原 寿美香 先生の独自取材記事
ザ・ホワイトデンタルクリニック 横浜院
(横浜市西区／横浜駅)
最終更新日：2025/03/10
横浜駅西口から徒歩7分ほど、彫刻通り沿いのビル3階にある「ザ・ホワイトデンタルクリニック 横浜院」。歯科恐怖症や嘔吐反射により、通常の歯科診療を受けられない人などを対象に、すべて自費による診療を提供する歯科クリニックだ。専門的な技術力と対応スピードで、来院回数を極力抑えての治療をめざしている。「思うように歯科治療と向き合うことができず、長く苦しい気持ちを抱えた方が多数来院されています。そうした苦しみに寄り添いながら、患者さんと気持ちを一つにして治療を進めていきたいと思っています」と話すのは、同院で診療を担当する原寿美香先生。全国に8院を展開するグループを統括する、永山幸院長とともに、診療の質の維持と向上に努めている。そんな原先生に、同院の特徴やめざす医療などを詳しく聞いた。
（取材日2025年2月12日）
静脈内鎮静法を採用し、重症例も回数を抑えて治療
こちらはどのようなクリニックなのでしょうか。
いわゆる歯科恐怖症で診療が怖かったり、嘔吐反射が強かったりで、長年歯科診療を避けていらっしゃる方を多くお迎えしている歯科クリニックです。歯科麻酔を専門とする歯科医師が在籍し、点滴による静脈内鎮静法を採用しており、眠ったような状態で診療を受けていただけます。1本だけでなく、複数の歯が虫歯となっており、長く苦しんできた方も多くいらっしゃいます。そうした状態でも、1回の受診でできる限りまとめて治療することを方針としており、なるべく来院回数を減らせるよう取り組んでいるのも特徴です。
すべて自費診療になるのですね。
保険診療の枠組みでは、基本的に1回の治療で1本の歯しか治療できません。複数歯に虫歯が発生しているような場合、口腔環境がそもそも悪化しているケースが多く、1本の治療が終わる頃には他の歯が悪くなってしまうなど、1本ずつの治療では追いつかないことがあるのです。長期間にわたり複数回の受診が必要となると、通いきれないという方も出てきます。そこで、当院ではすべての診療を自費診療としています。保険診療では一度の治療に20分程度しかかけられませんが、自費診療とすることで2時間、3時間と時間をかけることが可能です。私自身、こちらに入職する前には、一般歯科で保険診療も手がけてきました。費用面の負担が気になる方も多いと思いますが、保険診療の後に、セラミックなどの自費診療に移行するケースを考えると、当初からエックス線検査費用なども一括で含まれている当院の価格設定は経済的負担にも配慮されていると感じています。
こちらはグループ院の中の一つなのですね。
都内に3院、当院も含め全国で8院あり、方針を同じくしています。すべてのクリニックを当院の院長でもある永山幸先生が統括しており、専門的な技術レベルと対応スピードを維持しているのが特徴です。永山先生は私より若いのですが、尊敬できる技術力と知識をお持ちで、明確な方針を示してくださる頼れる存在。クリニックの特性上、当院にも難しい患者さんが多く来院されますが、永山先生がすべての症例について検査データなどをオンラインで日々チェックしています。特に難しいケースや、間違いが起こりやすいケースなどがあれば、直接指示や指導を受けられる体制です。特に若手の先生方には、クリニックの垣根を越えての学びの機会も多く、切磋琢磨しながら技術を磨ける環境となっています。
わらにもすがる思いの患者に、前向きになれる声がけを
こちらにはどのような患者さんが多くいらしているのでしょうか。
若い世代も多いですが、ご高齢の方もいらっしゃいます。横浜駅から徒歩圏と交通の便が良いことからか、静岡や長野といった他県からも来院されます。そうした方は、近隣に受診できる歯科医院を見つけられず、まさにわらにもすがるような思いで足を運んでくださっているのではないでしょうか。
先生が特に得意とされている診療などはありますか。
私は口腔外科を専門としており、抜歯や歯肉、粘膜の切除を伴う外科的処置を得意としています。特に、難易度の高い抜歯もスムーズかつ短時間で対応できる技術には自信があります。患者さんへの負担をできる限り軽減しながら、安全で確実な処置を行うことを心がけています。また、ブリッジ治療の分野にも豊富な経験を持っています。通常の保険診療では対応が難しい4本以上の長いブリッジによる治療も得意としており、数多くの症例を手がけてきました。その経験を生かし、噛み合わせの精度を高く、長期間安定するブリッジの提供をめざしています。さらに治療期間中の仮歯においても、見た目の美しさを重視し、患者さんのご希望に沿ったデザインで作製しています。これらの技術は、これまでの経験の中でも法人内で特に鍛えられ、磨きをかけてきた分野です。ただ治療を行うのではなく、「患者さんにとって最良の治療」を常に追求しながら診療にあたっています。
診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか。
治療によりできることとできないことを、はっきりと間違いなく伝えることです。例えば患者さんがブリッジを求めていらしても、状況により難しいこともあります。そうした際に「今はこうすることしかできない」とか、「こういう方法もあるが、こんな困難が伴うかもしれない」など、リスクも含めてわかりやすく伝えるよう心がけています。治療による良い面ばかり伝えて期待を大きくしすぎては、治療後に思いがけない失望に陥り、その先にプラスの展望を持つのが難しくなることがあります。例えば義歯治療では、最初の10日間は違和感や食べづらさ、話しづらさなどが発生する可能性なども正直に伝えながら、それらを受け入れるメリットも伝え、一緒に頑張ろうというモチベーションを持っていただくように声がけを意識しています。
患者の苦しみにも寄り添い、ともに前進
歯科医師を志されたきっかけは何ですか。
祖父も父も歯科医師で、当たり前に私も歯科医師をめざしていました。父の出身校である大阪歯科大学で歯学を修め、晴れて歯科医師となることができたものの、若い頃は技術不足に苦しみ、毎晩が一人反省会。「いつになれば安らかに夜眠れるようになるのだろう」などと思いつめたこともあります。しかし、皆さんのお口の中をよく見て、生活背景を聞き取ることを続けていると、徐々に「なぜこうなったか」が見えてくるようになったのです。「氷をかみ砕く癖がある」「電動歯ブラシを使っている」など、患者さん自身もお気づきでないトラブルの主たる原因をひもとけることに、歯科医師としてのやりがいを感じられるようになりました。
歯科医師人生の中で、心に残るエピソードはありますか。
それはご高齢の女性の患者さんでした。根も吸収して小さくなった歯を抜いた際に、お見せしようとすると「かわいそうで見られない」とおっしゃった方がいらっしゃいました。その時に、どんなに悪くなった歯でも、その方にとっては大切な体の一部であり、愛していらっしゃるのだということを再確認したのです。歯科医師として大切な歯の健康に貢献できるやりがいを感じたとともに、大切な歯を守りきれなかったという苦悩を抱えていらっしゃる患者さんの苦しさにも思い至った瞬間でした。
休日の気分転換に楽しんでいらっしゃることは何ですか。
中学一年生の息子の子育て中で、部活に塾にと忙しい彼のサポートでてんてこまい。休日のほうが忙しいほどです。未経験で硬式テニス部に入部し、当初つらい思いをしながらも、持ち前の強さとコミュニケーション力で乗り越え、楽しくやっている様子を見て、私も元気をもらっています。子どもがいるからこそ経験できることも多く、互いに支え合う日々を楽しんでいます。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
当院には、思うように歯科治療と向き合うことができず、メンタル的にも大きな苦しみを抱えている方が多くいらっしゃいます。そうした気持ちを放置することなく、患者さんと気持ちを一つにして治療を進めていきたいと思うのです。これまで、技術に特化してきましたが、患者さんの気持ちに寄り添い、励ますような雰囲気づくりや声がけも心がけていきたいと思っています。現在、悩みを抱えている皆さんにとって、重い扉を開けて来院されるのは、ハードルの高いことかもしれません。とはいえ、当院では深刻なお口の悩みを持つ方を丸ごと受け入れ、ともに前進したいと用意を整えています。まずはお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは静脈内鎮静法（1回）／5万5000円、インプラント治療／39万6000円～、マウスピース型装置を用いた矯正／38万5000円～、入れ歯／19万8000円～、歯周病治療（1部位）／3000円～、虫歯治療／セラミックインレー：6万6000円～、オールセラミッククラウン：13万2000円～、ジルコニアクラウン：8万8000円～、ホワイトニング／ホームホワイトニング：3万3000円〜、クリーニング／1万6500円～、ブリッジ／前歯1歯：8万8000円～、ブリッジ／4歯：35万2000円～、抜歯／1万1000円～
※症例により異なりますので、ご相談ください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。
