白木 晶 院長の独自取材記事
しらき内科クリニック
(一宮市/観音寺駅)
最終更新日:2025/05/01

名鉄尾西線・観音寺駅から徒歩4分ほど。「しらき内科クリニック」は、呼吸器を専門とする白木晶院長が2019年に開業したクリニックだ。白木院長は旭川医科大学医学科を卒業後、豊田厚生病院や大垣市民病院の呼吸器内科で、肺がんや喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などを中心にさまざまな呼吸器疾患の治療を経験。現在は、呼吸リハビリテーションを実施し、慢性呼吸器疾患の患者に手を差し伸べている。「咳や息切れに悩んでいる方は是非一度相談に来てほしいと」と語る白木院長に、これまでの経験や力を入れている治療など幅広く話を聞いた。
(取材日2023年3月9日)
総合病院で培った幅広い知識を生かしたクリニック
これまでのご経験を教えてください。

私が開業前に勤めていた大垣市民病院は、40万人くらいの医療圏にありますが、呼吸器を専門とするクリニックがないためか、患者さんが集中してしまうところでした。そのため、喘息から肺がんまで、本当に幅広い症例を診てきました。いろいろな病気の方が来るので、レベルの高い治療を必要とされていましたね。新型コロナウイルス感染症で注目された「人工心肺」も、導入が少ない時代から対応していました。また、気管支鏡を用いた検査や、肺がんで息の通り道が詰まった部分を広げるためのステントを用いた治療なども行っていました。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療や薬の使い方の指導も経験があります。総合病院で培った幅広い知識と経験があるので、患者さんの相談にも幅広く乗れますし、アドバイスの幅も広がりますよね。それぞれの症例において、クリニックで治療可能な範囲か、総合病院へ紹介すべきかの判断も可能です。
開業を考えたきっかけを教えてください。
大垣市民病院では毎日多くの患者さんを診察していました。そこでは喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方が本当に多かったのです。しかし、総合病院は、がんや間質性肺炎のような生命に直結する病気を診ることで手一杯。苦しんでいる方が多い喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)は数回診て、症状が安定したタイミングで、クリニックへ紹介しないと外来がパンクしてしまう状況でした。そこで、私が地域医療の側に立ち、そのような患者さんの受け皿になれたらと思ったのが開業を考えたきっかけです。呼吸器内科のクリニックはまだまだ少ないので、私が開業して喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に苦しむ患者さんをしっかり診ていきたいと思いました。
どのような患者さんが来院されていますか?

やはり、咳に悩んでいる方は多いですね。内科があるので風邪で来院される方も多く「なかなか咳が治らない」と悩んで来られるケースが多いです。呼吸器内科では喘息が多いですね。特に若い方は、喘息に悩んでいる方が多く来院されています。働き盛りの方は、平日しか受けつけていない総合病院では通いにくい場合など、当クリニックを利用してくれています。喘息に悩む方が通いやすいように、症状が落ち着いている場合は通院を2ヵ月に1回程度にするなどし、様子を見ながら年に1回ほど呼吸機能検査も行います。患者さん自身が気づかないうちに呼吸機能が低下している場合もありますから、定期的な呼吸機能検査は大切です。また内科では、高血圧症や糖尿病、高脂血症などの一般的な病気も診ています。
長引く咳など、専門的な診断に力を入れる
このクリニックでは、どのような治療や検査ができますか?

喘息の患者さんが多いので、呼吸機能検査や気管支の細かいところの状態を確認するモストグラフ、気管支のアレルギーを診る呼気NO検査を行っています。喘息にも「咳喘息」と「気管支喘息」があって、咳の症状だけなら咳喘息、呼吸するとヒューヒューと音がするなど、ほかの症状がある場合は気管支喘息になります。咳の症状で来院された方が喘息かどうかを見極めて、お薬をいつまで続ける必要があるのか判断するのが呼吸器内科の大きな役割の1つです。内科も標榜していますので、エコー検査、血液検査、尿検査、血液ガス検査なども行っています。呼吸器はおなかと心臓につながっている部分であるため、エコーを用いて症状の原因が呼吸器なのかどうか、専門的な視点で見極めることができます。
喘息における診断など、検査に力を入れられているんですね。
そうですね。先ほども申し上げたように、各種検査機器を取り入れ、より正確な診断ができるよう努めています。長引く咳などは専門でないと、診断が難しい症状です。喘息と言われていても、本当は慢性閉塞性肺疾患(COPD)だったという事もあります。長引く咳の治療では、咳の原因を特定し、適切な治療を継続することが大切です。喘息と言われていても、本当に喘息なのか、どの程度悪いのかまで、専門の医療機関で調べてみましょう。咳喘息と言われたが吸入器をもらっただけの方なども、是非一度専門のクリニックへ受診することを勧めさせていただきます。なお当院では、無理なく治療を続けていただけるよう、患者さまの体調やご希望に合わせてお薬を選び、正しく服用いただけるよう丁寧な説明を心がけています。
注力している治療を教えてください。

喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療ですね。悩んでいる方が多いですし、私の得意分野でもあります。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコで肺にダメージが蓄積するまで何十年もかかりますので、症状のある方は高齢者が多いです。しかし、体を動かさなければあまり苦しさを感じないので、病院に来ない方も多いのですよね。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は基本的には治りませんので、吸入薬と呼吸リハビリテーションで悪化するのを防いでいくことをめざします。また重症の喘息や花粉症の方には、生物学的製剤という注射薬も使用できます。通常の保険診療ですが少し高くなりますので、お薬の服用など標準治療ではよくならなかった方に相談させて頂いています。
スタッフと連携し生活指導まできめ細かなフォローを
クリニックの特徴を教えてください。

全国的にまだ実施が少ない「呼吸リハビリテーション」を行うクリニックという点でしょうか。慢性呼吸不全で息が苦しい方、少し重症の呼吸器疾患の方のコンディションを整えるためのリハビリテーションですね。呼吸器の回復よりも維持がメインになります。体調を維持していく、もしくは緩やかに悪化している方をそれ以上悪くならないようにサポートするのが目的です。慢性呼吸不全では少し動くだけでも息が上がって苦しくなってしまいます。そうならないように行うリハビリテーションですが、一般的にはあまり認知されていません。
スタッフと共有している方針はありますか?
どうしても一人ひとりの患者さんに取れる時間は限られているので、看護師にそこをフォローしてほしいとよく言っています。例えば、高脂血症や高血圧症の方に対して、どのような食事をしているかを聞いて「食事と運動には気をつけてくださいね」とは言えても、細かいアドバイスをする時間が取れない場合もあります。そんなとき、看護師には「こんな食事内容にすると良いですよ」とフォローしてもらいます。喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんのときは、吸入薬を適切に使えているか、症状の事前チェックを手伝ってもらいます。看護師で対応できるところはサポートしてもらいながら、連携して患者さんのフォローができるようにしていますよ。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

やはり、一番伝えたいのは咳や息切れで悩んでいる方は、一度ご相談してほしいということでしょうか。また、咳や息切れで悩んでいる方の親類の方にも、ご家族の中に「息がしにくい」「動くと苦しい」と言っている方がいたら、年齢のせいだと思い込まずに、一度来院するようにアドバイスしてもらえたらうれしいです。もちろん病気ではない場合もありますが、治療でその悩みの改善が期待できる可能性もあります。患者さんとコミュニケーションを取りながら、ゴールを決めて、一緒に向かっていきたいと思っています。全国的にも実施の少ない呼吸器リハビリテーションも行っていて、治療の選択肢も多いので、まずは一度お気軽にご相談ください。