宗圓 聰 院長の独自取材記事
そうえん整形外科 骨粗しょう症・リウマチクリニック
(神戸市東灘区/岡本駅)
最終更新日:2025/01/15

腰痛や関節疾患、骨粗しょう症の治療に力を入れている「そうえん整形外科 骨粗しょう症・リウマチクリニック」。近畿大学奈良病院の整形外科・リウマチ科で長年、変形性膝関節症や骨粗しょう症、リウマチ治療に携わってきた宗圓聰院長が、2019年7月に開院したクリニックだ。国際標準のガイドラインに基づいた治療方針を採用しているのが特徴である。骨粗しょう症については精密な骨密度測定が可能な全身骨密度検査(DXA)装置を導入し、早期発見・治療に注力している。また腰痛、関節疾患についても、薬物治療、電気治療による消炎鎮痛処置で、急性期からの痛みにも対応しているという。「健康寿命の延伸をめざし、運動器疾患の予防と治療に取り組んでいきたい」と穏やかな笑みで語る宗圓院長に、同院での治療方針を中心に話を聞いた。
(取材日2024年12月11日)
専門的な骨粗しょう症治療と全身の骨密度測定する検査
まずは、こちらの骨粗しょう症治療について教えてください。

当院の骨粗しょう症の治療は骨折予防を第一に、2024年8月に示された国際的な治療目標値の考え方に沿って実践しています。骨密度を上げることを目標に、患者さんに応じた適切な薬剤選択をしていくというものです。治療は骨密度の定期的な測定を行い、データに基づいて治療経過を慎重に検討していきます。また治療薬の選択については、骨密度が低い方の場合、骨密度の改善を十分に得られるよう、治療開始時から適切な強度の薬剤を選択することもあります。さらに治療においては薬物療法だけでなく、運動と栄養・食事指導も重要な要素だと考えています。特に日本人はビタミンD不足であることが多いので、必要に応じて血液検査を行っています。当院に定期的に通院する患者さんの中で、多い疾患の一つが骨粗しょう症です。骨粗しょう症の専門的な知識を持つ看護師とともに、患者さんへのこまやかな指導や相談対応ができる体制を整えています。
骨密度の定期的な測定をされているんですね。
DXA法の全身用エックス線骨密度測定装置を導入し、精密な骨密度測定につなげています。この装置は腕やかかとで測定する機器と違い、腰椎と大腿骨の骨密度を直接測定できるので、骨粗しょう症の診断の中でも特に信頼に値する検査方法だといわれています。世界で行われている骨粗しょう症治療薬の治験でも必ずこの装置を使うほどです。検査は10分程度で終わり、放射線量は少なく抑えられるため、安心して受けていただけます。測定結果はグラフや数値で示すので、今の骨の状態をイメージしやすいと思います。またより詳しく骨の健康状態を知りたい方には骨の検診コースをご用意しています。DXA法による骨密度測定に加え、エックス線検査や骨折リスク評価をし、丁寧に結果説明と今後のアドバイスを行います。ちなみに治療を始められた方には、4ヵ月から半年に1回の定期的な測定で骨密度の変化を確認し、治療の経過を評価しています。
その他、骨粗しょう症の予防や早期発見のために何か取り入れられていますか?

骨粗しょう症の予防、早期発見はまず今の自身の骨の状態を知ることが大事です。特に40代以降で、骨粗しょう症のご家族がいる方や、痩せ型の方、過去ダイエットをされていた方、特に最近身長か縮んだのでは?と思った方などは、まず全身骨密度検査を受けていただきたいです。治療には、薬物療法とともに、日常生活での予防的な取り組みが重要です。これは予防にもとても大切で、当院では専門知識を持った医療スタッフが、患者さんの生活習慣や体力に合わせて、具体的な運動方法や食事内容についてのアドバイスを行っています。またビタミンD濃度の測定もしています。ビタミンD不足は骨粗しょう症だけではなく、いろんな疾患の発症にも関係してきますので、検査やサポートをしているんです。
チーム医療で支え、患者と治療目標を共有する
リウマチ治療における特徴的なアプローチについて教えてもらえますか?

リウマチ治療では、早期発見・治療が重要です。最近は30~40代での発症が増えてきていますが、高齢での発症パターンもあるため、それぞれの患者さんに応じた診断と治療を心がけています。その一環として、患者さんとの治療目標の共有、いわゆる「シェアード・ディシジョン・メイキング」を重視しています。医師が一方的に治療方針を決めるのではなく、検査結果や治療方針について、できるだけわかりやすく説明した上で、患者さんとともに考え決めていくのです。その際に大切にしているのが、患者さんの生活スタイルに合わせた治療プランの提案です。
リウマチ治療の方針について、さらに詳しくお聞かせください。
リウマチは、発症年齢や症状の表れ方に特徴があります。30~40代の発症の多くの場合、手指など小さな関節から症状が出現します。一方で、高齢発症の場合は膝などの大きな関節から症状が現れることもあるため、診断・治療方針も患者さんに応じて変えていく必要があります。治療では段階的な薬物療法を行いますが、副作用への配慮も重要です。例えば、間質性肺炎や骨髄抑制、肝臓・腎臓への負担など、さまざまな副作用のリスクがあります。ですから有用性とリスクについて患者さんと十分に話し合い、理解を得た上で治療を進めていますね。
消炎疼痛リハビリテーションについては、どのような対応をされていますか?

腰痛の方やひざ、肩など関節に痛みのある方には、薬物治療に加えて物理療法をご提案しています。物理療法として、立体的(3次元的)に電流を流すタイプの機器を導入しています。この機器は、局所的な痛みの緩和に対応しているので、例えばぎっくり腰や寝違え、急に首が回らなくなったような状態への治療に適しています。また慢性的な腰痛やひざ痛に対しても、患者さんの状態を確認しながら治療を進めていきます。通院のタイミングは患者さんの症状に合わせて調整していますが、毎日仕事や買い物の前に、「今日は長時間座るので」「今から重い荷物を持つので」などの理由でお越しになられたり、夕方に今日の痛みを取りたいと来院されたりする方もおられます。
患者に寄り添う地域医療サービスをこれからも
診療体制について教えてください。

痛みや骨粗しょう症の専門知識を持つ看護師が複数在籍しています。運動や栄養についてもきめ細かに患者さんからのご相談に対応できる体制を整えています。医療スタッフは、院内や院外の勉強会にも積極的に参加して、知識の向上に努めてくれていますね。患者さんへの献身的な姿勢を気に入っていただけたのか、近隣地域の方はもちろん、専門的な診療を求めて遠方から来院される患者さんもいらっしゃるんですよ。またセカンドオピニオンのご相談も承っています。これまでの治療経過を丁寧に確認した上で、今後の治療方針についてわかりやすく説明するよう心がけています。患者さんお一人お一人の状態に応じた治療方針を立て、ご家族の介護負担軽減も視野に入れた取り組みをしています。
地域医療における整形外科クリニックの役割について、どのようにお考えですか?
運動器疾患は健康寿命と密接に関わっています。寝たきりや要介護状態の原因の約4分の1が運動器疾患であり、その予防と治療は重要でしょう。そのことを受けて当院では、一般的な整形外科疾患の治療に加え、腰痛や私の専門の一つでもある変形性膝関節症では保存的加療として消炎鎮痛処置による痛みのケア、そして骨折予防もつながる骨粗しょう症の予防と治療を行い、患者さん自身の生活習慣の改善も含めた包括的なアプローチを心がけてきました。これからは医療と介護の連携を強化し、要介護状態になることを予防する。あるいは要介護状態からの改善に向けて支援することで、患者さんとそのご家族の生活の質の向上に貢献していくのが、地域のかかりつけ医としての役割だと考えています。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

ひざや腰の痛み、骨や関節の不調は、早めの対処で改善が見込めることが多くあります。特に女性は更年期以降、骨粗しょう症や関節症状のリスクが高まりますので、予防的な検査や治療を始めるのに適した時期といえます。体の不調は生活の質を大きく左右します。最近はインターネットで情報を調べてから来院される方も多いのですが、情報を見て悩まれる前にぜひ一度ご相談ください。国際標準に基づいた先進の治療方針を取り入れながら、地域に密着した医療を提供していきたいという考えのもと、皆さんが健康で活動的な毎日を送れるよう精一杯サポートさせていただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは骨の検診コース:骨塩定量検査(DXA)・エックス線検査・骨折リスク評価・結果相談4950円/セカンドオピニオンの外来:相談料30分1万1000円、60分2万2000円