武原 政嗣 院長の独自取材記事
たけはら歯科医院
(鹿児島市/荒田八幡駅)
最終更新日:2025/06/23

鹿児島市下荒田のしろやまデリ・マルシェ2階にある「たけはら歯科医院」。鹿児島大学を卒業後、鹿児島市内の歯科医院で経験を積んだ武原政嗣院長が「誰もが通える歯科医院」をめざして、2015年9月に開院した地域密着型の歯科医院だ。「付近には住宅が多く、開業してからは近隣の方々に多くご利用いただいています」と話す武原院長。治療はもちろんのことアフターケアにも重点を置き、患者が足を運びやすい院内環境づくりに努める同院では、利用患者の目線を大切にしながら日々診療にあたっている。優しく穏やかな人柄が印象的な武原院長に、地域住民の口腔の健康を守るための診療方針や歯科医師としての思いについて話を聞いた。
(取材日2025年5月27日)
幅広い層が利用しやすい地域密着型の歯科医院
どのような患者さんが来られていますか?

2015年の開業以来、近隣で暮らす方を中心に、幅広い層の方にご利用いただいています。近くに小学校があるため、子どもの受診が多い一方で、昔から地域に住む年配の方の来院も少なくありません。また、この地域にはアパートやマンションもあるため、子育て世代や親子で通ってくださる方も多いですね。年代や症状はさまざまですが、治療後も通いやすい、通いたくなる歯科医院であることが、地域の方々の口腔の健康を守ることにつながると考えているので、責任を持って末長く口腔のケアをしていきたいですね。
治療面でこだわっていることがあれば教えてください。
治療においては、ご自分の状態を知っていただけるよう口腔内写真を撮り、大きな画面で共有しながら説明を行っています。そうすることで患者さんご自身の理解も深まりますし、モチベーションも上がります。以前の写真と比較もできますので、良くなっているところがある場合は褒め、そうでない場合は患者さんと一緒にどうしていくのが良いか考えるようにしています。また、口腔外科が専門のお二人の先生が、それぞれ週に1回と2週に1回、当院で診療してくださっています。専門的な知識に基づいた診断と、難症例の親知らずの抜歯、まれではありますが、口腔内にできたできものの切除などにも対応できます。当院は、開院当初から鹿児島大学病院や鹿児島市立病院の口腔外科と連携し、病院に任せたほうが良いと判断した大がかりな処置などについては紹介しています。口腔内を総合的にケアする歯科医院として、地域の人に頼られる存在でありたいと考えています。
設備についてはいかがでしょう?

さまざまな方が利用しやすい歯科医院をめざし、親子でも気軽に利用してもらえるよう、キッズスペースや授乳室、トイレにはおむつ替え台も設置しています。当院は建物の2階にありますが、エレベーターがあり、院内にはスロープを設け、車いすの方も利用しやすいよう工夫している他、個室の診療スペースも2部屋あります。また、治療で用いる道具の滅菌には、約15分で滅菌が完了するオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を導入し、使用するごとに滅菌を徹底。診療台には、治療中の唾液や水などの飛散を防ぐ口腔外バキュームも設置しています。患者さんには見えない部分ですし、歯科治療には直接的に必要のない機器ではありますが、そのような部分にこそこだわって、患者さんに配慮した診療を心がけています。
原因の正確な特定と治療、メンテナンスにも注力
お口の中の異常はどのようにして見つけるのですか?

虫歯の場合は、穴が開いていることを確認できれば、明らかに虫歯だとわかりますが、黒い色がついているだけでは、ただの着色なのか、虫歯なのかを判別することが難しい場合があります。着色のように見えて、深い虫歯だったということもありますので、当院では専用の検出装置を使って判別しています。また、2次元で検査を行うエックス線装置の他に、口の中の状態を3次元化して検査を行う歯科用CTも備えています。例えば、歯の根元が膿んでいる場合、エックス線では判断が難しいことがありますが、歯科用CTなら立体的に明確に写し出すことができるため、痛みや症状の原因を特定しやすくなります。口の中の状態を精密に診断できることで、より適切な治療を行うことができると考えています。
痛いイメージがある歯科治療ですが、工夫されていることはありますか?
当院では、治療の際の痛みや恐怖心を和らげることに努めています。治療によっては麻酔を使用しますが、「麻酔の注射は痛い」というイメージが強い人に対しては、表面麻酔を用いることで、麻酔注射時の痛みの緩和につなげています。また、主に子ども向けになりますが、笑気麻酔も使用しています。鼻から亜酸化窒素を吸引してもらうことで、気持ちを落ち着かせることを図ります。子どもにとって歯の治療時の痛みは怖いものですが、このような恐怖心を和らげるのに役立つのが笑気麻酔なのです。痛みに過剰に反応しなくなれば、落ち着いた状態で治療することができるでしょう。
治療後のアフターケアについてはいかがでしょう?

治療後に時間を空けて来院していただき、口の中をチェックしクリーニングするメンテナンスに注力しています。磨き残しの部分に色をつける染め出し液を使い、磨き残しがある場合はブラッシングの指導も行います。大切なのは、これらを定期的に行うことです。クリーニングや治療を行っても、再び汚れがついたり、新たな虫歯が見つかるなど、口の中は逐一変化するものです。歯科医院で口の中をチェックしてもらい、自身のブラッシングの弱点や生活スタイルを改善していくことも、虫歯や歯周病の予防につながります。歯肉の裏の歯石など普段の歯磨きではどうしても届かない部分もありますから、歯科医師の目で見えない部分まで確認してもらい、今の自分の口の中の状況を知っておきましょう。
訪問診療もスタートし患者の口腔の健康を末長くケア
こちらでは訪問診療にも対応されているそうですね。

地域の方々の口腔の健康を末長くケアしていきたいと考え、1年ほど前から訪問診療を始めました。移動式の機器を持参していくので、入れ歯の調整はもちろん、歯を削る、詰めるなど、基本的には診療室でできる治療と変わらない内容が訪問先でもできます。訪問診療の時間帯は特に決めておらず、患者さんと都合を合わせて訪問日時を決めています。現在、通っておられる患者さんで、通院が難しくなったとお考えの方も診療の継続を諦めないでいただきたいですね。
先生が歯科医師を志されたきっかけは?
自分が主体となってできる仕事を希望していましたが、歯科医師になると決めていたわけではありませんでした。祖母が助産師をしていたこともあって、医療に対する漠然とした憧れみたいなものはあったかもしれません。実際に歯科医師になり、治療を終えた患者さんから「ありがとう」と言ってもらえたときには、私もうれしくなりますね。さらに「歯のケアが大切なことなんだとわかった」と言って、定期的に来院されるようになると、歯科医師としての思いが伝わったのだなと感じます。一人ひとりの歯や口に対する意識を高めることが歯科医師の大切な役目の一つだと思います。また当院では歯科医師会や大学からの依頼に応じて、歯科衛生士、歯科医師をめざす、専門学生の実習や大学生の見学も積極的に受け入れています。未来の歯科医療を担う若い世代の育成にも力を入れることで、地域の歯科医療の発展にも貢献できることは、私にとって大きなやりがいの一つです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

保護者の方に伝えたいのは、お子さんの口の環境や状況はぜひ知っておいてもらいたいということです。子どもの頭を自分の膝の上に乗せてデンタルミラーを使うと、見えにくい部分を見ることができて良いですよ。また、歯科医院で学んだ正しいブラッシングは、保護者の方に率先して実践してもらいたいですね。家庭用の染め出し液を使って、磨き残しがないよう親子でブラッシングを見直すこともできますから、楽しみながら虫歯予防に努めてほしいと思います。また、「毎日歯磨きをしている」「痛みや違和感はない」という人でも、長期間、歯科医院で診療を受けていないと、気づかないうちに口の中の環境が悪くなっていたり、虫歯や歯周病が進行したりしていることがあります。特に歯周病は明確な自覚症状がなく、知らないうちに進行し歯を失うことにもつながりますから、もし長期間歯科医院に行っていないのであれば、一度受診することをお勧めします。