越智 貴紀 院長の独自取材記事
おち内科・ペインクリニック
(松山市/北久米駅)
最終更新日:2023/11/17
商業施設も多い松山市東部エリア。国道11号線に少し入ったところにある「おち内科・ペインクリニック」。2020年4月1日に開院した、一般内科とペインクリニックを展開するクリニックだ。白を基調にした洗練された空間に、吹き抜けがある高い天井の待合室。これは「患者が心穏やかに過ごせるように」と越智貴紀院長がこだわって設計した空間だ。例えばペインクリニックでは、神経ブロックの後は30分、場合によっては1時間程度、患者が休んでから帰るため、息苦しい空間とならないように気を配ったという。さらに2023年11月より増築し、CTとMRIを導入。内科とペインクリニック内科を標榜し、幅広い患者に地域のかかりつけ医として頼られることをめざす同院。今回は越智院長に、同院ならではの強みや今後の展望について聞いた。
(取材日2022年5月20日/取材更新日2023年11月10日)
痛みに悩む患者の受け皿になり、地域医療に貢献したい
開業しようと思ったきっかけを教えてください。
地域医療に貢献したいと強く感じていたからです。自治医科大学卒業後、地域医療に携わった後も、専門性を身につけたらまた地域医療に戻りたいと感じていました。愛媛県立中央病院では、整形外科などの手術にも麻酔科医師としてずっと携わってきて、「どういう症状で来た方がどういう手術を受けて、どういった疼痛管理が必要か」をずっと見てきました。だからこそ、大きな病院での治療や手術についての情報を患者さんに教えてあげられるし、相談に乗ることもできます。地域医療プラスアルファとして、大規模病院での経験や知識を生かしつつ、麻酔科の医師として神経ブロック注射の提供にも注力していきたいですね。
先生が得意とする神経ブロックについて教えてください。
神経ブロックは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射し、鎮痛する目的のもの。用いる注射針は細いので、刺すときにチクッとしますが、それほど強い痛みを感じることはないと思います。注射自体は数秒で終わり、後は処置室のベッドでお休みいただいて、安全性を確認した上でお帰りいただきます。当院では神経ブロックだけでなく、一般内科と痛みの治療を併せて患者さんにご提供できるのが強みです。外科の経験もありますので、幅広く全身を診ていけるかと。痛みに悩んでいる人たちの広い受け皿になれたらうれしいですね。ブロック注射も日々進化し、いろいろなやり方が考案されています。開業してから情報がストップしてしまわぬように、勉強の毎日です。開業後も県立中央病院麻酔科での勤務は続けていく予定なので、常に最新の情報や大規模病院での流れを知りながら治療にあたっていきたいと思っています。
ペインクリニックへはどんな症状のときに受診すればいいのでしょうか?
肩凝りや腰痛、がんや糖尿病、関節炎など慢性疾患の痛みが続くときや、明らかな原因がないのに、鈍い痛みが慢性的に続いているときなど、とにかく体の痛みにお悩みの方はお気軽にご相談いただきたいです。私は、やみくもに痛み止めを行うのではなく、丁寧にお話をお聞きし、なるべく原因を追求した上で、痛みのもとを断つ治療を心がけています。痛みの種類によっては、神経ブロック注射などの治療をしてもすぐに結果が出ない場合もあります。その可能性についてもしっかりとご説明をして、痛みをうまくコントロールしていけるように寄り添っていきます。なぜ痛いのか、もっと痛くなるのか……、不安があると痛みは増幅してしまいますが、「なぜ?」がわかると患者さんも落ち着くと思うんです。ですから、痛みに関する負の連鎖を止めることに、ペインクリニックの存在意義があるのかなと感じています。
院内は自然光が入りリラックスできる空間ですね。
患者さんにリラックスしていただけるよう、吹き抜けと大開口窓により明るく開放的な待合室にしました。愛媛県産ヒノキを使った木製パネルや化粧天井で、落ち着けるスペースになっていると思います。神経ブロックの後は15分~30分程度休憩していただく必要がありますので、処置室は閉塞感がないよう、窓から外の景色を見ることができる設計に。植栽もこだわってますので、緑に癒やされながらゆっくり過ごしていただきたいですね。患者さんにはリラックスしていただける空間、スタッフには働きやすい環境を意識して、院内動線にもこだわりました。
患者のために、的確かつ適切な医療を提供したい
医師をめざしたきっかけは何ですか?
母親が元看護師で、時折体のことについて話すことがあり、人間の体に興味を持ったのがきっかけで、医学部をめざすようになりました。自治医科大学では、地域医療に貢献するという約束のもと勤務しており、一人ひとりの患者さんに向き合う大切さを学びました。1日の間に診られる患者さんが限られていたので、外来や往診で1人の患者さんの背景に関われることを楽しくも感じていました。大学での経験が、地域医療に貢献したいという気持ちにもつながっています。
医師として心がけていることはありますか?
「理屈にかなった正しいことをする」ことはずっと心がけています。麻酔科では、薬の反応がダイレクトかつ正直に返ってくるんです。だから、自分のやっていることが正しくないと患者さんの状況が悪くなり、良い結果、良い状態を保てません。自分にとっても、患者さんにとっても正しいことができる、的確な医療を提供する医師をめざしたいです。優しさだけで病気は治らないと考えているので、いつでも医学的に正しいことを患者さんに提供していきたいです。患者さんのためになるのなら、内科診療や痛みの治療だけでなく、他の分野についても積極的に勉強して、できるだけ幅広く対応していきたいです。
医師という職業にやりがいを感じる瞬間を教えてください。
月並みですが、やはり「ありがとう」という言葉をもらえた瞬間です。麻酔科医師としては、自分のやったことがダイレクトに結果として表れるので、自分の対応が的確で、患者さんが穏やかな反応をしてくれるとうれしくなります。伝達麻酔をする場合だと、患者さんが起きていて痛みの有無を教えてくれるので、痛みに配慮した手術ができます。伝達麻酔がしっかり効いたことが確認できれば、結果的に、その他の鎮静薬や注射で使う医療用麻薬など、無駄な薬を体に入れずに済むことにもつながります。そんなときにも、適切に処置ができた、良い仕事ができたな、とうれしく思います。
地域のかかりつけ医として幅広い悩みの窓口になりたい
開業するにあたって、このエリアを選んだ理由を教えてください。
自宅の近くであることが大きいです。自分の住んでいる街ならば、夜間に急患があったときでもすぐ駆けつけられますから。自宅から離れていると、どうしても診療しづらくなってしまうんです。また、自分の家族にとっても近いほうがいいな、と。学生結婚をして現在子どもが8人おり、休日は子どもと遊ぶこともあります。40歳からはテニスも始めて、自宅近くのスクールにも通っています。これもクリニックが自宅から近いからこそできることなんですよね。自分の住んでいるところで、家族を大切にしながら自分なりの地域医療をしていきたい。そしてこの地で信頼されるように頑張っていきたいというのが現在の思いです。
今後の展望を教えてください。
メインはやはり地域医療に貢献していくこと。地域の方々が喜んで通院してくれるようなクリニックをめざしたいです。ブロック注射を学んできたので、その技量を生かしていきたい気持ちもあります。地域の方だけでなく、遠方からもぜひ来院いただいて、患者の皆さんのお役に立てればと思います。県立中央病院や他の総合病院との連携も継続し、子どもからお年寄りまで、幅広い悩みを持つ方々の窓口として、地域のかかりつけ医の使命を果たしたいです。新しい医療も積極的に取り入れ、常に患者さんのためになる医療をめざしていきたいと考えています。
読者の方へメッセージをお願いします。
例えばおなかが痛いとき、消化器内科に行ったらいいのか、外科に行ったらいいのか、わからない患者さんは多いと思います。私は内科も外科も経験していますので、いろいろな病気の可能性を探ることもできます。いろいろな症状や痛みの窓口になれるのが当クリニックの強みでもあります。お話を聞いてみたら、思わぬ病気が潜んでいたということもあるので、まずは一度ご相談を。どの科を受診すればいいのかの相談に乗ることもできますよ。心配なことがあったり、なんとなく体調不良だったりするときには、ぜひ気軽に受診してください。