伊沢 博美 院長の独自取材記事
神宮外苑Woman Life Clinic
(渋谷区/外苑前駅)
最終更新日:2025/01/29

東京メトロ銀座線・外苑前駅に降り立ち、しゃれたレストランやハイセンスなアパレルショップが並ぶ外苑西通りを新宿方面へ進むとたどり着く「神宮外苑Woman Life Clinic」。ホワイトとブラウンを基調とした院内は清潔感があり、大きな窓からの自然光が心地良い空間だ。迎え入れてくれたのは、やわらかい雰囲気をまとう伊沢博美院長。更年期の諸症状に対する診療からエイジングケアの相談まで、女性の悩みに幅広く対応している。卵巣機能低下や不妊に対する再生医療の分野にも関心を寄せ、日々勉強を続けている伊沢院長にクリニックのコンセプトや診療のスタンスを聞いた。
(取材日2024年9月17日)
更年期障害と婦人科疾患、不妊を軸に幅広く診療
クリニックの特徴を教えてください。

更年期障害、月経困難症などの婦人科疾患、不妊の補助的医療の3本柱で、保険診療と自費診療を展開するクリニックです。保険診療も自費診療も医療です。保険診療には多くのエビデンスに裏づけされた治療提案が、自費診療には新たな治療の選択肢が増える良さがあります。医学知識をベースに幅広い選択肢を提供したいとの思いで開院しました。ライフステージの進行とともに現れる女性の悩みは、保険の枠組みで切り分けられるものではありません。自費診療を求めて来院された方に保険での治療を提案することもありますし、その逆もあり得ます。
どのような方が来院されていますか?
30代後半から50代の女性が多く、主訴の多くは更年期障害による体調不良です。そのほか、生理不順やPMS(月経前症候群)に悩む20代、30代の女性も受診されます。女性特有のお悩みに加え、加齢に伴うフレイル・プレフレイルに関わる悩みも取り扱っており、要望があれば男性にも対応していますが、女性と男性では診療時間を分けていますし、スタッフは全員女性なので安心して受診していただけるのではないでしょうか。多くの患者さんをフォローしたいという想いから、診療時間も増やしました。土曜の午後診療を開始し、休診日だった水曜の診療も始め、日曜・祝日を除く週6日診療を行っています。
すべての診療を先生が担当されているのですか?

私は更年期障害を主に診ており、月経トラブルや婦人科疾患、不妊に関わる補助的医療はそれぞれ専門の先生方に診療をお任せしています。女性に関わる医療の分野は幅広く、そのすべてにおいて専門性を高めるのは困難です。とはいえ私は幅広い分野に興味を持って論文などにも積極的にあたり、わからないこと、知りたいことがあればその道の専門家に積極的にアクセスします。お話を聞くうち、「それならクリニックでの診療を手伝いましょう」とお声がけいただくような流れで、大学病院レベルの高い専門性を持つ先生方に診療に加わっていただいています。また、看護師もベテランぞろいで、採血などもとても上手なんです。実は当院の看護師長は、もともと私がしみやニキビに悩んでいたときに通っていた皮膚科で担当してくれていた看護師で、その対応の良さは身を持って知っていますから、安心して頼れます。
リラックスできる空間で、対話を通して前向きに
更年期診療について詳しく教えてください。

ホットフラッシュや不眠、疲労感などを訴え、更年期障害を疑って受診される方が多いですが、実は甲状腺疾患や膠原病など、別の病気によることもあります。そうした病気が疑われる場合は適切な治療を受けられる医療機関へとご紹介し、ホルモンの乱れが原因であれば、主にホルモン剤による治療を行います。経過を見ながらステップを踏んで、一人ひとりに適した治療法で進めています。中にはホルモン剤へ抵抗感を示す方もいらっしゃいますが、天然型ホルモンと同じ型の薬剤を使用することで安全性に配慮しています。ただし、婦人科がんがある場合はリスクを高めますので、定期的な検査を受け、医師の指導のもとで適切に使用することが大切。乳がん検査のマンモグラフィが苦手な方には、MRIで検査ができる医療機関もご紹介できます。ご希望の方には漢方薬も使用しますが、アレルギーなどの副作用が出る可能性もあるため、あくまで補助的なものと考えています。
診療の際に心がけていることは?
女性特有の悩みは長く悩み続けて来院されるケースが多く、関東近県や九州などの遠方からのご相談も少なくありません。お話を伺ううち、それまでの苦労に思わず涙される方も。まずは私の診察で専門の医療へと振り分ける体制ですので、しっかりとお話しいただけるよう、話しやすい雰囲気づくりは大切にしています。診察室は、従来のイメージとは大きく異なる、自宅の書斎のような空間にしました。ペットの写真や好みのミニチュア、患者さんからいただいたお土産など、リラックスしておしゃべりを楽しめる空間になるよう工夫しています。
エイジングケアの相談にも乗っているそうですね。

更年期と呼ばれる45~55歳くらいの時期は、お肌の老化が気になる年代でもあり、更年期の症状で通院されている患者さんから「実は肌のトラブルに悩んでいるんです」と相談されることもあります。アドバイスを受けていくうちに見えるものが変わってくるというか、美容などに興味が出てくる方が多いですね。美容に興味があるものの、専門の医療機関を受診するのはハードルが高いと感じている方もいらっしゃるかもしれません。当院の場合は、まずは倦怠感やほてりなど体の不調の相談・治療からスタートして、あらためてお肌の悩みを相談することもできますので、安心していただけるのではないでしょうか。肌の状態が気になるけれど、どのようなケアを受けていいのかわからない方にも、一人ひとりのお悩みとご希望をお伺いしながら、提案やアドバイスに努めています。
体の悩みは一人で悩まず、まずは一歩踏み出してほしい
再生医療分野にも興味をお持ちだとか。

夢や希望があると思い惹かれました。以前専門性を追求した放射線治療に出会った時の感覚と似ていますが、日進月歩で革新的とも思える分野に可能性を感じます。がん医療の分野がきっかけで興味が惹かれましたが、今後研究が進むと、薬物療法や手術で回復できなかった患者さんにとって、一筋の光になり得るのではないかと思うようになりました。また、再生医療の分野は美容医療にも生かせるのではないかと注目されています。がん治療を行っている患者さんには皮膚の炎症で悩まれる方が多く、医師としてやりきれない思いがありますから、そういった方にもいずれ役立つものになればいいなと願っています。再生医療の分野に関しては過剰な期待もあり、情報が入り乱れて誤解されていることも多いので、適切な知識を広めていきたいとも思っています。女性の健康との関わりは、知れば知るほど面白く、大きな可能性が見えてきます。
不妊に悩んでいる患者さんもいらっしゃるのでしょうか?
はい。当クリニックは不妊治療専門ではなく、卵子凍結や人工授精・体外受精のお手伝いができるわけではありません。採血による卵巣機能検査は可能ですが、基本的には不妊治療専門の施設へ通っていただき、当クリニックは治療の一部をサポートする役割を担っています。不妊治療分野の高い専門性と実績を持つ医師が在籍していますので、不妊で長年悩まれている方や、卵巣機能に不安がある方は一度ご相談ください。
読者へのメッセージをお願いします。

ライフステージの進行とともに女性にはさまざまな悩みが発生します。その際に一人で長く悩みを抱えるのではなく、気兼ねなく打ち明けてください。私自身も身をもって女性ならではの不調を感じることがあり、患者さんの悩みや不調に寄り添える部分があると感じます。一人で悩んでいる時間はもったいないもの。女性スタッフをそろえ、プライバシーが守られた空間を用意するなど、お話しいただきやすい環境を整えてお待ちしています。ぜひ一歩を踏み出してください。