全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 愛媛県
  3. 新居浜市
  4. 多喜浜駅
  5. たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック
  6. 谷 到 院長

谷 到 院長の独自取材記事

たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック

(新居浜市/多喜浜駅)

最終更新日:2021/10/12

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック main

JR予讃線多喜浜駅から車で約5分、平和通り沿いに「たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック」はある。院長の谷到(たに・いたる)先生は、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医の資格を持ち、20年以上にわたって救急科の医師として経験を積んだベテランドクターだ。昨年4月に生まれ故郷であり、大好きな祖父との思い出が残る新居浜でクリニックを開業し、24時間電話対応で地域住民の健康を見守っている。病気と共存して「より良く生きるための攻略法」を一緒に見つけることが使命であると語る谷院長。一人ひとりの患者に親身に寄り添い、地域のかかりつけ医として厚い信頼を集める谷院長に、診療に対する思いを語ってもらった。

(取材日2020年9月4日)

長く患者に寄り添う医師をめざし開業を決意

先生が医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック1

開業医をしていた祖父に勧められたというのが大きいと思います。「自分の好きなことを仕事にしているのに、感謝してもらえるやりがいのある仕事だ」と、祖父が言っていたのを覚えています。父も耳鼻科の医師でしたから、当初は自分も同じ耳鼻科医師になるだろうと漠然と考えていたのですが、実際に金沢医科大学へ進んで研修をしていくうちに、より全身管理が必要となる救急と脳神経外科に興味を持ちました。私はもともと、医師になったらいずれは開業したいという思いがあって、無医村などで働きたいと思っていたんです。そのためには、全身の疾患に対応できなくてはいけないのですが、さらに何か一つ特化した強みがあったら良いのではないかと思い、脳神経外科を専門に選びました。

開業までの経緯をお聞かせください。

広島の荒木脳神経外科病院では、理事長先生の「医療の原点は救急である」という理念の下で、24時間365日さまざまな救急対応をすることで、脳疾患を主軸にさまざまな疾患に対応可能な医師に育ててくれました。以前は、病院では、急患さんの急性期治療がメインで、それ以降の治療までは受け持つことはありませんでした。でも、私は自分が受け持った患者さんのその後が気になって、病院を移ったり、退院した患者さんの様子を見にいくこともありました。それが、開業を考えるようになったきっかけの一つだと思います。患者さんの急性期だけでなく慢性期に入るところまですべてを診ていきたいと思ったのです。荒木脳神経外科病院で20年間勤務したことは、私にとって大きな自信となりました。人口120万都市の救急に対応できたのだから、人口12万都市なら自分でも対応できると確信したのです。

この地域で開業をしようと思ったのはなぜですか?

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック2

実は、私はもともと新居浜の生まれなんです。とは言っても、小中学校は岡山で過ごしたのですが、ここには母の実家がありましたから、毎年長期休みには帰ってきていました。大好きな祖父母との思い出がたくさん残る新居浜で、地域の健康を支えていくことができたらという思いからこの場所での開業を決めました。

患者層についてはいかがですか?

物忘れや認知症を心配して来院される患者さんが多いですね。家族が心配しているが当人はまったく病院に行ってくれないという状態の方でも、家族が相談に来ていただいた後に、往診などで柔軟に対応しています。認知症だと思っていたら脳の病気やがんで、結果的には早期発見となったケースも多くあります。あとは、頭痛、風邪、めまい、慢性疼痛の方が来られます。子どもの予防接種をきっかけに、そこからその家族みんなが来院するようになったというケースも多いですね。24時間電話対応していますので、事前に電話さえいただければ時間外でも診療していますので、そのような部分がクチコミで広がって患者さんが増えているのも感じます。

より良い人生にするための攻略法をともに見つける

先生が診療の際に大切にしていることは何ですか?

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック3

基本的なことですが、「助けを求めてやってきた患者さんを、助ける」ということです。不安を抱えている時にぞんざいな対応をされてしまうと、患者さんにとっては大きな心の傷になってしまうこともあります。また、医療用語は難しかったり、お医者さんの思いと患者さんの思いにずれが生じることが多々あります。わかりやすく説明することで、患者さんの理解を得るようにすることを大切にしています。たとえ治る可能性の低い深刻な状況であっても、諦めずにいろいろな方法を模索して、患者さんや患者さんのご家族が楽になる道を見つけることが医師の役割だと思っています。ウイリアム・オスラー博士の著書に「医者は病気を診るのではなく病人を診る」という言葉があり、大切に診察をしています。

こちらのクリニックでは病診連携にも力を入れていると聞きました。

当院では、院内でできる検査はすべて行いますが、難しい場合には他の病院へ責任を持って取り次ぐようにしています。十全総合病院や愛媛労災病院、愛媛県立新居浜病院、住友別子病院など連携している病院をご紹介しています。その場合も、こちらから紹介状を書いてすぐに見てもらえるように心がけています。さらに認知症や一人暮らしのご高齢の方などは、包括支援センターやケアマネさんと協力していきます。患者さんにとってより良い治療を提供するためには、それぞれの医療資源を活用していくことが大切なのです。

先生は認知症サポート医でもあるそうですが、認知症の治療についての考えをお聞かせいただけますか?

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック4

「認知症」は、薬と環境の二本立てで対応をしていくことが大切です。例えば、高齢になってできないことが増えてくると、その家族は「認知症になったら困る」と思って、つい口うるさく注意してしまいます。そうすると、怒られてばかりの高齢者はうつになってしまい、そこから認知症に移行していくことも多いのです。特に今年は新型コロナウイルスの影響で家で家族が顔を合わせる時間が長くなったことから、そのようなケースが増えています。とにかく心配なことや、気になることがあれば、些細なことでもいいので相談していただければ、家族みんなが幸せに生活していくための攻略方法を、一緒に考えていきたいと思います。かかりつけの患者さんで通院を嫌がるときには往診をすることも可能ですし、必要な場合には地域のケアマネジャーをご紹介しています。

どんなことも軽視せず、真摯に向き合っていく

どのような時に医師としてのやりがいを感じますか?

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック5

ありきたりですが、患者さんから「先生に診てもらえて良かった」と言ってもらえる時ですね。以前は脳神経外科救急病院であったので、来院した時にはすでに深刻な状況になっている方も少なくありません。残念な結果になってしまう方もいるわけですが、それでもわかりやすく説明することで、難しい局面への理解と覚悟をすることができると思います。死や治らないという悲しい現実に向き合うためにも、一つ一つわかりやすい説明をしていくことを大切にしています。その結果として、患者さんのご家族から「ありがとう」という言葉をいただけることが、医師としての大きな励ましになっています。

お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?

ドライブをしたり、妻と一緒にカフェに行ったりして楽しんでいます。妻はもともと他県の出身なのですが、家族や友達のいる地元を離れて一緒にここへ移り住み、クリニックを手伝ってくれていることは本当にありがたいですね。私が24時間対応クリニックのことに没頭することができるのは、妻がいろいろな面倒なことを対応し、支えてくれているからです。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

谷到院長 たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック6

開業して以来続けていることの一つに、公民館等で実施する「健康教室」があります。開院当初は、物忘れや認知症に関して講演し、最近は、新型コロナウイルスに関するアドバイスなどをお伝えするととても喜んでくださいます。その活動は今後も続けていきたいと思います。また、脳は意外と身近な臓器です。脳が命令を出していろいろな臓器を動かしています。脳に関する病気というのは、最初の一手がとても重要です。何か不安なことや、気になることがある場合には、脳が原因なんてこともありますので、脳の健康診断を受けることをお勧めします。ご本人が通院を嫌がる場合には、家族の方が相談にいらしてくださっても構いません。これからどうしたら良いのか、一緒に攻略法を考えていきましょう。今後もこのようなスタンスで、24時間電話でつながる医療を頑張っていきたいと思います。

Access