湯浅 幸子 院長の独自取材記事
尾山台ゆあさ内科クリニック
(世田谷区/尾山台駅)
最終更新日:2025/01/29

活気ある商店街が広がる尾山台駅前から徒歩2分。2019年開業の「尾山台ゆあさ内科クリニック」は、湯浅幸子院長が専門とする糖尿病を中心に内科疾患全般を幅広く診療。更年期の症状に悩む女性からの相談や花粉症などにも対応し、地域住民の健康を支えている。糖尿病が専門で、糖尿病療養指導のエキスパートであった父の背中を見て育った湯浅院長は、当時の父の患者に対する姿勢から今の時代に合った患者への対応を模索、患者がこれまで培ってきた生活背景に敬意を払うことを大切にしている。「患者さまとともに走るパートナーとして、療養生活を支えていきたいと思っています」と、気さくな笑顔で話す湯浅院長に、同院の診療の特徴や患者・地域への思いを聞いた。
(取材日2024年9月20日)
生活習慣病を中心に、末永く患者に寄り添う診療を
まずはクリニックの特徴を教えてください。

発熱や喉の痛みなどの風邪症状や生活習慣病、花粉症などのアレルギー疾患、甲状腺疾患のほか予防接種や健康診断と、内科全般を幅広く診療しています。患者さまは若い方から90代までと幅広く、男女比も男性4、女性6ぐらいでほぼ同じです。疾患としては、私が日本糖尿病学会糖尿病専門医ということもあって糖尿病のほか高血圧や高脂血症などの生活習慣病の方が多いですね。循環器内科を掲げているので動悸や息切れの症状を訴えて相談に来られる方もおられます。45〜55歳頃の女性の場合、更年期の症状として動悸や息切れが認められることもあるので、主訴の原因に内科的なものがないようでしたら、更年期障害の治療として漢方薬の服用をご提案します。中にはご家族で来院されている方もいらっしゃいますよ。
生活習慣病の治療はどのように進めていくのでしょうか?
健康診断で血糖値や血圧、コレステロール値などの異常を指摘され、心配して受診される方から、診断済みである程度病気が進行している方までさまざまですが、糖尿病をはじめとする生活習慣病は、その名のとおり日頃の生活習慣が病状に深く関わっています。そのため、食事など生活習慣の見直しがとても大切です。当院では、データが悪い方でも可能な限り、まずは食生活を見直すことからスタートします。最初の1ヵ月は管理栄養士による栄養指導を中心に数値を確認します。もしも前回よりも数値が下がればモチベーションにつながると思います。患者さまの全身状態を診ながら、ご本人の納得を得てから治療を開始することを心がけています。
生活習慣病は長く付き合っていく病気だといわれていますね。

そうですね。生活習慣病の治療の目的は、心筋梗塞や脳梗塞、がんなど命に関わる重い病気に発展するリスクを減らすことにあります。また、生活習慣病は一度発症すると完全に治すことは難しく、定期的な通院・治療の継続が大切です。私は大学病院に勤務した後、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を取り、子育てをしながら外来と健診施設で診療してきました。長く健診施設に勤務する中で、糖尿病が見つかった患者さまとの出会いをそこで終わりにするのではなく、長く患者さまとお付き合いできる仕事の仕方をしたいと思い、開業を考えるようになったのです。ここ世田谷区尾山台は子どもの頃からなじみのある場所で、お隣のスーパーもよく利用していたんですよ。思い入れのある地域に腰を落ち着けて、末永く患者さまに寄り添って療養生活をサポートしていければと思っています。
まずは食事指導から。新しい治療も積極的に導入
先生の専門である糖尿病治療の特徴を教えてください。

糖尿病指導の専門知識を持つ管理栄養士が栄養指導を行っています。まずは3日間の食事内容を間食も含めてすべて記録していただき、その後、記録を見ながら、例えば「夜だけでも脂っこいおかずを控えると血糖値が上がりにくくなりますよ」などと具体的にアドバイスします。また、果物には糖分が多く含まれていることをご存じない方も多いので、たくさん摂取している方には食べ過ぎないよう指導します。それから、血糖値とヘモグロビンA1cの値および尿検査は迅速に検査し、当日に結果をお伝えしています。数値に誤差が出ないよう、病院で導入しているような機器や測定方法を採用しているのもこだわりです。さらに、インスリン投与が必要な場合でも、よほど状態が悪い場合を除いて外来での対応が可能です。
新しい治療も積極的に取り入れているそうですね。
はい。近年の2型糖尿病治療薬の進歩は目覚ましく、血糖値を下げる目的だけでなく、心機能や腎機能を保護する作用が期待できるお薬も登場しています。さらに2023年4月からは、ヘモグロビンA1cの減少と体重減少の両方が望めるGIP/GLP-1受容体作動薬という、新たなお薬が使えるようになりました。週1回の自己注射剤ですがインスリンではなく、当院でも処方しています。また、持続血糖測定器を用いた2週間ごとの血糖モニタリングにも対応可能です。患者さまが自宅などで血糖値を測定する場合は、指先に専用の穿刺器具を刺して採血して簡易血糖測定器で測定する方法が一般的ですが、持続血糖測定器はセンサーを腕につけるだけで連続的に血糖が測定できます。測定のたびに針を刺す必要がないので負担が少なく、特にご高齢の患者さまに適しています。
糖尿病治療の際に心がけていることはありますか?

患者さまは当院を受診される時点である程度治療への意識を高めていらっしゃると思うので、せっかく当院を選んで足を運んでくださったその思いを受け止めていきたいですね。治療に来るということはモチベーションが上がっている時期なので、そこをうまく逃さずに、治療を長く続けていけるようにサポートしていければと思っています。また、治療中に合併症が見つかったり、心機能・腎機能が悪化した場合には近隣の総合病院に速やかにご紹介します。安心感を持って通っていただけることが当院の強みだと自負しています。ぜひお役立てください。
質の高いチーム医療を追求しより良い治療を提供したい
糖尿病を専門に選んだ理由を教えてください。

父の影響です。私の父は糖尿病の患者教育のエキスパートでした。子どもの頃に糖尿病教育映画の撮影に連れていってもらうなど身近に糖尿病があったので、自然と興味を持つようになったのだと思います。ただ、医師の言うことに患者さまが従うのが一般的だった父の時代と今とでは、患者さまとの関係性は大きく変わってきています。ライフスタイルも多様化していますから、患者さまがこれまで培ってきた生活背景に敬意を払うことを大切にしています。父の時代の糖尿病治療が“指導”なら、今の私はマラソンの“伴走者”といったところでしょうか。心を開いて話し合える、パートナーのような関係性を保ちながら患者さまの療養生活を支えていきたいですね。
スタッフの皆さんとはどのように連携されていますか?
管理栄養士による栄養指導や、看護師による自己注射の手技指導を行う際は、指導時の様子などを随時報告してもらいます。例えば「自己注射がうまくできないようだった」という情報があれば、指導する時間を増やすといった対応を検討します。受付スタッフも含め、皆いつも明るく患者さまに対しても丁寧に接してくれているので、「スタッフの方の対応が良いので通っています」とおっしゃる患者さまもいらっしゃるんですよ。糖尿病をはじめ生活習慣病の療養を支えるプロとして、チーム医療でより良い治療の提供をめざしていきたいと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

皆さん糖尿病が怖いという情報はお持ちなのですが、実際どんなことで血糖値が上がり、食事で変わってくるのか、意外とご存じでないことが多いです。冊子をお配りするだけではなく、今後は院内で糖尿病患者さまに向けた勉強会を開催したいと考えています。これまではクリニックを軌道に乗せることで精一杯だったのですが、開業から5年たった今は近隣の医療機関からの紹介患者さまも増え、糖尿病の専門的な治療ができるクリニックという認知度が高まっているように感じます。患者さまからも「近くにすぐ相談できるクリニックがあって良かった」という声をお聞きすることもあり、うれしく思っています。今後もスタッフ全員で研鑽を積み、よりチーム医療を充実させていきたいです。パートナーとして一緒により良い治療を見つけていきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは血糖測定(間歇皮下グルコース測定)/1万6800円