田中 佑来 院長の独自取材記事
桂川歯科クリニック
(京都市南区/桂川駅)
最終更新日:2025/06/18

JR京都線・桂川駅から徒歩4分、久世七本松バス停留所のそばに「桂川歯科クリニック」はある。院内はベビーカーや車いすでも快適に利用できるよう、バリアフリー設計を採用し、キッズルームやおむつ交換台も用意されている。院長の田中佑来(たなか・ゆうき)先生がクリニックの基本に据えているのは、患者とのコミュニケーションを大切にした歯科診療。十分な時間を確保して、一人ひとりの患者への丁寧な対応に努めている。また、治療の際には、悪い部分だけを診るその場限りの対応ではなく、患者が抱える問題をしっかりと把握し、将来にわたって歯を長持ちさせるために役立つ治療計画を提案している。田中院長に、診療の特色や注力している治療、全幅の信頼を寄せるスタッフとのチーム診療などについて尋ねた。
(取材日2025年5月14日)
患者とのコミュニケーションが何よりも大切
どのような患者さんが多く来院されていますか?

患者さんの年齢層はお子さんからご高齢の方まで幅広く、中でも20~50代の働き世代が大半を占めています。定期検診で通われる方も多いです。口腔内の状態をしっかりと説明することに力を入れていますので、定期的に検診に通われる方がさらに増えるといいですね。最近はセカンドオピニオンを求めて来院される方も増えていますね。周辺に新しくマンションが建設されていることもあって、ご家族での来院も多く、家族ぐるみで来てくださる様子を見ると、本当にうれしいですね。
診療の際に心がけていることを教えてください。
患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切にしています。歯科医師としてどれほど技術を持っていても、人と人との信頼関係がないと医療は始まらないと考えているからです。例えば、1時間の枠内で4人の患者さんを担当すると、一人ひとりと接する時間は短くなってしまいます。患者さんは不安に思うことも聞けずに、どこか物足りない気持ちのまま帰られるかもしれません。歯科医師として、しっかり治療するためにはどうしても時間が必要になるんです。このため当院では、初診の検査の際は1時間を確保するようにして、お口の中の写真やエックス線検査の画像などを見ていただきながら、丁寧な治療と説明を心がけています。
写真や画像は診療室のモニターに映すことができるのですね。

はい。口腔も内臓と同じく体の一部なので、ご自身のお口の中に興味を持っていただくきっかけになればと考えています。病気が発症した日や手術した日を覚えている人は多くても、歯を治療したり抜いたりした日をはっきりと覚えている人は少ないと思います。ですので、ご自身のお口の中の写真を見ていただくことで、より記憶に残ればと思っています。詳細なデータを採取することで、次回以降の治療に役立ちますし、治療前後の状態を比較することもできるので幅広く活用しています。
先生の診療ポリシーを教えてください。
「一口腔一単位」を基本に据えて、患者さんのお口全体を診るようにしています。悪いところだけを診る局所的な治療ではなく、お口の中を一つの単位と考えて、患者さんの抱えるさまざまな問題を把握することで、お口の状態の根本的な改善をめざす治療ですね。患者さんのお口の中を長く良い状態に保つためには、こうした治療が必要だと考えています。「悪いところだけ治療してほしい」と考える方もおられますが、最初に当院の治療方針をわかりやすく説明して、しっかりとご理解、ご納得いただいた上で、治療を進めるようにしています。
スタッフが主体的に診療に関わる
歯周病治療に注力されていると伺いました。

お口の中を良い状態に保つためには、歯周病に対してしっかりとした治療やケアを提供することが欠かせません。歯そのものをどれほどきれいな状態に維持できても、それを支える歯茎や骨が駄目になってしまうと、歯が抜け落ちたりするリスクがあるからです。家に例えると、どれほどすばらしい部屋や家具があったとしても、土台となる基礎部分がしっかりしていないと安心して住めないということです。とりわけ歯周病は初期症状が自覚しにくいため、当院では「治療の終わりがスタートです」とお伝えして、定期検診をお願いしており、検診の際にも初診同様1時間の時間枠で対応しています。治療の初期段階で当院の診療姿勢を詳しく説明して、ご理解、ご納得いただいているので、皆さんしっかりと通ってくださいます。
定期検診では歯科衛生士さんの役割が大きいですね。
歯科衛生士には、患者さんのお口の状態をしっかり確認して、それぞれの能力を十分に発揮してもらえるように、1人に1台ずつ精密に処置するための拡大鏡を支給しています。患者さんの定期検診や予防ケアに関する治療計画は、僕と話し合いながら決定していますし、定期検診で治療が必要と考えられる部分が見つかった場合は、院内のシステムを使って僕とリアルタイムで情報を共有してくれます。患者さんの状態を確認して指示を出せるので、ありがたいですね。僕は目の前の患者さんの治療により集中できます。
スタッフさんたちの雰囲気も良いですね。

患者さんや業者さんから「感じの良い人ばかりですね」とお褒めの言葉をよくいただくんですよ。勉強熱心で、主体的に仕事に取り組んでくれる人ばかりです。受付スタッフは、患者さんを明るくお迎えするだけでなく、患者さんの治療内容に応じて診療枠の調整をしてくれます。アシスタントスタッフは、診療中に私が次にしたいことや必要な器具を理解して率先して準備をしてくれるので、集中して治療に取り組むことができ、治療の効率やクオリティーを高めることに役立っています。スタッフ間のコミュニケーションも良好なので、患者さんへの対応にも良い影響を与えていると実感することも少なくありません。全員が当院の治療コンセプトである患者さんとのコミュニケーションや信頼関係、将来を見据えた包括的な歯科診療の大切さを理解してくれているからこそ、良い循環ができているのだと思います。本当にありがたいことです。
患者が信頼できるような診療提供に努める
院内はゆとりを持って設計されていますね。

設計の際は、患者さんのプライバシーを守ることと、スタッフが働きやすい環境づくりをすること、この2つにこだわりました。各診察室には専用の入り口を設けて、患者さんとスタッフの動線を完全に区分しています。そうすることで、診察中の患者さんの周りをほかの患者さんやスタッフが通り過ぎることがなく、患者さんはもちろん、スタッフの精神的な負担を軽減できると考えたからです。また、スタッフがより動きやすいよう、バックヤードの洗い場から滅菌場まで、業務の流れに沿って横移動できるような設計となっています。患者さんの視点に立った「治療を受けたい歯科クリニック」、医療従事者として「働きたい歯科クリニック」はどちらも重要なので、両方を実現できるように設計にしたのです。
設備機器も充実していますね。
歯科用CTやマイクロスコープ、口腔内スキャナー、そして最近では歯周病治療に用いるYAGレーザーも導入しました。とはいえ、これらの設備は、当院がめざす医療を実現するための"手段"に過ぎません。どれほど先進的な機器をそろえていても、それだけで患者さんにとって良い治療が提供できるわけではありません。そのため、私たちは日々の診療の中で、「当たり前のことを当たり前にしよう」とスタッフと共有しています。ここでいう"当たり前"とは、例えば、患者さんの話にしっかり耳を傾けること、器具を丁寧に扱い清潔を保つこと、常に時間を守ること、治療の根拠を説明し納得いただいてから進めること、知識や技術を学び続け、アップデートし続けること──こうした一つ一つを確実に積み重ねることを意味します。これらの基本をおろそかにせず、誠実に積み重ねていくことこそが、患者さんにとって快適で信頼できる診療環境の土台になると考えています。
今後の展望をお聞かせください。

当院の考え方や治療方針を、より多くの方に理解してもらえるよう、情報発信にも注力しながら、今後も患者さんとの信頼関係を大切にした歯科診療の提供に努めていこうと考えています。お口に関するお悩みや困り事を気軽に相談してもらえる歯科クリニックであること、「桂川歯科クリニックで治療して良かった」と思ってもらえるような診療の提供を、今後もスタッフとともに追求していきます。