表 一岐 院長の独自取材記事
おもて整形外科・骨粗鬆症クリニック
(豊中市/少路駅)
最終更新日:2024/06/03
大阪モノレール線の少路駅から徒歩5分にある「おもて整形外科・骨粗鬆症クリニック」。専門とする骨粗しょう症の治療を筆頭に、小さな子どもから高齢者まで、個々人に合わせたオーダーメイドな診療で地域医療の一翼を担っている。院長を務めるのは、整形外科医師として豊富な実績を持ち、骨粗しょう症のスペシャリストでもある表一岐先生。「開院5周年を迎え、私がめざすチーム医療が理想に一歩近づきました」という言葉には、患者の症状や悩みの解決に全力を注いできた確かな手応えが込められている。そんな表院長が大切にする診療コンセプトや体制づくりのポイント、患者に対する向き合い方など、ポジティブなアプローチにじっくりと迫ってみた。
(取材日2024年3月21日)
家族ぐるみで通えるファミリークリニックをめざして
こちらには、どのような患者さんが来られますか?
整形外科と聞くと、なんとなくご年配の方が行くところというイメージがあるでしょう。ところが実際には捻挫や骨折といった外傷、肩や腰の痛み、スポーツ障害など幅広く、それこそ幼稚園児から若いファミリー層、ご年配の方まで、あらゆる世代が対象となります。当院は骨粗しょう症の診療には特に専門性高くお応えしていますが、基本として掲げているのはご家族ぐるみで安心して通えるファミリークリニック。最初にお子さんやお母さんが受診して、後からお父さん、さらにはお孫さんに手を引かれておじいちゃん、おばあちゃんが来られることもあり、本当にうれしく感じています。診療や検診に予約は必要ありませんので、診療時間内であればいつでもお待ちしています。
現在の診療体制について教えてください。
診療に関しては4人の看護師が中心となり、リハビリテーションスタッフや受付スタッフと協力したチーム医療でクリニックを支えてくれています。当院では開院当初から特に役職は設けず、そのぶん一人ひとりの自主性や個性を尊重する方針をとっています。幸いなことに現在のメンバーは皆優秀で、開院から5年、ようやく自信を持って患者さんをお迎えできる体制を整えることができました。まだまだ通過点ではありますが、一つの到達点に立てたのはスタッフたちの努力のおかげと感謝しています。
診療で大切にしていることは何ですか?
まずは患者さんの症状や悩み事など、何に一番困っておられるかを見極め、その解決を最優先することです。例えば腰が痛くて来られた方に、原因はああだこうだと説明したところで頭に入ってはこないでしょう。腰が痛ければ、まず腰を治す。メカニズムについての説明はそれからでも遅くはありません。反面、また繰り返さないための予防法の指導などはしっかりと行っていく必要があります。あとは患者さんへのお声がけですね。主に看護師の仕事になりますが、患者さんが不安を抱えたまま帰さないこと。気になるそぶりがあれば、表へ出た後でも声をかけてみる、次回来られた際にはまた一声かける。そうしたサービスをしっかり励行してくれるのが今の当院のスタッフです。
一人ひとりに合わせたオーダーメイドな治療を提供
自身のクリニックを開業した理由を教えてください。
私は小学6年生の時に右手首を骨折して手術を受け、必死で練習して左手で勉強した覚えがあります。その時の体験が、医師をめざす大きなきっかけになったと思います。両親とも弁護士だったことから一時は公認会計士の仕事にも興味を抱きましたが、いろいろ考えて大阪医科大学に入学。卒業後は大阪大学医学部の整形外科教室に入局し、さまざまな関連病院に勤めて骨折などの診療や手術に携わりました。そのうちに「もっとトータルな診療ができないか」「骨折する前にできることはないか」と感じるようになり、骨粗しょう症の研究や治療に注力。自分がめざすオーダーメイドの医療を、もっと多くの人に提供していきたいと考えて開業に踏み切りました。こうして地域医療に身を置くことになりましたが、私にとってのセカンドステージであり、終着点ではないかと思っています。
骨粗しょう症の治療では何が重要でしょうか?
骨粗しょう症は、加齢に伴って発症するだけではありません。ステロイド剤の服用や糖尿病、妊娠や授乳などでも発症しやすくなるため、若い方であっても検査で骨の状態を把握し、必要であれば治療を通じて骨を強化していく必要があります。当院では骨の量と骨の質を同時に測定できるDEXA法と呼ばれる骨密度検査を行い、個々人に合わせた最適な治療薬を選択していきます。また、説明には独自のパンフレットを用い、治療継続の理解とモチベーションにつなげていただきます。ただし「治療の継続=薬の服用」ではありません。食事や運動も重要ですから、そこは専門的な知識のある看護師がしっかりとサポートさせていただきます。
リハビリにも力を入れていますね。
当院では理学療法士による理学療法と、低周波などの物理療法を併用した包括的なリハビリを提供しています。1人で立ち上げたリハビリですが、技術の向上とスタッフの医療従事者としての資質の育成を目的として1年前にスタッフ体制を整えました。現在は常勤・非常勤を含めて6人の優秀で信頼のおける理学療法士が在籍し、けがをされた方や手術後の方、スポーツをやっている方など、幅広い皆さんのフォローアップに励んでいます。また、産前・産後のリハビリでは女性の理学療法士による個室でのサポートを用意していますので、人目が気になる方も安心して通っていただけます。リハビリは回復の目的だけでなく、再発を予防するという大切な目的もあります。ご自宅でもできるエクササイズ指導なども丁寧に行っていますので、興味がある方は一度お問い合わせください。
あらゆる世代がいつまでも元気で輝けるように
院内環境に対するこだわりはありますか?
病院やクリニックは堅いイメージがあって、特に小さな子どもは怖いと感じがちでしょう。どの世代でもリラックスできるように、当院のインテリアは真っ白ではなく落ち着いた木目を配し、そこにイメージカラーであるブルーで若々しさをプラスしています。ロゴマークは私がデザインしたもので、青空に向かって両手を広げている図案と当院の英語の頭文字である「O」と「C」を組み合わせています。完成までに2年もかけましたから、もうほとんど楽しんでますよね(笑)。院内のBGMもポップスで、私が自分で編集したセットリストを流しています。若い患者さんが多い日は流行りのナンバーにしたり、ご年配の方にはオールディーズをセレクトしてみたり。神妙なクラシック音楽を流すより、皆さんに楽しんでもらえるのではないかと考えています。「昔の常識は今の非常識」と言うでしょう。それは医療の世界にも当てはまると思います。
職場環境としての取り組みがあれば教えてください。
私がめざしているのは、育児と仕事が両立できるような、女性が働きやすい職場環境です。子育て中のママにも優秀な人材がたくさんいますから、生かさないのは実にもったいないと思います。当院の2階にはスタッフルームと院長室があり、夕方になるとスタッフのお子さんが上がってきて、診療が終わるのを待ってお母さんと一緒に帰っていきます。出口は1階のバックヤードにしかつながっていませんから、外部から誰かが侵入することもありません。そうした環境があってこそ、皆が本領を発揮できるのではないでしょうか。一番わかっておられるのは患者さんで、クリニックの環境や体制を整えてからは「雰囲気がとても良くなった」とお褒めの言葉をいただくようになりました。それがすべてを物語っていると思います。
最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。
どの世代であっても、いつまでも元気で輝いていてほしいというのが私の願い。ですから「年だから仕方ないですね」といった無責任な言葉は決して口にしないようにしています。年齢のせいで終わらせるなら、医者が存在する意味はありません。その方が今すぐ取り組めることをきちんとご説明させていただき、受け入れてもらえるならば一緒に頑張っていく。そんな診療をこれからも提供していきたいと考えています。もし気になる症状があるのに受診を先延ばしにしているようであれば、当院にぜひ一度お越しいただきたいですね。検査の結果、問題がないことがわかるかもしれませんし、早期に病気を発見することで後々の負担が軽減できるかもしれません。アットホームな雰囲気でお迎えしますので、どうぞ気軽にご相談いただければ幸いです。