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田中 篤志 院長の独自取材記事

あわざこどもクリニック

(大阪市西区/阿波座駅)

最終更新日:2026/08/12

田中篤志院長 あわざこどもクリニック main

阿波座駅から徒歩1分、医療ビルの2階に「あわざこどもクリニック」はある。ダークブラウンの木目を基調とした院内は落ち着いた雰囲気で、処置室などの天井には治療への不安を少しでも和らげたいという思いから、青空が広がるクロスを用いている。院長の田中篤志先生は、大阪医科薬科大学卒業後、京都大学大学院で血液・腫瘍分野の研鑽を積み、その後、小児アレルギー診療へと専門性を深め、日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格も取得。救急医療にも数多く携わった経験を生かし、重症度を見極めながら、病院に近いレベルの診療を地域のクリニックで提供することをめざしている。小学生の頃から小児科医を志し、「天職だと思っています」とやわらかな笑顔で語る田中院長に、診療への思いを聞いた。

(取材日2026年7月23日)

小児科医は「天職」と、歩み続けた道のり

小児科医の道を志されたきっかけを教えてください。

田中篤志院長 あわざこどもクリニック1

子どもの頃は体が弱く、扁桃炎や感染性腸炎で2度ほど入院しました。その経験から「将来は小児科医になる」という思いを自然と抱くようになり、卒業文集にも医師になる夢を書いていました。受験の進路を考える時期になってもその気持ちはまったくぶれず、今振り返るとこの仕事は天職なのかなと思っています。もう一つ自分にとって大きかったのが大学時代に父を亡くした経験であり、その出来事をきっかけに「苦しんでいる人の力になりたい」という思いがより強くなりました。日常でも電車で倒れた方に遭遇すれば迷わず駆けつけますし、苦しんでいる人のそばに寄り添いたいという思いがこの仕事を志した原点であり、今もそれは変わっていません。

こちらで開業されるまでの歩みを教えてください。

大阪医科薬科大学を卒業後、京都大学大学院で血液や腫瘍の分野を中心に研鑽を積みました。ただ市中病院では感染症とアレルギーの患者さんが圧倒的に多く、より多くの方の力になりたいという思いからアレルギー診療へ軸足を移していきました。彦根市立病院ではアレルギーを専門とする上司のもとで多くの症例を経験し、若い頃から取り組んでいた小児救急と合わせて今の診療の土台が築かれたと感じています。その一方、勤務医は外来に入るのが毎日ではないため自分の患者さんを継続して診ることが難しく同じ先生に診てほしいという声にも応えきれないもどかしさがありました。自分で患者さんをしっかり診続けられる場をつくりたいと考え、日本生命病院時代の患者さんとのご縁もあり、子育て世帯が多く穏やかなこのエリアで開業しました。

内装や設備面でこだわった点はありますか?

田中篤志院長 あわざこどもクリニック2

内装は心地良い空間にしたいとダークブラウンの木目を基調にしました。お子さんは検査の際に寝た姿勢になることが多いので少しでも安心してもらえたらと思い、処置室やエックス線室の天井には青空のクロスを取り入れています。治療への不安が少しでも和らげばうれしいですね。設備面では血液検査や迅速検査キット、エックス線やエコー、心電図などを備えできるだけ院内で検査が完結できる体制を整えました。小児科は感染症の患者さんも多いため隔離室や簡易陰圧室も設けています。また健診・予防接種と感染症の診療は時間帯を分けることで安心して受診していただけるよう工夫しています。他にも授乳室を設置したり、院内をバリアフリーにしたりと小さなお子さんや保護者の方が少しでも安心して過ごせる環境づくりを大切にしています。

小児のアレルギーや起立性調節障害などに専門性を発揮

小児アレルギーの診療で大切にされていることを教えてください。

田中篤志院長 あわざこどもクリニック3

アレルギーは今や国民病ともいわれるほど身近な病気ですが、だからこそ経験や感覚だけに頼るのではなくエビデンスに基づいた標準的な治療を行うことを大切にしています。特に食物アレルギーは新しい知見も次々と出てきますので、常に最新のエビデンスを踏まえて診療することが重要だと考えています。また喘息では小児と成人で治療方針が同じではなく、薬の選び方や治療の進め方も変わってくることもあり、お子さんには小児ならではの専門的な知識に基づいた診療が必要です。そして治療は始めることだけが大切なのではありません。症状が落ち着けば必要のなくなった薬を適切なタイミングで減らしたり、やめたりすることも同じくらい重要だと思っています。お子さんが必要以上の治療を続けることなく、その時々に合った適切な医療を受けられることが将来の健やかな成長につながると考えています。

お子さんの体調の変化を見極めることも意識されているそうですね。

共働きのご家庭が増え、できれば入院は避けたいという声も多く伺います。クリニックで対応できることは最大限担い、入院を回避できる状態であればしっかりクリニックでケアする。一方で危ないと判断すれば迷わず二次医療機関へ紹介します。その見極めの感覚は若い頃から積んできた救急の経験で培われた部分が大きいですね。例えば勤務医時代、胃腸炎が流行していた時期に嘔吐とふらつきを訴えるお子さんを診て脳腫瘍の診断に至ったこともあり、これは大学病院で血液・腫瘍性疾患を学んだ経験があったからこそ気づけたケースだったと思います。これまでの診療経験を生かし近隣の信頼できる先生方と連携しながら適切な診断につなげること、そしてご家族の負担を少しでも減らせるよう寄り添うことが当院の役割だと考えています。

感染症やアレルギー以外にも力を入れている分野はありますか?

田中篤志院長 あわざこどもクリニック4

当院では起立性調節障害や心身症の診療にも力を入れています。実は私自身、小学6年生の頃に起立性調節障害を経験し朝礼で倒れたこともあります。だからこそお子さんのつらさに共感しながら向き合えると感じていますが、大切にしているのは症状だけでなくその背景を丁寧に調べることです。以前に経験したケースですが、不登校のお子さんを診た際、起立性調節障害の裏に甲状腺の疾患や聞き取り困難症が隠れていたことがありました。このように困り事を一つずつ解きほぐしていくことが解決のために重要なことであると感じています。ただ診断名をつけるよりもじっくり時間をかけ、本人が何に困っていて何がつらいのかを見極めることが大切だと考えています。

一途に真っすぐ、子どもと家族に寄り添い続けたい

患者さんやご家族と接する際に心がけていることは?

田中篤志院長 あわざこどもクリニック5

「一途に真っすぐ小児科医」というのが私のモットー。雑念なく自分にできることを一生懸命やるということに尽きますね。お子さんやご家族の訴えに可能な限り応え、自分が診られることは断らないという気持ちでいます。特に意識しているのは親御さんが訴えようとしていることを見逃さないこと。遠慮して伝えられなかった中に大事な手がかりが隠れていたという経験が何度もあり、何でも話せる雰囲気づくりは常に心がけています。私も父親ですので親御さんの不安に共感できる場面は多いですね。こうした姿勢はスタッフも大切にしてくれていて自発的に動いてくれる彼女たちには感謝しています。

新たに取り組みたいことはありますか?

実現したいのは病児保育です。患者さんから「病院の予約を取るよりも病児保育の予約を確保するほうが難しい」といった切実な声をよく耳にします。実際、地域の病児保育はニーズに対してまったくキャパシティーが追いついていないのが現状かと思います。以前よりぜひ病児保育をやってほしいと背中を押されてきたのですが、誰かが動かなければ状況は変わらないとも感じています。日々の診療を通じて患者さんの期待の大きさはよく伝わってきますし、その声に応えていくことも役割だと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

田中篤志院長 あわざこどもクリニック6

当院は月曜日から土曜日まで診療しており、困った時に思い出してもらえる、いわば地域の駆け込み寺のような存在でありたいと思っています。アレルギーも心身症も適切なタイミングで適切な医療を受けることが何より大切。特にアレルギーのお子さんは今後も増えていくといわれていますので、当院に限らずガイドラインに基づいた標準的なアレルギー診療を大切にしている先生に相談していただきたいと思います。また、心身症や発達に関する悩みについては診断名をつけることが目的ではありません。お子さんが何に困っていて何がつらいのかを丁寧に聞き、一緒に考えてくれる先生と出会うことが大切だと思っています。一人で抱え込まずぜひ医師と一緒に一つずつ向き合っていきましょう。その積み重ねがお子さんにとってもご家族にとっても一番の近道になるはずです。