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古家 美幸 院長の独自取材記事

ふるや糖尿病・甲状腺クリニック

(奈良市/大和西大寺駅)

最終更新日:2022/04/14

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック main

奈良市の交通の要衝である近鉄大和西大寺駅から南へ徒歩で約8分。同駅の整備事業に合わせた大規模な開発が進む住宅街の一角に「ふるや糖尿病・甲状腺クリニック」がある。同院を開設した古家美幸院長は、京阪神地域における基幹病院の一つである天理よろづ相談所病院内分泌内科に長らく勤務した経験をもとに、自分の思い描いた診療を実現するため2019年に開業。専門とする糖尿病および内分泌代謝科を中心に内科の診療を行っている。糖尿病の中でも若年層の患者が多いとされる1型糖尿病の治療に長年携わり、食事や運動の指導から心理面でのサポートまで、患者の生活に密着した診療を実践している。糖尿病を専門分野に選んだ経緯から今後の展望まで、古家院長にいろいろと話を聞いた。

(取材日2021年5月11日)

進路を決めた恩師との出会いと開業までの道程

まず糖尿病と内分泌疾患を専門分野に選んだ理由を教えてください。

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック1

大阪医科大学医学部を卒業して、当時、早期に総合診療方式による研修制度を行っていた天理よろづ相談所病院の総合診療部に入りました。そこでいろいろな科を回るうち、まず外科に関心を持ちました。2年の初期研修を終えた時点で、後期研修として外科の中でもどの科に進むかを決めきれなかったんです。それで最終的に外科に行くにしても、その前に内科の勉強をしておいたほうが良いだろうと思い、糖尿病内分泌内科で勉強をしようと考えました。そこで当時部長をしておられたのが、現・奈良県立医科大学医師・患者関係学講座の石井均先生でした。石井先生は糖尿病を持つ人の心理・社会的側面にアプローチする治療の重要性について説かれました。先生のもとで学ぶうちに糖尿病の奥深さを実感し、外科ではなく糖尿病を専門に選ぶことにしました。

天理よろづ相談所病院には長くお勤めされていますね。

研修医時代を含め、約22年間勤務しました。1つの病院にそれだけ長く勤めた医師は珍しいかもしれません。現代の医学の発展をもってしても、糖尿病はまだ治癒というところまで実現していません。患者さんは病気と一生付き合っていかなければなりません。そのため患者さんには心理的なサポートも必要で、医師は患者さんの長い人生にずっと寄り添っていくことになります。同じ病院に長年勤められたということは、それだけ同じ患者さんを長期間診させていただけたということであり、医師として非常に良い経験になりました。

この場所で開業したのはどのような経緯からですか?

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック2

最初は開業を考えていなかったんですが、大きな病院では、必ずしも自分で思ったとおりの診療ができるわけではありません。患者さんにとっても待ち時間は長くなる一方で、診療時間は短くなってしまいがちです。もう少し時間をかけてお話を聞き、自分で思ったような治療を実現するためには、自分のクリニックで診療したほうが良いのかもしれないと思うようになりました。そう考えるようになったのが、開業する4年前くらいですね。それから準備のため全国の糖尿病専門クリニックを見学に行きました。場所を選ぶのには2年くらいかかりましたね。県内のどこからでもアクセスしやすい場所が良いと考え、この場所を選びました。

患者の人生に寄り添う姿勢を大切に

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック3

糖尿病の95%以上は2型の糖尿病であり、やはり当院でも2型の糖尿病患者さんのほうが多いですが、前の病院で思春期・青年期の糖尿病患者さんを専門に診る外来を担当していたこともあり、普通のクリニックや病院に比べると1型の患者さんの割合が多いです。その中には、持続的にインスリンを注入できるインスリンポンプ療法を行っている患者さんもいらっしゃいます。糖尿病以外で比較的多いのは、バセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患の患者さんですね。そのほとんどは女性で、年齢層は幅広いです。甲状腺の病気にしても、耳鼻咽喉科と内科のどちらが良いのか迷われる方が多いですが、当院のように専門分野として掲げているとわかりやすいかなと思います。実際にインターネットで見つけていらっしゃる方も多いですね。甲状腺疾患も長期の治療になることが多いので、糖尿病と同じように患者さんの人生に寄り添っていく姿勢を大切にしています。

クリニックで特に力を入れている治療方法などはありますか?

当院では先進的な糖尿病治療としてインスリンポンプ治療や持続血糖測定モニターなどを取り扱っています。全国的には専門的なクリニックなどで導入しているところが増えてきましたが、県内では取り扱っていない医療施設も多いようです。インスリンポンプ療法もそうですが、今までは大きな病院に入院して導入する必要がありましたが、当院では1〜2時間程度使い方を指導することで、入院しなくても導入することができます。そのほか当院には患者さんの療養相談に対応できる看護師や管理栄養士が在籍しているので、診療の助けにもなりますし、患者さんとしても安心できるのではないかと思います。

これまでのキャリアにおいて影響を受けた出来事があればお聞かせください。

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック4

1つは石井先生との出会いですね。糖尿病の患者さんが食事や運動を自分でコントロールしていくためのモチベーションの持ち方や、行動変容のためのサポートの重要性など、先生から学んだことは自分がこの科を選ぶ大きなきっかけになりました。もう1つは、天理よろづ相談所病院で1型糖尿病の診療を率いていた山本先生が転勤されるにあたって、医師になってまだ3年目だった私に外来を引き継がせてくれたことですね。特に思春期の患者さんの場合は血糖コントロールが不安定になりやすく、いろいろと難しいことも多いんですが、そういった患者さんを診る外来を任せてくれたことは、大きな励みになりました。最近、遠方に転居された患者さんからお礼のお手紙をいただきました。彼女は高校生の時に1型糖尿病を発症し、それ以来10年間通院してくれていました。大学を卒業し、現在は薬剤師として働いています。そういったこともうれしいですね。

健康を保ち、毎日笑顔で楽しく暮らせるように

ご自身の健康のために実践されていることはありますか?

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック5

もう10年以上、週に1回テニススクールに通っています。基本的に運動は好きですね。去年は中止になってしまった奈良マラソンも、それまでは毎年10キロのコースに出場していました。さすがに奈良のコースでのフルマラソンはきついので(笑)。趣味は旅行です。現在は新型コロナウイルスの影響で行くことができなくなってしまいましたが、収束したらまた行きたいですね。

今後の展望を教えてください。

大きな病院での糖尿病の診療は現在、縮小傾向にあります。例えば糖尿病の患者さんが1〜2週間入院して食事や運動のことなどを学ぶ糖尿病教育入院というプログラムがあって、以前は糖尿病を専門とする病院ならどこでもやっていたんですが、最近では実施している病院は少なくなっています。そういったことをクリニックとしてカバーできたらいいなと考えています。例えば管理栄養士による食事のお話と患者さんと一緒に実際に作って食べる調理実習みたいなこともできたらいいですね。あとはすでに始めていたことですが、京都の先生方と合同で1型糖尿病の患者さんの交流会をつくりました。開業1年目の11月に1回目の会を開いたんですが、その後新型コロナ感染症の流行でできなくなってしまいました。SNSにもそういったグループはありますが、やはり対面で情報交換できたほうが良いこともあるので、コロナ禍が落ち着いたら再開したいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

古家美幸院長 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック6

コロナ禍によって私たちの生活のスタイルはすっかり変わってしまいましたが、できるだけストレスをためずに生活できる方法をそれぞれ工夫して、健康を保ち毎日笑顔で楽しく暮らせるようにしていきたいですね。何の病気でもそうですが、ストレスはよくありません。糖尿病だから新型コロナウイルス感染症にかかりやすいということはないのですが、血糖値が高い方が感染すると重症化しやすいということは言われています。おうちにこもりがちになると、運動不足で体重も増えやすく、血糖コントロールも難しくなってしまいます。新型コロナウイルス感染症にかからないように、そしてもし感染しても重症化しないように、健康的な生活を送れるようにサポートしていきたいと思います。

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