景山 修子 院長の独自取材記事
景山歯科
(京都市右京区/西大路三条駅)
最終更新日:2025/07/25

京都市右京区にある「医療法人青進会 景山歯科」院長の景山修子先生は、「治療から予防へ」をコンセプトに、なるべく歯を削らない治療および予防歯科に取り組んでいる。歯科医院が苦手な人も過ごしやすいようにと、診察室の窓にはカーテンを下げて、知人の家のように穏やかな空間を意識。空気清浄機なども活用して、安全で快適な診療を提供できるよう環境を整備している。また、歯の大切さを伝え歯磨きに興味を持ってもらおうと、景山院長や歯科衛生士は患者の口の中を歯ブラシで磨き、一人ひとりに合わせた磨き方を説明する。朗らかな笑顔を絶やさず、わかりやすい説明と丁寧な対応を心がける景山院長に、診療方針や予防歯科への思いや今後の展望について、話を聞かせてもらった。
(取材日2019年12月11日/情報更新日2025年6月27日)
患者一人ひとりに寄り添い、訴えの真相を探る
開業までの歩みをお聞かせください。

祖父が歯科医師だった影響は大きいですね。手が器用な良いおじいちゃんだったので、私も自然に医療職を意識するようになりました。岡山大学歯学部卒業後は4~5年ほど岡山県で勤務医として働き、結婚をしてから6年間は子育てをしながら専業主婦をしていました。その後、ご縁があってまた勤務医として働いた後に故郷の京都に戻って、父が営む内科医院と隣接するかたちで、2013年に当院を開業。専業主婦だった間、歯科の業界から離れたことはとても大きな経験で、一般的な感覚を持てたことが今の診療に生きています。私自身の人生経験も生かしながら、患者さん一人ひとりとの会話を大切に、丁寧な診療をしていきたいですね。
どのような患者さんが来られますか?設備にもこだわられているそうですね。
患者さんの年齢は幅広く、近隣にお住まいの方や紹介で新たに受診される方、長いお付き合いになっている方も多いですね。設備面では「行きたくない、行きづらい」と、歯科医院に苦手意識のある方も通いやすいクリニックづくりを心がけています。例えば、歯科独特の薬品の臭いがしないように、揮発性のものは必要な時だけ出して使うようにしています。洗浄が行き届きにくいホース内の除菌にも努めています。このほか、お子さんや足の不自由な方も来院いただきやすいよう、入り口から院内までをバリアフリー設計とし、清潔な環境づくりを意識してスリッパを廃止、空気清浄機も使用しています。
院内の雰囲気や患者さんへの接し方にも、温かな心配りが感じられます。

医療機関独特の無機質な空間にはしたくなかったので、カーテンを下げてリビングのような温かな雰囲気を出しました。また、おもてなししすぎるのも患者さんとの間に壁ができてしまい、居心地の悪い思いをされるのではないかと考えたため、受付を低く設計し患者さんと目を合わせてお話しするように心がけています。診療中は、患者さんのお話によく耳を傾け、患者さんのテンポで会話を重ねる中で、患者さんの本音や真相の部分、例えば「訴えている痛みだけでなく、何かほかに問題を抱えているのかもしれない」といったことを考えます。「自分が患者さんの立場ならどうしてほしいか」「患者さんが私の家族ならどうするか」ということも、常に意識していますね。
「治療から予防へ」をコンセプトに予防歯科に注力
診療では、予防に力を入れているそうですね。

お口の管理で大切なのは、きれいな状態をいかにキープできるかということ。そのため当院では、口の中の細菌をコントロールするためさまざまな予防法を取り入れています。また、患者さんに歯の大切さを知っていただき興味を持ってもらえるよう、私自身が患者さんの歯を磨きながらその方に合わせた磨き方を提案させていただきます。「歯科医院で歯を磨いてもらったことがない」という方はとても多く、「気持ち良い」「どんな歯ブラシを使うの?」とさまざまなお声をいただけるよう尽力しています。歯は削るほど弱くなりますから、患者さんには「ぼんやり磨く3分と、意識して磨く3分ではまったく違う」とお話しして歯磨きに取り組んでいただき、症状があっても経過観察で済むようなら様子を見ます。きれいな状態を保てれば、虫歯や歯周病、さらに糖尿病など全身の病気の予防もめざせることを、丁寧にお伝えして、歯磨きに取り組んでもらっています。
お父さまの内科医院と連携するメリットなどがあればお聞かせください。
父の内科にも通っている当院の患者さんのお薬情報がすぐわかるので助かっています。父から学んだ心に残っていることは「患者さんの前では無になり、先入観で診ない」ということ。「頭が痛い」からこの病気と決めつけるのではなく、あらゆる可能性を考えて広く診るというのが父の方針。私も、症状がある部分だけを診るのではなく「違う箇所に何かあるのではないか」「ほかの部分に不安を抱えていらっしゃるのではないか」と考え、広く診るようにしています。そのためには、患者さんとの間に心の壁をつくらないことが大切なので、私自身が心を開き正直でいることを心がけるとともに、「勝手に神経を抜かれた、歯を抜かれた」と不安に思われることのないよう、患者さんとしっかり相談して治療方針を決めるようにしています。
勉強会にも積極的に参加していらっしゃいますね。

これまでの経験で学んだことをベースに、さらにスキルアップするためにいろいろな勉強会に参加しています。子育ても終わり、今まで以上に勉強に時間を使えるようになったので、現状に満足せず「まだまだ発展途上」という気持ちで取り組みたいですね。実際、勉強会に行くと「こんなすごい治療があるんだ」と驚くことも多く、「努力しなければ」と思えることに歯科医師として幸せを感じます。当院で対応が難しい場合は、専門の先生に相談をしたり紹介をしたりしており、この世界は一生勉強だと実感しています。
モットーは「なるべく削らない治療」
スタッフさんの笑顔や気配りが光ります。

ありがたいことに信頼できるスタッフに恵まれています。スタッフ間の不調和は患者さんにも伝わりますから、思いをため込むことなく何でも話し合い、私自身もしっかりとスタッフの意見を聞くようにしています。また、これは人数の少なさゆえの良さかと思いますが、診療後は私が会計を担当します。治療時は、診療チェアの横で患者さんとお話ししますが、お会計時はしっかりと向き合い、患者さんも私も落ち着いて話ができますので、大切な時間だなと思っています。そしてその間に、スタッフがユニット周りを整えてくれるのでとても助かっています。
リフレッシュ法やご趣味はおありですか?
子どもの頃から続けているピアノに加えて、数年前からピラティスを始めました。これが私の性にあって、インストラクターの資格を取ろうと本格的に学んでいます。ピラティスでは体の深い部分の筋肉を鍛えていきますが、今は診療中や歯磨き中など日常生活でも、ピラティスのちょっとした動きを意識しているんですよ。さらに、運動は日々の動作を楽にしたい、将来の寝たきりを予防したいといった場合に役に立ちますので、患者さんにもお伝えしたいと思うようになりました。私自身の体調や姿勢が変わってきたことを感じていますし、診療でも「この患者さんは過去にこうだったから今この症状が出ているんだな」、「この先はこうなりそうだから、ここを気をつけてもらうと良いな」という視点でお話しするなど、ピラティスが公私にわたって大きなプラスになっています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

これからも「なるべく削らない治療」を大事にしたいです。歯を削られたい人はいないですし、私も削らずに済むならうれしい。患者さんがご自身に合った歯の磨き方を習得して意識が変わってくだされば、とてもうれしいですね。患者さんも私もハッピーでいられるよう、今後も予防歯科に力を入れ、将来的には歯科衛生士によるメンテナンス中心の診療ができれば理想ですね。また、近いうちに、院内で気軽に参加してもらえる少人数のピラティス教室を始めたいと考えています。すでにお付き合いのある患者さんには、その方の年齢や生活、お困り事に合わせたピラティスのメソッドを踏まえた運動の方法をお伝えできると思うんです。地域の方がピラティスをしたり気軽にお茶を飲みに立ち寄れたりする、そんな歯科医院を思い描いています。患者さんの視点を大切に、女性ならではの気づきも生かした診療を続けていきたいですね。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。