幅広い眼疾患が対象となる
難易度の高い硝子体手術について
トメモリ眼科・形成外科 いわで宮本クリニック
(岩出市/岩出駅)
最終更新日:2024/07/08


- 保険診療
「硝子体」とは、眼球内部の大部分を満たしている無色透明のゼリー状の組織で、「加齢や疾患によって変質し、網膜を引っ張る、出血で透明性が損なわれるなどしてトラブルを引き起こします」と、「トメモリ眼科・形成外科 いわで宮本クリニック」の宮本武院長は話す。その変質してしまった硝子体を除去するための手術が「硝子体手術」だ。適応疾患は、網膜剥離、糖尿病網膜症など数多くあり、眼科の中でも特に難易度の高い手術として知られている。先進的な機器の導入と熟練した技術により、クリニックでも大学病院レベルの手術提供をする同院の硝子体手術について、宮本院長に解説してもらった。
(取材日2024年6月1日)
目次
先進機器の導入と熟練した技術で精度の向上をめざす、難易度の高い硝子体手術
- Q硝子体手術とは、どのような手術ですか?
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A
▲眼科で行う手術の中でも難易度が高いといわれる「硝子体手術」
目の中にはカメラに例えるとレンズにあたる水晶体というのがあります。その後ろにある「硝子体」という透明のゼリーのようなものが不具合を起こした時に、硝子体および病的な組織を取り除くための手術を「硝子体手術」といいます。硝子体の不具合で考えられるのは、出血などが原因で硝子体が濁っている、硝子体が目の奥の神経の膜である網膜を引っ張っているといった状態の時で、手術の対象となります。また、硝子体自体は問題なくても、その奥にある網膜に異常がある場合は、アプローチしやすいように硝子体を取り除くケースも。硝子体を除去しても視機能には影響しませんので、その点もしっかりご説明し、ご安心いただいた上で手術を行います。
- Qクリニックで難易度の高い手術が対応できるのはなぜでしょう。
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A
▲充実の設備と院長の豊富な経験により、高度な手術が可能に
やはり経験値と手術が行える環境の構築だと思います。ありがたいことに、私は硝子体手術のスペシャリストである先生方に手ほどきを受けることができましたので、受け継いだ技術を生かさなければならないという想いが強く、研鑽も重ねてまいりました。白内障手術が日帰りでできるようになった時代に、白内障手術ができるなら硝子体手術も日帰りでできるんじゃないかと、在籍していた大学病院で手術を行った経験も今につながっています。ただ、手技だけでなく、先進機器の導入など、安全に手術を行える環境があってこその手術。橋本市にある本院と連携し、緊急手術に対応できる点も当院ならではの強みだといえるでしょう。
- Q硝子体手術はどのような疾患が対象となるのですか?
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A
▲硝子体手術の対象疾患について話す院長
硝子体が濁ってしまう背景には硝子体出血を起こしていることが多く、血管の詰まりによりできた新しい血管が剥がれて出血が起こる糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症といった疾患と、網膜裂孔から網膜剥離を起こしているパターンが多いです。硝子体が網膜を引っ張っている硝子体黄斑けん引症候群、黄斑と呼ばれる網膜の中心に穴が開く黄斑円孔といった疾患、また網膜の中心である黄斑の前に張る繊維状の薄い膜ができる黄斑前膜、網膜静脈が動脈と静脈交差しているところで閉塞してしまう網膜静脈分枝閉塞症、目の中の非常に血管の多い組織のぶどう膜に炎症が起こるぶどう膜炎に伴う硝子体混濁などが硝子体手術の対象となります。
- Q受診すべき症状について教えてください。
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A
▲目の見え方に違和感を感じたら、すぐに受診を
例えば、飛蚊(ひぶん)症といって、白い壁を見ると虫が飛んでいるような黒い点が急に見えたら注意が必要です。硝子体の中に光を邪魔する濁りができた状態で、加齢による後部硝子体剥離を起こしている可能性があります。その時に網膜の端が引っ張られ網膜が破れる網膜裂孔が起きると網膜剥離につながるので、急に飛蚊症が現れたらすぐに受診してください。あと、網膜が破れた状態の患者さまが、墨汁が流れているように見えるとおっしゃることがあります。左右の目で景色の見え方が違うときや、真っすぐの線が波を打っているように見えるときは、黄斑上膜、加齢黄斑変性、黄斑円孔などの疾患が考えられるので、躊躇せず医師の診断を仰ぎましょう。
- Q放置せずに相談することが大切なのですね。
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A
▲早期の受診を行うことで、後のリスク低減にもつながる
なぜかというと、手立てを講じることで処置の度合いも変わってくるからです。例えば、網膜に穴が開いた状態で放っておくと、網膜剥離に進行する可能性が高まります。しかし、網膜剥離になる前に発見できれば手術せずにレーザーでの処置だけで済むことも望めます。このように、早めに処置が行えれば手術をせずに済むかもしれませんが、網膜剥離に進行していてもなお放置しておくと、硝子体網膜症といって目の中の硝子体が収縮し、網膜を引っ張ることにより、非常に治りにくい状態に。どの疾患においても、放置すればするほどリスクが高くなりますので、何かおかしいと感じることがあればすぐに受診してください。