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吉川 裕之 院長の独自取材記事

ベビースマイル レディースクリニック有明

(江東区/有明駅)

最終更新日:2023/03/14

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明 main

江東区有明の大型商業施設内、ベビー用ヘルスケアグッズを扱うショップに隣接する形で「ベビースマイル レディースクリニック有明」はある。プライバシーへの配慮からスモークガラスとされたエントランスを抜けると、ダークブラウンを基調とした落ち着いた空間が広がる。自動ドアのエントランスから広々とした待合室、廊下、診察室に至るまで、ベビーカーのままで進めるバリアフリー設計だ。シックな院内で迎えてくれたのは、吉川裕之院長。婦人科腫瘍を専門とし、豊富な実績を持つベテランドクターだ。「婦人科をもっと身近に活用してほしい」と語る吉川院長に、クリニックの特徴やめざす医療など詳しく聞いた。

(取材日2023年2月21日)

専門性とネットワークを生かし婦人科・産科の診療を

まずはご経歴とこちらのクリニックの成り立ちをお願いします。

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明1

東京大学医学部を経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系)産科婦人科学教授、2015年より茨城県立中央病院の病院長を務め、その後定年退職のタイミングでベビー用メディカルケアグッズを扱う企業からショップに併設院をオープンしたいとお声がけいただき、2020年に開院しました。私は婦人科診療を中心に診療しており、在籍している他の医師が32〜34週あたりまでの妊婦健診を行う産科診療を行っています。これまでは大きな病院で開業医からの紹介を受ける立場でしたが、現在は病気が見つかった方を適切な医療機関へと紹介する立場に変わりました。

どのような患者さんが受診されていますか?

月経異常(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、無月経など)、前がん病変(子宮頸部異形成、子宮内膜増殖症など)、性感染症、卵巣腫瘍、不妊症、更年期障害でのご相談が中心ですが、他院で子宮や卵巣の病気を診断された方がセカンドオピニオンを求めてくるケースも多いです。最近は50代以降で、ホルモン補充療法を希望される方も増えてきたと感じています。また、当院では子宮頸部異形成へのレーザー蒸散術を日帰りで実施しており、この治療の相談でいらっしゃる方も多いですね。近くにあるがん研有明病院から、がん治療後の患者さんのフォローやホルモン補充療法の管理を依頼されることも増えています。地域のクリニックではがん治療中や治療後の患者さんの対応を断られるケースもあるようですが、私の場合、病院でも数多くの症例を診てきたことから、問題なくお受けしています。

エリアや患者さんへの印象をお聞かせください。

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明2

遠方から来院される方も多いのでエリアの特性とは言えないかもしれませんが、知的レベルが高いというか、ご自身で情報を集められてから受診される方が多いように思います。ただし、その情報のすべてが正しいとは限りませんので、診療に際しては正しい情報をご提供することも重視しています。私のように婦人科腫瘍を専門とする医師は、大学病院などに所属しているケースがほとんどで、こうした地域のクリニックで診療している医師は限定的です。お住まいの近くに婦人科腫瘍の専門性を持つ医師が見つけられない方は、ぜひご相談いただければと思います。

前がん病変の診断に注力。ホルモン剤やピルの処方も

病院とクリニックでは診療内容も異なる点が多いのでは?

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明3

私が病院で行ってきたのは、婦人科がんの診断や手術などの治療に加え、新しい治療を開発する仕事です。子宮頸部異形成の進展に関わるHPV型の研究、子宮頸がんの術前化学療法、子宮体がんで子宮温存のための大量黄体ホルモン療法、卵巣がんの術前化学療法、卵巣がんでの妊孕性温存治療など多くの臨床試験に研究代表者として関わり、多くのエビデンスをつくってきました。そうした意味ではクリニックの業務とは大きく異なります。ただし、数多くの症例にあたってきた経験は、見逃しやすい病変を逃さず診断できるよう注力するという点で関わってきました。排卵しにくくなる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病気などは若年性子宮体がんにも関連するのですが、がんの専門病院でも見逃されがちです。不妊をきっかけに見つかることはあっても通常の診療では発見しづらいのです。そうした病変も、見逃しなく診療することをめざしています。

HPVワクチン開発に携わった経験もお持ちとか。

国内で出されたヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんとの関連に関する初期の論文の多くは私が手がけたものですし、ワクチン開発でも開発責任者を務めました。性経験のある女性であれば誰でも感染する可能性の高いHPVは、子宮頸がんをはじめ、膣がんや中咽頭がんなどさまざまな病気を引き起こす恐れがあります。ワクチンで病気のリスクを大幅に抑えることが期待できるというデータも出ており、現在は公費での接種も進んでいます。しかし、副反応への危惧や思春期での性経験を促進するという誤解などで、一時期接種が進まない状況もありました。婦人科では、性習慣や宗教に絡む価値観が診療や予防を妨げてしまうケースも少なくないのです。

ホルモン補充療法について教えてください。

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明4

加齢とともに減少する女性ホルモンを補うための治療です。日本では「自然に任せる」ことが好まれ、この治療に抵抗を感じる方が多いようですが、そもそも現代のように閉経後に40年も生きること自体が不自然ともいえるのです。むしろホルモン補充している方が自然と考えられるのです。生殖年齢を超えて健康に生きるためには必要なのです。ホルモン補充療法は、更年期障害の治療だけでなく、骨粗しょう症予防に大きな役割があるのです。日本では高齢女性の骨折が多いとされていますが、これはホルモン低下で骨が弱くなるため。海外では閉経を迎えたらホルモン補充療法を受けるのがスタンダードです。しかも諸外国に比べ痩せた方が多く、脂肪組織からのホルモン補充が期待できない日本女性に、この治療がなかなか受け入れられないことは残念なことです。とはいえ、近年は希望される方も増えています。

低用量ピルについてもお願いします。

海外では20代女性の6割が飲んでいるともされ、ピルが一般に広く普及しています。しかし国内では徐々にピルの服用を公にすることに抵抗のない女性が増えてきているとはいえ、いまだ十分に普及しているとはいえない状況です。医療認可自体が1999年と遅かった上に、男性社会の無理解・無関心や、女性サイドの過度なタブー感などが原因と考えられます。ピルでは望まない妊娠を防ぐことを図るだけでなく、子宮内膜症に伴う月経困難症やそのほかの月経困難症の治療にも用いられます。これらはいずれも時代とともに増加している病気です。

時代で変わるリスクを踏まえ、女性の健康を守りたい

時代によって増える病気があるのですか?

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明5

今やその罹患者数が子宮頸がんを超える子宮体がんがあります。一つの要因として、現代は出産の機会が減り、こうした病気になりやすくなったということが考えられます。月経困難症や子宮内膜症も同様に時代の変化とともに増加しています。明治時代に女性が生涯経験する月経は50回とされていたのに対し、現代女性は450〜500回もの月経を迎えるそうです。月経の回数が増えればそれだけ月経に関連した病気のリスクも上がってしまうのです。

診療の際に心がけていらっしゃることは?

「皆さんの健康と命を守る」という理念は大切にすべきと考えています。国内で婦人科クリニックは歯科に次いで経営が難しいとされています。だからといって経営上の問題を優先して、不要な検査や治療を行うようなことは絶対に避けるべきです。当院には専門的な治療を必要とする方が多く来院されていますから、本当に必要な方にのみ、適切な検査や治療を提案します。提案した検査を受けたくない場合もあるかもしれませんが、本当に必要と思われるもののみを提案していますので、そこはご理解していただきたいと思います。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

吉川裕之院長 ベビースマイル レディースクリニック有明6

地域基幹病院の負担を軽減するクリニックでありたいです。産科のセミオープンシステムを含め、対応可能な方はお迎えし、病院では重症管理や手術などの病棟ワークに注力できる環境にひと役買いたいです。当院では全年齢の女性の健康を守るため、幅広い相談にお応えしています。女性ホルモンが正常である自律神経失調症には、漢方薬の処方なども行っています。海外では女性のホームドクターは婦人科の医師が担うケースが多く、それほど身近な存在です。ぜひお気軽にご相談ください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

ブライダルチェック/2万7500円、プレコンセプションチェック/3万3000円、9価HPVワクチン/1回目 3万8500円、2回目 3万3000円、3回目 3万3000円、4価HPVワクチン1回目〜3回目まで共通、1回 1万7600円、セカンドオピニオン(吉川医師)/30分以内 1万4300円、母乳の外来/5500円+診察料、初診3300円、再診1650円、4Dエコー/6600円+診察料左記、アフターピル/8800円+診察料左記

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