骨折リスク軽減のためにも早期発見と予防が重要
骨粗しょう症
かわい整形外科
(立川市/立川駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
加齢などが原因で骨の強度が低下する骨粗しょう症。骨の強度が下がれば骨折リスクが高まり、少ない衝撃でも脊椎などが折れてしまう「骨脆弱性骨折」も発生しやすくなる。発症しても自覚症状はほとんどないため発見が遅れがちだが、一度下がった骨の強度を高めることは難しいため、検査によって自身の数値を把握し、必要に応じて生活習慣改善による予防や薬物治療を実践することが望ましいとされる。整形外科医師として30年以上の経験を持ち、近年は骨粗しょう症治療に注力している「かわい整形外科」の河合大院長に、骨粗しょう症の早期発見の重要性や具体的な予防法について聞いた。
(取材日2020年5月21日)
目次
加齢以外に、食生活や運動習慣が原因になることも。検査で自身の骨密度を知っておくことが大切
- Q骨粗しょう症というのは、どういった病気なのでしょうか?
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A
骨の強度は骨の「密度」と「質」によって決まりますが、その強度が加齢などが原因で低下するのが骨粗しょう症です。加齢以外にも、乱れた食生活や運動不足などの生活習慣、長期間にわたるステロイドの服用、寝たきりの生活などによって発症する可能性もあります。女性ホルモンの減少に伴い骨密度が低下することも骨粗しょう症の原因になりますので、女性のほうが発症しやすい傾向にあります。
- Q骨粗しょう症になると、生活にどのような影響がありますか?
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A
骨の強度が下がっているわけですから、骨折するリスクが高まります。特に骨粗しょう症の患者さんは、少ない衝撃でも脊椎・大腿骨・手首の骨・上腕骨などが折れてしまう「骨脆弱性骨折」が発生しやすくなります。骨折すれば生活が制限されますので、高齢者はそれがきっかけで寝たきりになったり認知症が進行したりして、健康寿命が短くなる可能性もあります。骨粗しょう症の患者さんは骨折の治りが遅くなりますので、手術が必要になるケースもあるでしょう。手術になると医療費もかかりますし、患者さんの身体的負担も大きくなってしまいますので、早めに検査、治療をすることが大切になってきますね。
- Qどんな生活習慣が、骨粗しょう症につながるのでしょう。
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A
普段から食事の量が少ない人は、骨密度が低い可能性があります。骨密度は骨への刺激が少ないことからも低下していくため、普段から運動をしない人や寝たきりの人も骨粗しょう症になりやすいでしょう。若い人はすぐに骨粗しょう症を発症することはないかもしれませんが、骨密度が下がるような生活を長期間続けることで、将来的に発症にいたる可能性はあります。多くの方は骨折などがきっかけで骨密度を測定したときに、初めて骨粗しょう症であることが発覚します。骨粗しょう症はほとんど症状がないため、気づかないうちに発症している患者さんもいるのではないでしょうか。
- Qこちらのクリニックの骨粗しょう症治療の特徴を教えてください。
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A
治療の3本柱となるのは、「食事・運動・必要に応じた薬物治療」です。骨をつくるカルシウムやビタミンDを積極的に摂取したり、ウォーキングなどの運動を日々取り入れたりするよう指導しています。薬物治療については、全身用骨密度測定装置などを使って精密に骨密度を測定し、その結果に基づいて適切な治療を行います。骨密度は短期間で増加するわけではないので継続することが大切ですが、途中で治療をやめてしまう方も少なくありません。当院では治療を継続していただくために、骨密度に変化があったらその数値を共有して患者さんのモチベーションをアップさせたり、骨粗しょう症治療の重要性を丁寧に説明したりするよう心がけています。
- Q骨粗しょう症予防のために、日頃から心がけることはありますか?
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A
若い人は普段からできるだけエレベーターではなく階段を使用するなど、適度に体に負荷をかける生活を意識すると良いでしょう。小さいお子さんはバランスの良い食生活と適度な運動を心がけ、幼少期から強度の高い骨づくりをしていくことが大切です。喫煙や過度な飲酒も骨密度に悪影響を与えるので注意しましょう。骨粗しょう症は基本的には自覚症状がないので、どうしても発見が遅れがちです。一度クリニックで骨密度を測定して、自分の数字を知っておくことが予防につながります。測定の結果、骨密度が低い人は、生活習慣の改善と合わせて定期的な検査で悪化していないかどうか確認しましょう。