だ。長年、トライアスロンで体を鍛え、大学病院のICUで活躍してきたからこそ、「喘息をコントロールして、人生の質を大事にしてほしい」という言葉に力がこもる。病気の早期発見につながればと日曜も診療する赤川院長に、大学病院レベルをめざす検査体制と診断について聞いた。

(取材日2020年7月9日)

長引く咳に特化した専門性の高いクリニック

まずは開院への思いをお聞かせください。

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私は呼吸器内科のみでなく、ICUでの集中治療にも携わってきましたが、ICU領域ではどれだけ尽力しても、亡くなってしまう患者さんは少なくありません。重症化する前の軽症段階で診断をつけ、状態を安定させられていれば、この患者さんは助かったかもしれない、ICUに来ないで済んだかもしれない、という思いが強くなり、「自分が地域医療の現場で重症化を食い止めよう」と開院を決意しました。今は病院の医療崩壊が危惧されていますが、クリニックが病院の分院的な位置づけで患者さんを引き受ければ、病院は重症の入院患者さんに集中できます。長く中核病院や大学病院での医療の現場にいたからこそ、クリニックが頑張ることでこうした病院の助けになれたらうれしいですね。

検査設備と衛生管理にこだわられているそうですね。

ICUでの集中治療は、所見ではなく、データにより重点を置いた診療を行います。主観的な所見を客観的なデータに置き換えるには、高度な検査設備と技術が必要です。設備を選ぶ際は、そうした点を踏まえました。当院はエックス線に加えCTもありますが、これだけで喘息の確定診断をつけるのは難しいですから、肺に至るまでの気管支の腫れ具合を調べる呼気NO測定や肺機能検査なども併用し、正確な診断を心がけています。CT検査は腫瘍性病変も見つけやすく、開院から2ヵ月で、初期の肺がんや乳がん、甲状腺がんなどの発見につながった患者さんもいらっしゃいます。また、呼吸器内科は感染症との関わりが深いため、感染症対策も徹底しました。空気感染の可能性のある細菌が外部に流出しないように整備された陰圧室など、病院の感染症病棟にあるような隔離個室も用意し、新型コロナウイルスのPCR検査にも対応可能な衛生管理システムを整えています。

どのような患者が多いのでしょうか?

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お子さんから高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんに来ていただいていますが、特に40~60代の方々が多いですね。大多数が痰がからむ、咳が続くという主訴で、他の医療機関へ行ってもよくわからないと言われた、薬を飲んでも良くならないという方ばかり。調べてみると長引く咳の原因は咳喘息のことが多いです。咳喘息は、喘息のような息苦しさや喘鳴(ぜんめい)が見られず、咳が主な症状の疾患ですが、放置して気管支の炎症を繰り返すと気管支喘息に移行するリスクがあります。4週間以上続く咳は咳喘息を疑い、早めの受診をお勧めします。また喘息には胸の痛みを主体とする胸痛喘息という疾患概念も存在しており、他院の心電図などで異常がなかったという、胸痛を主訴に受診される方も最近は多いです。長引く咳や胸痛に悩んでいる人が、遠方から相談に来られるケースも増えています。

精密な検査で、過不足のない的確な治療をめざす

先生ご自身も喘息を発症されたそうですね。

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喘息は子どもに多いと思われがちですが、実際は前述した咳喘息などは20~40歳代の患者さんが圧倒的に多いのをご存じでしょうか。長引く咳や、眠れないほどの息苦しさ、夜中や明け方などに胸がゼイゼイする、少しの運動で咳き込むという症状があっても、まさか自分が喘息とは思わず、市販薬を飲んでしのぐ方も見られます。かくいう私も、40歳を過ぎてからトライアスロンの練習後に息切れや咳の症状が出て、もしやと検査をしたところ、喘息を発症していました。ショックでしたが、現在は定期的な治療を受け、喘息を気にせず練習も仕事も普通にこなし、トライアスロンの大会にも出場しています。

診療方針について教えてください。

問診や触診による所見も大切ですが、主観的な所見のみだと、なんとなく「様子を見ましょう」となり、3ヵ月薬を飲んでいるが良くならないと相談に来られる患者さんも少なくありません。当院では、CTのみでなく、呼気NO検査やモストグラフなどの精密な検査で咳の原因を突き止め、ピンポイントにアプローチできるよう過不足のない薬の処方を心がけています。薬の量も極力減らすようにしていますが、どうしてもこれだけはという部分は、患者さんになぜ必要なのかを理解してもらえるよう工夫しています。私も喘息患者なので、つらい気持ちや薬を飲み忘れてそのままドロップアウトしてしまう気持ちもよくわかります。そんな時は、その分リカバリーをすればいいだけなので、いつでも安心して相談してください。

呼吸器内科で診療を受けるメリットは?

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呼吸器系の病気を診る際に、「肺」と「気管支」に分けて、それぞれを専門性の高い検査で調べ、適切な診断につなげることが可能です。また、喘息はアレルギーが関与していることも多く、採血が必要になることがあります。このビルの5階に採血センターがあり、採血結果を含めて受診当日にほとんどすべての検査結果がわかります。その結果、呼吸器内科に異常がないと判断できれば、同じ医療モール内にある内科や小児科、耳鼻咽喉科など他科と連携して、多角的な診療が可能なことも患者さんにとって大きなメリットだと思います。

人生の質を高めるための医療を提供

印象に残っている患者とのエピソードを教えてください。

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私がまだ若かった頃、喘息で外来に通っていた患者さんがいました。40代の女性でしたが、自己判断で薬を中断してしまうことが多く、喘息を悪化させてしまい最重症の状態で救命に運ばれてきました。複数の医師で話し合い、最善と思う治療を施したのですが、2日後に亡くなってしまいました。それ以来、あの時の選択は間違っていなかったか、そもそも重症化する前に担当医としてできることはなかったかと何度考えたかわかりません。そのこともあって、かかりつけ医としてできる限り早い段階で診断をつけて治療を開始し、患者さんがドロップアウトしないよう気持ちの面でもサポートしていければと思うようになりました。人生はただ長ければいいというものではありません。当院の患者さんには適切な治療で症状をコントロールし、QOLを保ちながら質の高い人生を送っていただきたいですね。

そもそも先生はなぜ医師をめざそうと思ったのでしょうか?

医師だった父に何度か医師になるよう言われましたが、私自身にその気はまったくなく、中学高校とずっと文系で弁護士をめざしていたのです。ところが入試の前日、父に「医学部以外は一切金を出さない」と言われ、まさかこのタイミングで言うか? と思いましたが、そこで初めて自分は医師になるしかないのだと観念しました。結局、1年浪人して医学部に入り、医師になるなら集中治療をめざそうと考えました。ところが、部活の先輩から「重症呼吸器不全をICUで診るなら、まずは呼吸器内科で修業を積んでからのほうがいい」と勧められ、卒業後10年ほど呼吸器内科で経験を積み、ICUに入ったのはそれからです。でも結果的に大正解でした。親にもかなり反発しましたが、回り道したからこそ今の自分があるのだと思います。父にも感謝ですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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開院してうれしいのは、勤務医時代に比べると一人ひとりの患者さんとじっくり丁寧に向き合えるようになったことです。これからも患者さんとしっかり向き合いながら、ともに悩み、ともに生活の質を考えていけたらいいなと思っています。咳喘息や喘息は、一時的に症状が落ち着いても、気管支などの炎症が完全に治まったわけではありません。炎症を繰り返すことで少しずつ気管支の内側の壁が厚くなり、重症化して命にかかわることもあります。喘息は症状が出ている時は何もできないほど苦しいですが、適切にコントロールして重症化を防げれば、生活の質を下げることなく、スポーツや趣味を楽しむことが可能です。気軽に通える地元の呼吸器内科として、力になれたらうれしいですね。

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