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石黒 謙一郎 院長、石黒 剛 先生の独自取材記事

いしぐろ在宅診療所

(豊田市/豊田市駅)

最終更新日:2020/04/01

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豊田市駅から車で5分。街の中心部にあるビルの3階に「いしぐろ在宅診療所」がある。2019年5月に院長の石黒謙一郎先生が開業した、看取りに重点を置く在宅医療を中心に行う診療所だ。診療は訪問中心で、かわいらしいうさぎのロゴマークが見守っている。卯年の石黒院長にかけて、患者の自宅に24時間素早くかけつけ、訴えをしっかりと聞きたいとの思いを込め、友人のデザイナーと何度も相談し、うさぎのロゴマークが誕生したという。地域の人には、うさぎのロゴマークといえば自宅に来てくれる医師と認知され、在宅医療が広く知られることをめざしている。「自宅で最期を迎える選択肢を提供したい」と話す石黒院長と、弟である石黒剛先生に話を聞いた。
(取材日2019年6月29日)

自宅で人生の最期を迎えるという選択肢

こちらのクリニックは在宅医療を中心に行う診療所とのことですが、特色を教えてください。

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【石黒院長】“24時間365日、自宅で診療を受けられる在宅医療”を掲げています。いつでも往診可能、看取りも行うクリニックです。年末年始の夜中でも自宅まで伺うことが可能ですよ。子育て中のお母さんは、夜中に赤ちゃんが泣いていたらミルクをあげたり、抱っこしたり、当たり前のように対応しますよね。それと同じように、いつ何時患者さんから連絡が来ても対応します。僕は現在32歳、副院長に就任する僕の弟は27歳です。この若いパワーで素早く対応し、患者さんのもとに駆けつけます。訪問可能エリアは当クリニックから直線で16km圏内が目安。豊田市、みよし市、日進市、岡崎市、知立市、安城市、豊明市などにお伺いすることが可能です。圏内から外れていたとしても、迷われた場合はぜひご相談ください。

開業の理由をお聞かせください。

【石黒院長】看取りに重点を置いた診療を行いたいという思いがあり、開業いたしました。僕自身、死ぬときがきたら、家で死にたい。そう思っているんですよ。最期を自宅で迎えたいと思われている方は多いと思うのですが、実際は100人いたら数名程度しか最期まで自宅で過ごすことができないのが現状です。大半の方が病院で亡くなっているというのが事実で、このままいくと僕も病院で最期を迎えることになるかもしれない。それは避けたい。じゃあ自分で今から環境を整え始めようと思ったのが開業のきっかけです。死亡診断書を書くことができるのは医師、歯科医師です。僕が伺うことで、自宅で最期を迎えるという選択肢が増えます。医療を受ける場所は病院だけではなく、自宅という選択肢があるんです。

在宅医療を受けられる対象となる方というのは、基準があるのでしょうか。

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【石黒院長】1人で通院することが困難であれば対象になります。自宅で療養中の方、入院中に自宅で一時療養したいと考えている方や、外来で現在かかっている先生との同時並行での訪問も可能です。例えば、入院中だけれど孫が遊びに来る夏休みの期間だけ自宅へ戻りたいということもできます。末期がんの緩和ケア、自宅での看取り希望、医療的ケア児も対象です。在宅医療に関心がある方はぜひご相談ください。具体的にどのようなことがしてもらえるのか、費用はどの程度かかるのか、などの不明点が多いと思います。当クリニックへ直接ご連絡いただいてもいいですし、豊田市の医師会が在宅医療サポートセンターの窓口を設けていますので、そちらにご相談されても大丈夫です。まずは話を聞いてみて、在宅医療を知ってもらいたいです。

医学的に正しいことが正解とは限らない

在宅医療での診療はどのようなことが可能でしょうか。

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【石黒院長】ほぼ、医療機関の外来と同じことができます。当院ではポータブルエコーを用いて、腹水や胸水を抜くこともあります。大きい機械を使うMRIやCTなどの検査はできませんが、その他は可能と思ってもらって大丈夫です。病院とほぼ変わらない診療が受けられるように設備を整えていますので、安心して診療を受けてもらえればと思います。また、ご連絡いただければ24時間いつでもすぐに駆けつけることができますので、何か心配なことがあったときにはいつでも頼れるという安心感も感じていただけると思います。緊急でかかりつけの病院へ行くべきか、明日でもいいのかといった、ご家族では判断に迷うときなどにもご連絡をいただきますよ。

先生が診療の際に心がけていることはどのようなことでしょうか。

【石黒院長】終末期に関わることが多いので、医学的に正しいことを押しつけすぎないように心がけています。患者さんやご家族と相談しながら、個々に治療方針を決めています。それと、患者さんの生活を邪魔しすぎないこと、家に医療を持ち込みすぎないこと。僕らは患者さんのご自宅に伺って、生活の一部に触れます。病院から来た白衣を着た医師という堅苦しい感じではなく、近所の兄ちゃんが診に来てくれたような感覚で気軽に、親近感を持って診療を受けてもらえたらと思っています。僕らは地元豊田市出身ですので、診療が終わった後は地域のお祭りの話などで盛り上がることもあります。患者さんとの距離を縮め、より近い立ち位置を意識することで、診療に生かすことができる話を聞けるので、世間話の時間も大切にしています。

在宅医療を受けられている方は多くいらっしゃるのでしょうか。

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【石黒院長】患者さんのご家族や知り合いが在宅医療を知っていれば、僕らへつながっていきますが、まだ在宅医療を知らない方が多い印象です。テレビでは聞いたことがあるけれど、実際どこに頼めばいいのか、自分が対象になるのかもわからない、という方が多いように感じています。例えば認知症や独居、老々介護で通院が困難など、在宅医療が介入することで生活が改善できるかもしれない方は多いですよ。僕は医師という立場で介入し、患者さんの家族背景や生活環境を考慮して地域とつなぎ、生活や精神面までも見守ります。お風呂に入れない、ごみが捨てられない、食事もおろそか、薬も飲み忘れてしまうなど、さまざまな方がいらっしゃいます。

変化を恐れず、柔軟に。より良い形の医療をめざす

院長先生の弟さんが副院長に就任されるご予定とのことですが。

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【石黒院長】当院を2019年5月に開業し、現在は非常勤の弟が10月頃から副院長として就任して医師2人体制となります。弟は現在「いしが在宅ケアクリニック」という、10年間訪問診療を行い看取りも多く行っているクリニックに勤務して研鑽を積んでいるので、看取りの経験は豊富ですね。
【剛先生】兄と一緒に在宅医療のクリニックを開業することは、ずっと考えていました。在宅医療はまだ決まった形がないので、兄の学んだ家庭医療・総合診療的な在宅医療と、僕が「いしが在宅ケアクリニック」で学んだ在宅ホスピスケア、これらを足し合わせたようなより良い形のクリニックを兄とともにめざしていきたいと思っています。

兄弟ならではの信頼関係があり、今後が楽しみですね。

【剛先生】兄には昔から負けたくないという気持ちがあって、今でも好き勝手言わせてもらっています。小さな喧嘩をしても、信頼関係があるから、最終的には頑張っていこうぜ、とまとまれる関係性がすごくありがたいですね。僕は兄の背中を追うわけではないけれど、未来の自分がそこにいるような感覚で、兄の経験値を共有しています。
【石黒院長】小さい頃はよく喧嘩していました。晩御飯のおかずも何度取り合ったことか(笑)。気がつけば仲良くなっていたという感じです。僕は長男で弟は三男。次男は医師ではないのですが、たまに事務的な手伝いに来てくれて、僕たち兄弟やスタッフとの間に入ってくれます。当院の雰囲気や人間関係を上手に取り持ってくれていて、ありがたいですね。

今後の目標をお聞かせください。

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【石黒院長】安心して人生の最期を自宅で迎えられる。豊田市がそんなところになっていけるように頑張っていきたいです。豊田市で実現できたら、次は日本各地、それから世界、アジアなどに。直接僕が行けなくても、現地で診療を行う医師にノウハウを伝え、誰もが自宅で最期を迎える選択肢を持てるようにしたいです。
【剛先生】新しいことに臆せず、何事にも挑戦すること、受け入れることを大事にしていきたいですね。時代をさかのぼれば在宅医療は当たり前のことだったのに、いつしかそれが新しいものという認識になっているように感じます。いつの時代も変化していきますから、時代に沿った医療や新たな選択肢を提供できる柔軟な組織でありたいと考えています。

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