前田 充秀 院長の独自取材記事
六本松通りクリニック
(福岡市中央区/六本松駅)
最終更新日:2025/06/26

近年、めざましい発展を遂げている六本松エリア。そのメイン通りに面した「六本松通りクリニック」は、2019年8月に開業したクリニックだ。脳神経・脊椎脊髄外科から、一般的な内科、生活習慣病の管理まで、幅広い診療を行っている。クリニック内には緑や花、自然をモチーフにした絵画が飾られ、リラックスできる雰囲気が漂う。優しい笑顔と穏やかな語り口が印象的な前田充秀院長は、脳神経・脊椎脊髄の外科を専門とし、大学病院や総合病院でさまざまな手術を手がけてきた。MRIをはじめ、先進の検査機器を導入して、迅速で精密な診断と治療を提供している。「患者さんの気持ちに寄り添う、地域のかかりつけ医でありたい」と語る前田院長に、開業に至った経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2020年5月27日)
祖母の思いを胸に、医師の道へ
先生が医師を志したきっかけ、脳神経外科を選んだ理由はなんですか?

高校を卒業するタイミングで、祖母が病気を患ったのが大きな理由です。私の両親は医師ではないのですが、もともとは医師の家系だったらしく、祖母から「お医者さんになりなさい」と言われて育ちました。だけど、最初は全然そのつもりはなくて。小さい頃から飛行機が大好きだったので、パイロットになりたいと思っていました。しかし、祖母が病気になった時に、その思いを受け継いで、病気で苦しむ人を助けたいという気持ちが自然に芽生えたんです。このことがきっかけとなり、久留米大学医学部に進学しました。入学した時から外科に興味があり、心臓血管外科と脳神経外科のどちらにするかで迷いましたが、未知な領域が多いことや顕微鏡を用いた手術をやってみたいという思いから、最終的に脳神経外科を選択して今に至ります。
開業を決意した経緯を教えてください。
開業するまでの19年間、脳や脊椎、脊髄などの手術を中心に、大学病院や総合病院で研鑽を積んできました。そこでたくさんの患者さんと接するうちに、病気が悪化する前の早い段階で食い止める必要があると感じたのです。より近い距離で診療を行うことで、地域の皆さんの健康づくりに少しでも貢献したいという思いから、開業を決意しました。市の中心部からのアクセスが良く、患者さんが公共交通機関で通いやすい場所を探していたところ、巡り合ったのがこの場所です。「どこの病院に行けばいいのかわからない」「軽い症状で、大きな病院には気軽に行きづらい」とお悩みの患者さんにこそ、来ていただきたいですね。患者さんの病気の早期発見・早期治療、および予防の一助になれば、こんなにうれしいことはありません。
内装や設備でこだわったところはありますか?

大学病院などに行かずとも、ここで同レベルの検査が受けられるよう、MRIをはじめとする新しい機器を導入しています。診察スペースは、プライバシーに配慮した完全個室です。患者さんが来院されたら、できるだけ速やかに診察室へご案内して、待合室で長くお待たせしない工夫をしています。また、一般的にクリニックは無機質で冷たいイメージを持たれがちなので、当クリニックでは観葉植物や心を癒やすようなアートを多用して、明るく、ゆったりとした空間にしました。脳神経外科は敷居が高いと思う方も多いかもしれませんが、できるだけリラックスできる雰囲気づくりをして、地域に開かれた場所にしたいと思っています。
患者の目線に立った、心に寄り添う医療を実践
開業してみて、勤務医時代と変わったことはありますか?

仕事内容はがらりと変わりました。勤務医時代は手術を中心に治療にあたっていたので、外来を担当するのは週に1回だったんです。今はそれが毎日ですから、患者さんと接する時間は格段に増えました。一人ひとりとじっくり向き合えることに勤務医時代とはまた違ったやりがいを感じています。当クリニックに通っていただくことで、大きな疾患を未然に防げた時の喜びは大きいです。地域の方々に元気で長生きしてもらうよう貢献することが、私の役割だと思っています。今年に入って、地域の皆さんを対象にした健康セミナーも行いました。こうした啓発活動を通じて、地域全体の健康意識の向上に努めたいですね。
どのような患者さんが多いですか? 来てほしい症状やタイミングがあれば教えてください。
男女ともに一番多いのは、40代の患者さんです。上は80代くらいまでいらっしゃいます。頭痛、めまい、手足のしびれや痛みを訴えて来られる方が多い印象です。脳神経外科というと脳の病気だけを診るというイメージがあるかもしれません。でも実は、頭のてっぺんから足先まで、すべての神経を診察・治療するところです。実際に、首や肩の痛みで来院される方もたくさんいらっしゃいます。ちょっとしたことでもいいので、何か気になる症状があれば、気軽な気持ちで相談してほしいですね。特に症状が続く場合や、ひどくなっている場合はためらわずに来院してください。最近は脳卒中などの重大な疾患の低年齢化も進んでいます。悪くなる前に早めの受診をお勧めします。
患者さんと接する時に心がけていることは?

患者さんの目線に立ち、丁寧にお話しすることを心がけています。同じ症状でも人によって原因はさまざまですから、まず患者さんのお話を伺った上でしっかり診察を行い、どういった検査が必要なのかを判断します。必要に応じて画像検査を行う場合もありますが、クリニック内にMRIを導入しているため、スピーディーな撮影と診断が可能です。患者さんと一緒にモニターを見ながら、診断結果や治療方法について詳しく説明させていただきます。心からご理解・ご納得いただけるよう、できるだけ難しい専門用語を避け、わかりやすい言葉を使うことも忘れません。近隣の病院ともうまく連携を取っていますので、もし手術が必要なケースであれば、適切な医療機関をご紹介しています。
地域に根差したかかりつけ医をめざして
なぜ脳神経外科と内科を併設されたのですか?

意外に思うかもしれませんが、脳外科と内科は密接な関係にあります。脳卒中や脳梗塞を発症する人は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などを抱えている場合が多いのです。これらは生活習慣病といって、その名のとおり、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、喫煙、ストレスなど、日々の不摂生な生活習慣が原因となって発症する病気を指します。そこで当クリニックでは、地域のかかりつけ医として、専門分野の疾患だけでなく、一般的な内科疾患も含めた総合的な診療を行っています。また、内科でしたら、それほど構えずに受診できるのではないでしょうか。「風邪をひいた」「なんとなくだるい」という方も遠慮せずに来ていただきたいと思っています。
脳神経の疾患を予防するためにできることはありますか?
生活習慣を改善することが、脳血管疾患の予防、ひいては健康寿命を延ばすことにつながります。そのためには、バランスの取れた食事と適度な運動が基本です。とりわけ塩分と脂質を取り過ぎている方が多いので、まずは食生活を見直していただきたいですね。また、症状が重い方はあまり運動をされていない、運動する習慣がない傾向にあるようです。この界隈は運動への意識の高い地域でして、やはり年齢を重ねるにつれ、定期的に体を動かしているほうがお元気な方が多いような気がします。認知症予防の観点からも、1日8000歩ほどを目標に歩くのが理想です。私自身も週に何回かはジムに通ったり、週末はゴルフに出かけたりして、体を動かすようにしています。生活の一部として、無理のない範囲で運動を取り入れてほしいですね。
最後に、 今後の展望とメッセージをお願いします。

この地域に住む皆さんがはつらつとした毎日を過ごせるよう、少しでもお役に立ちたいと考えています。このクリニックをうまく利用して、いつまでも健やかに過ごしていただきたいですね。そのために、病気の治療だけでなく、予防や健康増進のためのストレッチ教室や健康イベントなども今後は積極的に開催したいと思います。40代、50代は生活習慣病を発症しやすくなる年齢ですが、今まで脳神経の検査を受けたことがないという方も意外と多いようです。気になることがあれば、ぜひ一度受診してみてください。現在の健康状態を把握していただくと、今後の生活をどう送るべきか参考になると思います。どんな些細な疑問にもじっくり耳を傾けて丁寧に答えますので、お気軽に足をお運びください。