山口 智 院長、山口 和子 副院長の独自取材記事
やまぐち耳鼻咽喉科・小児科クリニック
(横浜市金沢区/京急富岡駅)
最終更新日:2021/12/09

京急富岡駅から徒歩で約10分の場所にある「やまぐち耳鼻咽喉科・小児科クリニック」。かわいらしいカンガルーがシンボルマークの同院に入ると、広々とした待合室が目に入る。待合室の小児科側には、おむつ替えシートとカーテンつきの授乳のスペースがあり、安心して利用できるだろう。2019年に夫婦で開業し、山口智院長が耳鼻咽喉科を、山口和子副院長が小児科を担当。院長、副院長ともに日本アレルギー学会アレルギー専門医で、地域の幅広い年齢層の患者を受け入れる。自身が生まれ育った地元に開業することで地域に貢献し、「一医療機関としてはもちろん、地域の方々の、世代を超えた『集いの場』になれるようなクリニックをめざしています」という二人に、診療の特徴や地域医療の思いなどについて聞いた。
(取材日2020年12月26日)
耳鼻咽喉科と小児科の診療を行い、通院の負担を軽減
1つのクリニックで耳鼻咽喉科と小児科の診療に対応されているのですね。

【智院長】お子さんが小児科にかかるケースの大半は、鼻風邪なのです。ただ小さなお子さんは鼻をかめないので、鼻水を吸引するために耳鼻科を紹介されることも少なくありません。また鼻風邪だと思って小児科を受診したら、「中耳炎の疑いがあるので、耳鼻科に行ってください」と言われることも、よくあります。逆に中耳炎だと思って耳鼻科に行ったら、上気道症状だけでなく、肺炎などの下気道症状を併発しているケースもあります。そうなると耳鼻科では対応が難しいですから、小児科に行ってもらうことになります。病気のお子さんを連れて耳鼻科と小児科を行き来しなければならないのは本当に大変ですし、耳鼻科と小児科、どちらに行けばいいのか悩むお母さんも多い。その負担や不安を、少しでも軽くしたかったのです。
現在の場所に開業した理由を教えてください。
【智院長】地元の医療に貢献したかったからです。僕は実家が横須賀市の追浜で、ここから車だと20分くらい、妻の実家は、ここから徒歩でも数分の場所にあるんですよ。ですから、この周辺にはどのような人が住んでいて、どんな医療が求められているのか、リサーチしなくてもわかります。お勤めの方は勤務先に近い医療機関に通えますから、地域の病院や診療所に行くのは、ご高齢の方かお子さんが中心です。耳鼻咽喉科は花粉症などアレルギーの患者さんも多いと思いますが、ここでは耳の聞こえに悩む高齢者の方や鼻風邪のお子さんなどが中心になるだろうと思っていました。実際、そういう患者さんが多く来院されていますね。
院内設備でこだわったところはありますか?

【智院長】まず駐車場が広いこと。隣接する脳神経外科と共用ですけれど、駐車スペースが道路に面していないので女性も止めやすいと思います。また耳鼻咽喉科と小児科があるので、待合室はできるだけ広くしました。
【和子副院長】待合室の小児科側には、おむつ替えシートとカーテンつきの授乳スペースがあります。それぞれ仕切りで囲まれていますので、安心してご利用いただけると思います。また、感染症対策用の出入り口も設けていますので、感染症の疑いがある患者さんは、一般診察室と異なる動線で入っていただくようにしています。
患者と信頼関係を築き、丁寧な診療を
お二人は、なぜ医師を志したのですか。

【和子副院長】父が内科の医師で、患者さんに「ありがとう」と言われるのを見て、「自分が一生懸命やったことで感謝される職業って良いな」と思ったのがきっかけです。小児科を選んだのは、未来に向かって育てる医療だから。健康な子も病気の子も診られますし、お母さんたちと一緒に頑張ったり成長を見守ったりできるのが魅力です。
【智院長】私は医師の家系ではないのですが、人の役に立てる職業に就きたいといくつかの選択肢を思い浮かべた中で、最もやりがいがあるのではと感じたのが医師でした。耳鼻咽喉科を選んだのには、いろいろ理由があります。軽傷から重傷まで診たかったし、手術もしたかった。子ども好きなので、子どもも診察したい。そしていずれは開業して、患者さんの近くでその人に必要な医療を提供したい。それには耳鼻咽喉科だという結論に達して、現在に至ります。
診察の際には、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。耳鼻科診療の特徴を教えてください。
【智院長】患者さんのお話をよく聞くようにしています。心配していること、不安に思っていることを把握し、満足していただける診療をするためです。また来院しやすい雰囲気づくりも心がけています。お子さんが自分から「あの先生の所に行く」って言ってくれるようなクリニックでありたいですね。耳鼻科診療では、一般的な診療に加え耳鼻科専用のCTやエコーを導入し、必要に応じて詳しい診査・診断を行っています。また、当院では補聴器の調整や相談のできる体制も整え、ご高齢の方の難聴にも対応できるようにしています。
小児科にはどのような患者さんがいらっしゃいますか? 小児科診療の特徴を教えてください。

【和子副院長】赤ちゃんから思春期のお子さんまでさまざまですね。赤ちゃんは検診や予防接種、園や小学校に通うお子さんは、風邪などに加え、喘息などの慢性疾患や夜尿症、中学生になると、だるさやめまいなどで朝なかなか起きられない起立性調節障害のお子さんの来院もあります。お子さんの感染性胃腸炎がうつり、親御さんもおなかの調子が悪いなどのケースも少なくないですね。そのような場合は親御さんの診療も一緒に行いますので、お気軽におっしゃってください。私は日本アレルギー学会アレルギー専門医として長年臨床に携わってきました。当院ではこれまでの経験を生かし、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息といったアレルギー疾患のお子さん一人ひとりに即した治療やアドバイスをさせていただいています。
地域医療をサポートする、身近なクリニックをめざす
呼気NO検査、心電図、エコーも導入されているのですね。

【和子副院長】呼気中の一酸化窒素の濃度を測定して喘息を調べる呼気NO検査は、喘息の状態を客観的に評価することに役立ちます。当院では、6歳以上のお子さんに、必要に応じて呼気NO検査を行っています。薬に頼り続けるのではなく、その子に合う薬のやめどき、減らしどきを診断でき、治療のモチベーションにもつながると思っています。心電図は、起立性調節障害の検査で心拍数や血圧の変化を診ることが多いですね。エコーは、心雑音があるときやおなかが痛いときの原因を目で見て確認していくことができますし、ウイルス感染による喉の炎症で首のリンパ節がはれているときなども、エコーで確認できます。患者さんの不安を少しでも解消できるよう、丁寧な診療を行っています。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。
【智院長】子どもの相手しかしていないですね(笑)。わが家には、9歳の男の子、7歳の女の子、5歳の男の子、2歳の女の子がいます。普段はなかなか遊んであげることもできないので、休日は妻とともに子どもたちと過ごす時間を大切にしています。みんなまだ小さいので、それなりに体力も必要ですが、子どもたちといるだけでリフレッシュできていると思います。
今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

【和子副院長】病気に限らず、何か困ったことがあったら、ぽっと頭に浮かぶようなクリニックをめざしたいですね。「ミルクが足りているのかな」「チック症状が出たけど、どうしよう」「学校に行きたがらないんだけど、困ったな」とか。そんなときに「あそこだったら、何か解決の糸口があるかもしれない」と思ってもらえる身近な存在で在りたいです。
【智院長】耳鳴りやめまい、嚥下障害などは耳鼻咽喉科の領域ですが、これらの症状は脳神経外科の疾患に起因している場合があります。当院は隣接している脳神経クリニックと連携していますので、診察の結果、脳神経系疾患の疑いがあれば、迅速に対応します。また、高齢の方には、当院が「集いの場」になれればいいと思っています。ここに来て治療をするだけではなく、広い待合室で患者さん同士で話をすることが、健康のバロメーターになればと。いつでも気軽にいらしてください。