宮本 武 院長の独自取材記事
トメモリ眼科・形成外科 いわで宮本クリニック
(岩出市/岩出駅)
最終更新日:2024/06/14

日差しが差し込む明るい待合室、木目の優しい温もりの中にビタミンカラーのアクセントが鮮やかに映る受付、各室が自宅のようにくつろげる造りの診療室──。そんな遊び心とこだわりが院内の至る場所から感じられる「トメモリ眼科・形成外科 いわで宮本クリニック」。眼疾患手術をはじめ、さまざまな眼科医療に尽力してきた宮本武先生が院長を務める同院は、和歌山県橋本市にある本院「トメモリ眼科・形成外科」の分院として2019年に開業した。地域の目のかかりつけ医として、一般眼科診療から、眼鏡・コンタクトレンズの処方、難症例に至るまで、幅広い眼科診療を展開。先進的な機器を用いた白内障や硝子体の手術に力を入れる同院の診療内容について、宮本院長に話を聞いた。
(取材日2024年6月1日)
先進機器を導入し日帰り硝子体手術が行える環境を構築
橋本市にあるトメモリ眼科・形成外科の分院だそうですが、開業に至るまでの経緯からお聞かせください。

私は和歌山県立医科大学の出身で、大学卒業後は同大学の眼科に入局しました。眼疾患の手術を数多く執刀し、精力的に眼疾患診療に携わっていく中で、本院の理事長兼院長である留守良太先生と知り合い、お互い刺激し合いながら眼疾患医療に取り組んでいました。留守先生も多くのオペを執刀されていましたので、話も合いましたし、よく冗談で「分院を出される時は、私にやらせてください」と言っていたんですよ。その時はまさか実現するとは思っていませんでしたが、自分のめざす医療について相談する機会があった時に、「だったら、分院をやってみるか」と話が進み、2019年に当院を開業。院長を務めることになり現在に至ります。
開業にあたって、どのような治療に力を入れていきたいとお考えでしたか?
硝子体手術です。硝子体手術は手技だけではなく、精密な手術が行える機器もそろった環境でないとできない手術ですので、どこでも行えるわけではないんですね。大学病院では白内障手術や硝子体手術の研鑽を積んできたものの、クリニックで水晶体の後ろに接した目の奥の手術である硝子体手術を行えるところは限られていました。自分の持つ技術でたくさんの方を救いたいという気持ちが増す一方で、なかなか環境が整わない状況だったんですよね。ところが分院ではその環境を整えてもらえると聞き、迷いはありませんでした。留守先生も硝子体手術には力を入れて取り組んでおられたので、気持ちを理解してくださり、うれしかったです。分院ができたことで、本院と連携して緊急手術にも対応できるのも当院ならではの強み。網膜剥離や緑内障など状態によっては急を要するケースもありますからね。
これまでのキャリアを十二分に発揮できる場が整ったのですね。

そうです。私が数ある診療科の中から眼科を選択した理由に、手の器用さを生かせる診療科だと思ったことが一つ。そして私はボクシングが好きで、当時プロとして活躍していた選手が網膜剥離という目の疾患を患ったことも、眼疾患治療に関心が向いた要因になりました。また、実習の時に白内障の手術に立ち会わせてもらう機会があったのですが、ちょうどその頃から無縫合白内障手術というものが行えるように。以前のような縫合をせずに済む手術法を目の当たりにした時に、縫わずに行える手術は他の診療科にはないんじゃないかって思ったんですよね。それだけ小さな傷で終えられる顕微鏡下で行う手術に興味を持ち、眼科の医師になった経緯がありますので、さまざまな疾患に携わる中でも特に手術の腕は常に磨いてきました。その強みを生かせる場がまさにここであり、地域にも貢献できているのは、医師としての喜びでもあります。
子どもから高齢者まで地域の数少ない眼疾患の受け皿に
クリニックで大学病院レベルの手術が受けられるとなると、多くの患者さんが来院されているのでは?

多いですね。目の中に眼内コンタクトレンズを埋入する近視の手術も行える環境が整っていますし、診療においてもさまざまな症状に対応しています。中でも白内障の患者さんが多いのですが、岩出市には当院も含め眼科クリニックが数少ないため、子どもから高齢者まで患者層は幅広いです。特に硝子体手術でお役に立ちたいと思っていましたので、網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの日帰り手術も積極的に行っていますし、低侵襲の緑内障手術も実施。医学の進歩による新しい手術法も取り入れ、患者さんに還元できるよう努めています。
入院が必要な難症例の手術などに関しては、どのような対応をされているのでしょう。
全身麻酔が必要な場合は近隣の施設をご紹介しますが、難症例であっても日帰りで手術を行えることが多いです。本院もありますので、連携して緊急手術にも対応できる環境を構築。これは当院の大きな特徴といえるのではないでしょうか。どうしても眼疾患の受け皿になる機関が足りない状況ですので、できる限り対応できるよう常に努力しています。ただその分、外来の患者さんをお待たせしてしまうのが課題となっています。オンライン予約システムなどを導入し、待ち時間を軽減できるよう改善策は取っているのですが、より改善できるよう、引き続き策を講じていきたいと考えています。
予約システムしかり、診療においても積極的に先進的な機器などを導入されていると伺いました。

硝子体手術に関しては、0.5mmくらいの傷を3~4つほど作って手術を進めていくのですが、当院では先進の硝子体手術システムである27G(ゲージ)システムによる低侵襲の日帰り手術を行っています。技術はもちろん、安全面の観点からも、新しい機器の導入は積極的にしていきたいと考えています。あとは顕微鏡。手術用広角観察システムの活用と、3Dモニターを見ながら手術できるようになったことも、手術の正確性向上に大きく影響しています。昔は平面画像でしたが、今は立体画像となり右目と左目の見え方のずれなどもわかるケースもあるので、活用法はさまざま。こんな使い方もできるのかと新しい発見も日々あります。
本院と連携し軽微な症状から緊急を要する手術まで対応
形成外科診療についても教えてください。

形成外科は本院から専門の先生に来ていただいています。肌に関するお悩みも含め、当院でできる範囲は対応していますが、手術については本院と連携して実施することが多いですね。眼科に関しては総勢約15人、形成外科は基本的に本院から医師とスタッフが出向するスタイルを取っていますので、情報共有など連携を密に取りながら診療にあたっています。医師だけでなくスタッフも、常に新しい技術や知識をアップデートしている背景には、患者さんの負担軽減を図るためという理由もあります。検査などの時間が短縮できる上、治療の精度向上も見込めるとなれば、医師も患者さんもお互いメリットが大きいですからね。患者さんからお喜びの声をいただけると素直にうれしいですし、さらなるモチベーションにもつながります。
ネットワークを生かした医師間の情報交換も積極的に行われているとか。
硝子体手術に取り組んできた関係で、同じ志を持つ先生方と交流させていただく機会が多く、さまざまな情報共有ができるのはすごくありがたいことだと思っています。具体的にいうと、実際に経験を重ねる中で得られる気づきや工夫、コツなどを持ち寄り、今後に生かすためのネットワークがあるんです。ネットワークは全国に広がっていて、このような症例ではどうするのがベストかなど、研鑽を積んでいく中でしか得られない、いろんな情報を共有できるので、非常に心強いですし、さらなるスキルアップにもつながると思っています。経験豊富な一人ひとりの医師がこれまで得たスキルを生かし、多くの人を助けたいと思っているからこそ、高め合える意識が自然と芽生えているのだと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今以上に、眼疾患の受け皿として、軽微な症状から急を要する疾患まで対応できる、地域になくてはならないクリニックでありたいと思っています。当院の強みである白内障や硝子体日帰り手術もその一つ。手術の際に用いる眼内レンズや眼内コンタクトレンズに関しても常に進化していますが、良いと思うものを取捨選択しながら、皆さんの生活の質の向上に貢献できればと考えています。それと同時に待ち時間の軽減にも引き続き取り組みながら、より受診しやすい環境の構築にも努めたいと思っておりますので、年齢問わず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは眼内コンタクトレンズ/70万4000円~