江頭 秀人 院長の独自取材記事
消化器と内視鏡の内科 藤沢えがしらクリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2022/01/05
藤沢駅北口から歩いて3分ほど。買い物客が賑やかに行き交う石畳の商店街に面した医療ビル3階に「消化器と内視鏡の内科 藤沢えがしらクリニック」はある。院内は白を基調にウッディーなブラウンとグリーンをアクセントとしたインテリアで統一されている。随所に流木やサーフモチーフのオブジェ、写真などが飾られ、自身もサーファーであるという江頭秀人院長のイメージを反映しているのだという。「医療の専門性を担保しながら、その裾野を広げたい」と抱負を語る江頭院長は九州出身。研修医時代に癌研究会附属病院での勤務をきっかけに上京し、東京都立駒込病院や湘南鎌倉総合病院などで専門性の高い消化器内科診療に携わってきた。高い水準を追求した内視鏡検査と専門診療を軸に地域貢献をめざす同院について、江頭院長に詳しく聞いた。
(取材日2021年11月2日)
がん専門病院などで磨いた専門性で地域に広く貢献
まずは院長のご経歴とクリニックの成り立ちを簡単に教えてください。
九州の出身で福岡大学にて医学を修めたのち、消化器分野の診断や治療の研究においても数多くの実績を持つ福岡大学筑紫病院消化器内科に入局。その後、ご縁を頂き癌研究会附属病院で内視鏡検査のスペシャリストから教えを乞うために上京。一旦は大学に戻りましたが、最新情報が集積する東京の専門病院での濃密な診療体験から学ぶ部分が大きいと感じて再度東京に戻り、癌研究会附属病院や癌研究会癌研究所、東京都立駒込病院などで勤務しました。その後、湘南鎌倉総合病院に移り、消化器病センター部長として、おもに内視鏡による診断・治療の技術を実践・指導。消化器の高度医療を湘南エリアでも受けられるよう環境整備に尽力してきました。経験により培った内視鏡の診断・治療技術と専門医療を、より身近に届けたいと2019年に当院を開設し2年になります。
消化器と内視鏡がご専門とのことですが、どのような患者さんがいらしていますか。
当院では内科の総合診療も行っていますが、院名にも「消化器と内視鏡」を冠していることから、やはり消化器の不調を抱えた方が多くいらっしゃいます。具体的には胃痛や吐き気、下痢、便秘といった排便障害などのご相談を多く受けています。当初は従来の勤務先で内視鏡治療を担当した方が多くいらしていましたが、近頃はご紹介などで徐々に近隣の患者さんが増えてきました。また、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、比較的若い世代の受診も増加したように思います。生活環境の変化や不安、ストレスなどによりメンタルに不調を来し、それが胃腸症状となって現れているようです。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどが多く見られ、いずれも検査では胃腸に異常は見つからないのがポイントです。
検査で異常がないとなると診断も難しそうですね。
当院では内視鏡検査で炎症や潰瘍の有無といった器質的な状態だけでなく、胃腸の動き、機能面にも目を向けて詳細に調べるようにしています。しかし、一般的な内視鏡検査では、明らかな異常がなければそれでよしとされてしまうケースもあるようです。そうなると治療が進みづらいことに加え、周囲の理解を得難いなど、患者さんにとって大きな悩みを抱えることになってしまいます。私は胃や腸に大きな異常がないことを確認することも内視鏡検査の重要な役割だと考えています。気になる症状があれば、まずは気軽に検査を受けてみることをお勧めします。
精度の高い内視鏡検査を軸に、消化器の専門診療を展開
内視鏡検査に力を入れていらっしゃるのですね。
当院では食道、胃、十二指腸の状態を見る上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と、大腸の状態を調べる下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行っています。がんの早期発見に加え、ピロリ菌感染の診断や胃腸機能の確認など、消化器分野の診療において内視鏡検査は幅広く役立ちます。胃と大腸の同日検査や、お昼休みを利用しての検査も可能な体制に加え、新鋭機器と経験豊富なスタッフによる安心・安全を重視した精度の高い検査を追求しています。検査に対してハードルを高く感じていらっしゃる方もまだ多いようですが、苦痛や不安を軽減して受けていただける工夫もご用意していますので、ぜひご検討いただきたいですね。
貴院ならではの内視鏡検査の特徴はありますか。
どんなに内視鏡の操作に長けていても、採取組織を調べる病理の医師が優れた目を持っていないと病気の見逃しは起こる可能性があります。検査の精度を維持するためには、臨床と病理のタッグが欠かせないのです。そこで当院では、経験から培ったネットワークを駆使し、信頼を置いている消化器専門の病理の先生に採取組織の検体検査を依頼しています。また、がん専門病院には、一般病院ではなかなか出合う機会のないまれな症例も多々集まります。そのため、バレット食道がんなどの珍しい症例も見落としのないようチェックできるのも強みだと思っています。さらに、地域基幹病院で内視鏡治療を指導してきた経験もありますので、指導する立場から治療を見据えた検査も可能です。
診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか。
患者さんのお声にできる限り耳を傾けること。そして、親身になって対応することです。分野のスペシャリストととして、訴えにはできる限り対応したいと思いますし、専門的に解決したいと考えています。幸い、専門病院での充実した経験により培った技術、知識とネットワークを役立てられていると感じています。例えば、ご紹介が必要な患者さんにも、それぞれにとって本当に必要だと思うドクターを見極めてご紹介することができますから。
内視鏡のハードルを下げ専門医療への入り口を広げたい
医師を志されたきっかけと、消化器内科を専門に選ばれた理由は?
父が医師で、その姿を見てきたことがきっかけでしょうか。反抗しながらも、最終的には医師の道を志していました。一番身近な職業が医師だったのでしょうね。消化器内科を専門としたのは、信頼できる先輩に誘っていただいたのがきっかけです。福岡大学筑紫病院の消化器内科は当時から厳しいことで知られていましたが、「やる気さえあればどこよりも早く一人前になれるぞ」と言われて「よし!」と。実際入ってみると、想像以上のハードさでした(笑)。上京した際も実は大きな志があったわけではなく、「他に行く人がいないなら自分が」というどちらかというと後ろ向きな理由でしたが、一度都内の専門施設に身を置くと、得られる経験の濃密度が地方の病院とは段違い。「かなうことなら、情報の集まる東京で新しい技術と知識を身につけたい」と、二度目の上京は自ら積極的に志願しました。とはいえ、地元愛も強く、今でも大学の人間との付き合いは続いています。
湘南エリアや藤沢の印象はいかがですか?
東京に比べて空が広く自然に近い、開放感ある雰囲気が気に入っています。鎌倉の基幹病院勤め時代には都内から通ってきていましたが、当院の開院を受けて今春茅ヶ崎に引っ越してきました。九州出身者からするともっと田舎でも良いくらいですが、東京との距離感も含め、バランスの良い街だと感じています。藤沢で開院して驚いたことは、健康意識が高い方が多いということ。ランニングやウォーキングを含め、スポーツを習慣とされている方も多く、はつらつと元気な印象です。私自身も大学時代からサーフィンを楽しんできました。この年になるとなかなか上達は難しいですが、体力づくりのためにも楽しく続けていきたいと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
高い専門性を担保しながら、より身近に受診していただけるよう、医療のすそ野を広げていきたいと考えています。具体的には気軽な内視鏡検査などもできるかなと。高く感じられがちな内視鏡検査のハードルを下げ、不安なく気軽に受けていただけるよう努力を続けていきたいと考えています。気がかりや不安があれば遠慮なくご相談いただければと存じます。