水野 泰孝 院長の独自取材記事
グローバルヘルスケアクリニック
(千代田区/麹町駅)
最終更新日:2023/02/15

麹町駅から徒歩1分。麹町学園通りから少し入った所にある「グローバルヘルスケアクリニック」。ここは感染症の専門家としてさまざまなメディアで情報を発信している水野泰孝先生が院長を務めるクリニック。 水野院長はこれまで熱帯医学の臨床・研究や感染症内科での診療、海外渡航者の健康管理などいわゆるグローバルヘルスという領域に長く携わってきた。その豊富な知識と経験を地域でより身近に提供していきたいと2019年に開業。感染症の診療を行う一方、かかりつけとして内科疾患やアレルギー性疾患、小児のワクチン接種にも幅広く対応している。テレビでは真剣な面持ちで解説している水野院長だが、インタビューでは穏やかな笑顔が印象的だった。そんな水野院長にクリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2023年1月11日)
グローバルヘルスを地域レベルで提供できるクリニック
麹町に開業した理由について教えてください。

麹町を選んだのは7年間籍を置いていた国際協力機構本部のほか、諸外国の大使館や外資系企業などが多くあり、グローバルな医療を提供していくにふさわしい場所と判断したからです。開業してから気づいたのですが、この麹町エリアは住宅街で多くの方が住んでおられます。特に番町と呼ばれる地域は古くからの町で、小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方が住んでいらっしゃいます。そういった地域の方々をトータルに診ていくかかりつけとしての役割も大きいと考えています。開業は2019年で新型コロナウイルス感染症が流行し始める前ですが、開設当初からどのような感染症の患者さんにも対応できるよう入り口そばに隔離室を設置して動線を区別しています。完全予約制なので待合室で待つこともほぼありません。事前ウェブ問診やカード決済、セミセルフレジも導入し、院内感染対策も徹底していますので安心して受診していただきたいと思います。
クリニック名のグローバルヘルスというのはどのような意味なのですか?
グローバルヘルスは、日本語に訳すと「国際保健」でしょうか。その起源は植民地時代、宗主国から発展途上国に移住・赴任した人々を感染症から守るための医学で熱帯医学が中心でした。1990年代頃になるとグローバリゼーションの急速な進展や新しい感染症の広がりなど地球規模で考えていく必要が高まり、グローバルヘルスが提唱されるようになりました。その中には感染症はもちろん公衆衛生や母子保健、栄養問題、メンタルヘルスなどさまざまな分野が含まれていて、国や大学など大きな組織によるプロジェクトとして行う研究領域です。私自身20年以上この分野に携わってきていますが、実は、このグローバルヘルスを必要としている人たちが身近にたくさんいるのです。
それはどのような人たちなのでしょう。

例えば、母親が日本人で、父親の母国であるアフリカに子どもを連れて帰りたいがどんな予防接種が必要かわからない、現地の医療事情が心配、在日外国人の方で手術が必要になったけれど対応がわからないなどという人たちです。今は減少していますが、2000年代以降、国際結婚が増加したこともあり、グローバルヘルスに関わるケアを必要としている人が増えました。そんな方たちに向けてこれまでの専門的知識や経験を生かしてケアしていきたいとの思いを込めてこのクリニック名にしています。つまりグローバルヘルスのケアをするクリニックということですね。
小児科やアレルギー科でも専門的な診療を
患者さんはどのような方が多いですか?

内科で受診される方が7割前後、小児科が約1割、渡航に関する外来が約2割前後です。内科診療の中では、一般内科が5割前後、感染症内科が4割から5割程度です。この2年間は新型コロナウイルス関連で受診する方が多かったですが、そのほかの感染症では寄生虫症で受診する方がとても多いですね。当院では国内で承認されているほぼすべての抗寄生虫症薬を常備しています。大学病院でもこれだけそろえているところは少ないのではないでしょうか。患者さんは、クチコミで来られる方が多いですね。感染症の患者さんは東北地方や中国地方など遠方から来られる方もおられます。地域にお住まいのご高齢の方は、新型コロナウイルスの検査などで当院の存在を知って、その後、かかりつけとして通院なさる方も増えています。
先生は小児科やアレルギー科も専門とされているのですね。
大学病院の小児科で5年ほど診療し、日本小児科学会小児科専門医の資格を取得しました。子どもの疾患は感染症が多いですから感染症と小児科を専門的に診られるのは当院の一つの強みだと思います。小さいお子さんを連れて海外旅行に出かける方もおられるでしょうし、発展途上国に赴任する方もいらっしゃるでしょう。私も小さい子どもを連れてベトナムに赴任したこともあり、そんな経験を踏まえてお話しできると思います。また、予防接種や乳幼児健診なども行っていますのでご利用いただきたいですね。アレルギー科ではスギやダニのアレルギーに対する舌下免疫療法のほか、季節性アレルギー性鼻炎に対する抗体医薬による治療も行っています。アレルギー疾患についても日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医のもとで、最新の知見とエビデンスに基づいた治療を受けることが大切だと思います。
診療ではどのようなことを大切にしていますか?

当院の診療方針として4つのS、Safety、Specialty、Satisfy、Smooth & Smartを掲げています。今は医療の質、安全が問われる時代で、たとえ小さいクリニックであっても医療の質・安全を確保できる医療サービスの提供は最も重要な診療指針であると考えて、Safetyを一番上位に掲げています。患者さんを診察する時には時間をかけて丁寧に説明するよう心がけ、初診は患者さんの症状や悩み、不安に思うことに耳を傾け、一つ一つ丁寧に説明しています。大学病院時代と違って一人ひとりの診療時間も長くとれますし、患者さんとの距離がぐっと縮まったと実感しています。
より良いかかりつけ医を見つけることが大切
ところで、先生はなぜ医師をめざそうと思われたのですか?

父が小児科の医師でしたので、小さい頃は将来医師になるのかなと漠然と感じていました。ですが、中学生になると海外で仕事をしたいと思うようになり、パイロットに憧れていました。結局医学部に進みましたが、その後もパイロットの養成学校に進路変更しようかと考えていたほど。今の私の礎となっているのが、新人医師だった頃にWHOから帰ってこられたばかりの上司に出会ったことです。その方の話を聞いて海外の感染症に興味を抱いて大学院で熱帯医学を専攻しました。その後、国立国際医療センター(現・国立国際医療研究センター)や東京医科大学病院のトラベルクリニックの立ち上げや同院の感染症科診療科長、国際診療部部長なども務めてきました。それらの経験がすべて今の診療に生かされていると思います。開業以来、大学病院のネームバリューではなく、私個人を頼って患者さんが来てくださるのはやはりうれしくやりがいを感じますね。
お休みの日はどのようにお過ごしですか?
私は家でゆっくりしていられない性格で何か仕事をしていないと落ち着かないんです。それで月に1回、山形のクリニックで訪問診療を行ったりしています。ワーケーションといいますか、北海道が好きなので道内のクリニックで非常勤医師の求人があればそこに出かけて診療しています。そのついでにお気に入りである地元の飲食店を利用したり、お土産を買ったりしています。
今後の抱負と読者へのメッセージをお願いいたします。

実は私は総合旅行業務取扱管理者の資格とスキューバダイビングインストラクターの資格も持っています。それらと渡航医学の知識を融合した事業ができればと考えています。例えば1階に旅行代理店、2階にスキューバダイビングショップ、海外旅行の医療的サポートは3階のトラベルクリニックで、というような。私がすべてプロデュースしたいと思っているのですが、実際はなかなか難しいようです。でもいつか実現したいですね。読者の皆さんには、良いかかりつけ医を持っていただきたいですね。そのクリニックの強みは何か、高い専門性を持ってエビデンスに基づいた診療をしているか、熱が出ても診てもらえる体制かなど、患者さんご自身もよく勉強して、より良いかかりつけを持っていただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは・英文診断書作成/1万1000円
・新型コロナウイルス感染症のPCR検査/1万4300円(無症状者)