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八板 弘樹 院長の独自取材記事

やいた内科・内視鏡クリニック

(松山市/道後公園駅)

最終更新日:2021/10/12

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック main

松山市の東部環状線沿いの閑静な住宅街に2019年5月に開業した「やいた内科・内視鏡クリニック」。院長の八板弘樹先生は消化器内科を専門に、大学病院や地方の基幹病院に長年勤務してきた。九州の出身だが、勤務医として6年前に松山赤十字病院に派遣されて以来、「家族ですっかり松山が気に入ってしまいました」と笑う。明るくユーモアにあふれ、患者に対しては実直に向き合う八板先生。得意とする内視鏡検査はもちろん、便秘などの排便障害の治療にも力を入れている。「消化器内科を入り口に、生活習慣病など、よりトータルに患者さんと関わっていきたい」と語る八板先生に、開業の経緯や患者層などを聞いた。

(取材日2019年7月1日)

より一歩踏み込んだ全体的な診療を提供したい

まずは、これまでの経緯と松山でご開業された理由を教えてください。

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック1

僕は福岡県の出身で、熊本大学医学部を卒業後、九州大学医学部附属病院の第二内科に入局しました。同大病院から九州の各地の病院に派遣されて、2013年に松山赤十字病院へ。松山での生活が5年、6年と経過していくうちに、僕も家族もこの土地をすっかり気に入っていました。そして経験を積んで実力もある程度身につき、40歳を過ぎる頃に「新しいことに挑戦するならこのタイミングかな」という思いもありました。この地を選んだのは、松山が好きだということと、今まで診ていた患者さんを引き続き診ていきたいという気持ちがあったからです。また、尊敬している先生が松山で開業されていることから相談させていただき、よりこの土地に縁を感じたため開業しました。松山は居心地が良くて夫婦で気に入っています。皆さんお人柄が良く、町もコンパクトで自然も多いので住みやすいなと感じます。うちの子どもたちも温泉が好きで、よく家族で出かけています。

先生はなぜ消化器内科を専門に選んだのでしょうか?

尊敬する医局の先輩の影響ですね。医師としての専門を決めるときに、消化器内科でその先生と出会ったことが大きなターニングポイントになりました。先生は非常に魅力的な方で、自分から「消化器の研究室に入って、消化器のことを勉強したい」と感じたのです。内視鏡検査の腕も磨かせていただきました。先生にきっかけをいただき、内科として広く疾患を捉えながら興味を持って学び続けることができる消化器科を専門に選んだことは、本当に良かったと思っています。自分でも消化器に向いていると感じますね。

勤務医時代と比べて変化を感じる点は?

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック2

一つ取り上げるとすれば、勤務医時代はクリニックから病院へのご紹介で来られた患者さんの検査や治療をさせていただき、基本的にその後は紹介元のクリニックの先生のもとで診ていただいておりましたが、まずこの点は変わりましたね。例えば今は、検査をして異常がなかったとしても、患者さんが感じる不調や困っている症状自体をどう改善してあげられるか、という気持ちで診療し続けます。特に消化器の病気は、ストレスや日常のリズムの変化で体調を崩す方も多く、原因もさまざまです。ヒアリングも大切ですし、自分自身も知識を増やして幅を広げることの重要性を常に感じています。お薬だけ出して終わりにするのではなく、患者さんと同じ視点に立って日常生活で改善できる点はないか、患者さんにわかりやすく説明をして、より一歩踏み込んだ全体的な診療ができるよう心がけていますね。

技術と知識を求められる内視鏡検査に特化

消化器内科でも、先生が特に得意とされる分野を教えていただけますか?

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック3

やはり内視鏡検査については、研鑽を積んできたと思っています。内視鏡検査は技術的な面が大きく求められますが、一方で技術さえあればいいというものではありません。専門的な知識があることで、所見での見落としをより防げるのです。僕が在籍した九州大学の消化器研究室は伝統のあるところで、消化器病や内視鏡検査での所見を学術的に系統立て、専門的に勉強することができました。技術面でもたくさん経験を積ませていただけたという自負があります。そういった意味でも、内視鏡検査に特化しているので、頼っていただけるとうれしいですね。

クリニックの内視鏡検査では、ポリープの切除術も行いますか?

検査中は鎮静剤で眠っていますので、事前に問診で患者さんの意思を確認した上で、明らかにポリープの場合はその場で取ることも可能です。ただし、ポリープと大腸がんは見分けが難しいこともありますから、注意が必要です。がんの場合は取り残しがあってはいけませんし、内視鏡で取っていいものと、手術でなければ取ってはいけないものもあるのです。ポリープは基本的に良性なのですが、成長するとがんになる可能性が高くなるので、ご希望に沿って切除しています。ただし、ポリープができやすい方は、1回取れば安心というわけではありません。そういう方に対してはフォローアップが大切で、定期的に来ていただくよう案内しています。

日本では今、大腸がんが増えているそうですね。

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック4

はい。特に女性においては死亡率がもっとも高い疾患になっています。便秘と大腸がんに直接の因果関係はないのですが、大腸がんが便秘の原因であることがあります。また、大腸がんの症状として下痢を起こすこともありますし、がんではなくてもクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性の慢性疾患の場合もあります。大腸がんは30代や40代でも十分起こりえます。大腸がんも胃がんも、早期発見をすれば治る病気ですから、若いからと油断せずに、便秘や下痢などの排便障害がひどくなったり、便に血が混じったなどの異変を感じたら検査を受けていただきたいですね。

人によって病態が異なる便秘の治療にも注力

便秘の治療にも力を入れていらっしゃるそうですね。

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック5

便秘は病態が複雑で実は難しいんです。例えば若い女性では、ダイエットや忙しさから朝食を食べないことが原因だったり、ご高齢の女性では、生理的機能の低下や以前に受けた腹部手術が原因だったりします。一律に「便秘」という表現を使っていますが、そこに至る過程が人によって異なるのです。便秘の薬を出すのは簡単ですが、癖になってしまう薬もありますし、根本は解決されていません。一般的な治療方法は知っていましたが、開業して、改めて難しさを感じますね。年齢や生活スタイルが関係しますから問診も重要ですし、食事や運動など、患者さんによってアドバイスする内容も違ってきます。便秘に隠れている大きな病気もありますから、予防や早期発見にもつなげることができたらと思っています。

医師としてのやりがいを感じられるのはどのような時ですか?

検査や治療を通して、患者さんが喜ばれたり安心されたりする姿を見られた時が、本当にうれしいです。クリニックには何かしらの不安を持った方がいらっしゃいますが、そうした不安が見えたり、あるいは患者さんから悩みをお話ししてくださったりするたびに、僕が少しでも解決するぞと気合いが入ります。ありがたいことに、僕がお話しさせていただいたことを普段の生活に生かしてくださっていたり、うれしいお言葉をかけてくださったりすることもあります。そんなときは、本当に医者になって良かったなという気持ちになりますね。患者さん方とのお付き合いの中で、「患者さんがいらっしゃる限り、頑張るぞ」と明日への活力をいただいています。

今後の展望も含めて、読者にメッセージをお願いします。

八板弘樹院長 やいた内科・内視鏡クリニック6

当院の内視鏡検査は、鎮静剤を使って眠った状態で受けていただくことができますので、気になる症状があればお気軽に来ていただけたらと思います。また内視鏡検査という得意分野を生かせることもうれしいですが、内科の一般的な病気や、高血圧や生活習慣病といった患者さんと長く付き合う病気など、全体的な診療にも力を入れたいですね。病気は予防することが大切です。症状が出ても、早めに対応ができれば軽く済みます。あまり薬に頼りすぎず、食事など、基礎的なことから患者さんと関わっていきたいですね。病気になってしまったら、食事で「治す」のではなく「制限」になってしまいます。そうなる前に患者さんと関わり、ケアをしていくことが目標です。

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