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石黒 秀行 院長の独自取材記事

いしぐろクリニック

(土岐市/土岐市駅)

最終更新日:2025/04/17

石黒秀行院長 いしぐろクリニック main

白い外壁が印象的な「いしぐろクリニック」。土岐市駅から徒歩5分、駐車場も完備し車でも通いやすい。大学病院に長年勤務していた石黒秀行院長が、地元に還元したいとの思いから2020年4月に開業。日々の診療のみならず、がん予防の啓発や健康に関する情報発信にも力を注いでいる。「先端医療情報を提供することで、町の活性化につながれば」と熱く語る石黒院長。各種検査機器を取りそろえ、病気の早期発見、専門医療機関への橋渡しの役割も担う。地域にとって頼もしい存在だ。開業のきっかけから今後の展望まで、すべてに地域への熱い想いが感じられる取材となった。

(取材日2022年3月23日/再取材日2025年1月8日)

生まれ育った土岐市に「医療」で還元すべく開業

まず、医師をめざしたきっかけを教えてください。

石黒秀行院長 いしぐろクリニック1

小学生の時に経験した入院がきっかけです。それまでは建材屋を営む父の後を継ぐことを考えていましたが、病気になって「材木を担ぐといった力仕事はできないかもしれない」と思ったんです。入院先の病院では、小児科の先生や看護師さんが優しく接してくれて、医師の仕事に憧れを持ちました。また、病気で学校に行けなかった時、担任の先生が野口英世の伝記を持ってきてくれて、「小さい頃に大けがを負って障害があっても、医師になった人がいるんだよ」と教えてもらいました。さらに、高校1年の担任の先生に進路について背中を押してもらい、勇気づけられたことも大きなきっかけです。振り返ってみると、本当に周りの人に恵まれてここまできていると思います。

勤務医時代に印象的だった出来事はありますか? 

医師になって3年目、地方の病院勤務時に、ご自宅で患者さんを看取ったことが強く印象に残っています。当時は在宅医療という言葉もまだ浸透していない時代で、家で最期を迎えたいという患者さんの思いをかなえるために往診していました。患者さんの最期を見送る時のご家族の笑顔、そして患者さんの満足そうな表情が忘れられません。往診を始める前までは、ご家族に号泣されながら病院で見送られる方を見てきましたから、そういう最期の迎え方は初めての経験でした。消化器外科の医師として17年間大学に在籍し、やがて准教授になりましたが、勤務医時代のこの経験もあり、「一人ひとりの患者さんと深く関わる診療をしたい」と心のどこかで思っていました。

なぜ、地元での開業に踏みきったのですか? 

石黒秀行院長 いしぐろクリニック2

ある日、地元で同窓会があり久しぶりに土岐市にやってきました。土岐市駅に降り立った時、昔の活気との差に少し寂しさを感じ、「地元の人たちに貢献したい。何の貢献もしないでいたらきっと後悔する」と思ったのです。残りの医師人生、町の活性化のために何かできることを考えた時に、地元での開業を決意しました。まずは先輩の開業医の先生のもとでゼロから勉強をスタート。親友の整形外科と小児科の医師に頼み込んで、外来の対応を勉強させてもらったり、開業する場所を探す際に地主さんに想いを伝え、快く了承していただいたりするなど、開業にあたり多くの方々が親身になって協力してくれました。地元でのつながりを強く感じましたね。

健康相談から多様な検査まで対応する「町の保健室」

診療の際に大切にしていることを教えてください。

石黒秀行院長 いしぐろクリニック3

「町の保健室」をキャッチフレーズに掲げています。病院やクリニックへ行くことにハードルを感じ、なかなか受診できない方も少なくありません。特に「病気かどうかわからない」「少しだけ調子が悪い気がする」といった症状ですと、医師に相談することをためらってしまう方が多いと思います。そういった受診に対するハードルの高さを取り除き、学校の保健室のように立ち寄って、気軽に相談してほしいという意味を込めています。開業当時は新型コロナウイルスが流行していたこともあり、受診を控える方が多く、患者さんはほとんどいませんでした。その状況を踏まえ、早期にPCR検査と新型コロナウイルスのワクチン接種を始めると、今度は患者さんが一気に増えました。その時の来院をきっかけに、当院をかかりつけ医にされている方もいらっしゃいます。そんな時期に開業したからこそ、「どんなニーズや相談にも対応していこう」と覚悟が決まったのだと思います。

中学生を対象とした「がん教育」にも取り組まれているそうですね。

土岐市の教育委員会から依頼を受け、市内すべての中学校で、がんに関する講演を行いました。食生活や喫煙、飲酒が健康に及ぼす影響や、子どもの頃の食生活や腸内環境が将来のがんリスクを高める恐れがあることを知ってもらうことが目的です。ですが、中学生に対するがん教育は、先生方もまだ手探り状態。そんな中、がんの原因や治療、手術などについて、いかにして中学生に本当のことを伝えるかが課題でした。講演では手術の様子を見せ、ドラマで見る手術との違いも説明しました。顔を伏せる人もいましたが、「本当の手術が見られて良かった」と言ってくれる人もいましたね。講演を聞いた中学生が自分自身だけではなく、家族の健康やがん予防についても考え、家庭内で講演内容を共有してくれたらうれしいですね。

正しい知識を身につけてもらうことが大切なのですね。

石黒秀行院長 いしぐろクリニック4

はい。ネットの情報をうのみにせず、正しく健康管理をしてほしいと思い、情報発信や啓発活動に力を入れています。特に、大人に正しい知識を身につけてほしいですね。最近、子育て中の親御さんから「子どもの風邪のために抗生物質を出してほしい」とお願いされることがよくあります。風邪の症状が出ているので、抗生物質を服用させたいようです。抗生物質は、細菌による感染症には有用ですが、ウイルスによる感染症には効果が出ません。抗生物質を多用することで、免疫力の低下や腸内細菌の悪化など、子どもの健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。本当に必要な時は使用すべき薬剤ですが、風邪薬だと思われている方もいます。正しい知識をお伝えするために、当院では誰でも参加できるセミナーを実施しています。家族や知人に情報を共有して、正しい情報が少しずつ広まっていくはずと地道に活動しています。

先端医療の提供・幅広い診療で、町の活性化につなげる

こちらのクリニックでは、どのような検査が受けられるのでしょうか? 

石黒秀行院長 いしぐろクリニック5

胃内視鏡検査、骨密度検査、超音波検査、エックス線検査などに対応しています。さまざまな検査を行い、結果によって高度な治療や手術が必要だと思われる場合は、病院や専門医療機関を紹介しています。また、がんによる痛みの緩和治療にも対応していますし、訪問診療による末期がんの患者さんへの治療も行っています。

スタッフの皆さまについて教えてください。

現在、11人のスタッフが活躍しています。ベテランが多く、頼りになる存在です。スタッフに伝えていることは、患者さんファーストで対応すること。当たり前のことかもしれませんが、私を含めスタッフ全員が患者さんのことを第一に考えて行動しなければ、患者さんとの信頼関係は築けません。さらに、私がめざす地域の活性化の思いも共有し、同じ目標を持って仕事に取り組んでほしいと願っています。今後の課題は、患者さんの数が増加している状況で、どのようにして待ち時間を解消しながら、患者さんと対話する時間を確保するか。スタッフの意見を取り入れながら、さまざまな方法を検討しています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

石黒秀行院長 いしぐろクリニック6

私の専門である消化器だけではなく、内科、呼吸器内科、外科、肛門外科、小児科、リハビリテーション科と幅広い診療内容に対応していますが、診断から治療まですべて当院で完結できるわけではありません。入り口を広くしてさまざまな相談に応じ、正しい診療が受けられる場所に振り分けることが、当院の役割だと考えています。さらに、病気の予防や正しい情報の発信も継続する必要があると思います。土岐市で私たちのめざす医療を提供することで、健康で長生きする人が増え、町の活性化につながってほしい……。それが私の願いです。

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