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森 盟 院長の独自取材記事

もり在宅クリニック

(名古屋市中川区/高畑駅)

最終更新日:2020/05/25

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名古屋市中村区、中川区、港区を中心に、通院困難な人を訪問診療でサポートする「もり在宅クリニック」。森盟(もり・ちから)院長は神経内科の医師として脳卒中や認知症などで通院に苦労する患者やその家族を多く見てきた経験から、訪問診療の重要性を痛感。2020年4月、開院に踏み切った。医院のコンセプトどおり、患者とその家族にとっての「幸せ」のため24時間365日奮闘する森院長。人の役に立ちたい……。院長のそんな優しく熱い思いを感じられる取材となった。
(取材日2020年5月7日)

通院困難な患者と家族のため訪問診療専門医院を開院

医師をめざされたきっかけは?

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医師になろうと決心したのは、高校で進路を真剣に考え始めた頃です。将来自分はどんな仕事をしたいかと考えた時に、「一番困っている人の役に立ちたい」と。それなら自分がやりがいを持ち続けて一生仕事ができるなと思ったんです。僕は子どもの頃病弱でよく入院したのですが、その経験から、病気で寝てる患者さんもそうですが、看病する家族が一番困っている人なのかなと考えました。もちろん世の中にはそのほかの理由で困っている人も多くおられるのですが、高校生で知識のなかった僕には、そう思えて、医師への道を選びました。

医師でも神経内科を選んだ理由と、実際に医師となった感想は?

研修医の時にほぼ全科の勉強をするのですが、その中で神経内科が僕にとっては一番面白く感じたんです。血液検査をして「こういった結果です」といった診断もいいのですが、神経内科では実際に患者さんに触れて、かつ論理的に診断していく。そういうところに面白さを感じて選びました。医師となり好きな仕事でお金を頂いて、診察した患者さんからお礼を言っていただく。お礼はなくても自分が治療をした患者さんが元気になられていく。そんなことに大きな喜びを感じています。

訪問診療専門のクリニックを開院した経緯は?

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神経内科の外来では、認知症のある方、パーキンソン病や脳卒中で歩行が困難な方、在宅酸素ボンベを持ってストレッチャーで来られる方、吸痰をしなければいけない方などをご家族が苦労されながら連れてこられるケースを多く見てきました。待ち時間も長く、患者さんにも家族にも非常にご負担がかかる。連れてくるのが大変というだけでなく、痰づまりなどの命の危険を感じることも多かったんです。特別な病気でなくても神経内科の外来に来られる方にはご高齢者が多く、単に転んだだけで通院しにくくなることもあります。そういった方々を診るうちに、僕が患者さんのご自宅へ出向くほうがいいのではないかと考えたのが開院のきっかけです。僕が住んでいる中川区と出身地である港区、研修医の時にお世話になった中村区、これらの地域に恩返しできればと、ここで開院することに決めたのです。

24時間365日体制で患者と家族を支える

患者層について教えてください。

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80歳以上の高齢者が中心で、認知症や脳卒中後の方が多数を占めます。病院からの紹介患者さんも多く、終末期で入院治療が必要だけれども、「最後の最後は自宅で」といったご希望の方の緩和ケアも行っています。もともと僕は神経内科の医師ですので、認知症や脳卒中のほか、パーキンソン病といった神経難病も得意としていますが、がん末期や心疾患、肺疾患等何でも診ています。血液検査や尿検査、心電図検査、超音波検査などさまざまな検査も、訪問診療で可能です。

リハビリテーションも在宅でできるのですか?

理学療法士とも連携をとり対応しています。機能を回復していく急性期のリハビリテーションとは異なり、今ある機能を最大限使えるように訓練していく目的で行っています。例えば、麻痺で手の可動域が限られている人には、今動かせる機能をうまく使う工夫や方法を考え、少しでも日常生活がスムーズに送れるよう訓練していきます。毎日毎日行うのではなく、週に1回か2回理学療法士が行ってサポートし、患者さんやおうちの方に、「普段はこういうふうにトレーニングしてください」とお伝えする、そんなリハビリテーションです。

訪問診療の依頼は増えていますか?

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明らかに多くなっています。現在、国は入院の病床数を減らし、1人が1回あたり入院できる日数もできるだけ減らすという方針ですので、長期入院が今後ますますできなくなっていきます。外来に通えるくらい元気にはなっていない状態で病院から退院ということもあります。そうした方々の受け皿となるのが在宅医療なのですが、実際には対応する医師が少なく、入院で急性期の治療が終われば次は療養型病院か施設という選択肢しかないことも少なくありません。外来診療の空き時間に訪問して回る先生もいらっしゃいますが、重症患者も24時間診ますという訪問診療専門のクリニックはまだ少ないのが現状で、ケアマネジャーさんもなかなか訪問診療を提案できない地域なのです。

受診の流れを教えてください。

最初はケアマネジャーや病院の地域医療連係室の方から当院に依頼があり、契約してから訪問診療を開始するかたちになります。訪問の頻度は月に1回か2回。予定を立てて定期的に診察します。それとは別に患者さんの調子が悪い時は、電話をいただいて緊急で行く場合もあります。また、訪問看護ステーションも24時間365日対応の体制を整えているところが多くて、患者さんと契約を結んでいるので、患者さんはまずステーションに電話して看護師さんが状態を見に行き、必要だと判断したら当院に連絡をするというケースもあります。

患者と家族の「幸せ」のためのサポートを

診療の際に気をつけていることは?

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患者さんには人権があり、皆さんそれぞれに「こう生きたい」という思いがあります。特に終末期は自分に残されたわずかな時間であり、ご本人やご家族が「こうしたい」という思いがあれば、すべては難しくてもできるだけ多くを尊重したいというのが僕のスタンスです。明らかに間違ってることはできませんが、ある程度許容できる範囲ならかなえて差し上げたい。例えば、外出が難しいという状態でも、最後に一度どうしても外に出たいと言われる方がいれば、できる手段を考え手配します。僕は在宅医療を提供していますが、もしご家族で相談されて「やはり施設や病院に行く」と決めたなら、それを尊重して相談に乗るということもしています。介護者が疲れてしまわないよう気を配ることも重要と感じます。

患者さんや家族の「幸せ」を第一に考えておられるんですね。

ええ。いろいろ考えた結果、病院へ行くのがいいというならそれでいいと思うんです。幸せは人によってさまざま。意識が多少遠のいたとしても痛みを取りたいという人もいれば、痛みを残してもいいから意識を持って家族とお話ししたいという人もいます。その患者さんが思うベストな最後の時間の過ごし方を少しでも手助けしたい。もちろん患者さんとご家族の意見がずれてしまうこともあります。そんな時に僕ができるのは、正しい情報をお伝えすることだけ。知識がないから怖くなるということもあるので、ちゃんと説明してあげれば怖さが消える。まずは全部クリアにしてみんなが知識を持つ。それで家族でしっかり話し合って決めていただくようお願いしています。

今後の展望は?

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まずは、当院の訪問対象エリアである中川区、中村区、港区の診療圏にお住まいで、自宅療養を希望する方全員が満足される環境をつくれたらいいなと思っています。今は当院には医師が僕1人で限界はありますが、なるべく多く手伝いたい。もちろん僕でなくてもほかに往診する医師が増え、みんながハッピーに暮らせればいいなと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、今後長く入院できる方は減ってくるでしょう。高齢で終末期に入ってくると、「自宅で療養してください。家族が面倒見てください」と言われ、入院できない人が増えてくると思います。それを知っておくのと同時に、実は、在宅介護・在宅医療は思うほど怖くないということも知っておいていただきたいです。支えてくれる人も多く、そういうサービスを上手に利用すれば、穏やかな自宅療養を送ることは可能です。実際に在宅療養を選択して幸せに暮らしている患者さんやご家族を、これまで多く見てきました。病院のほうが安心するという方はそれでいいと思いますが、家という生活環境を好むのであれば、一つの選択肢として考えていただいていいのではないかと思います。

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