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高木 友徳 院長の独自取材記事

ともこころのクリニック

(犬山市/犬山口駅)

最終更新日:2021/04/02

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名鉄犬山線の犬山口駅から歩いて5分ほどのところに「ともこころのクリニック」がある。グレーがかったモダンな建物の中へ一歩足を踏み入れると、天井が高く、解放感のある空間が広がっている。「気さくなお兄ちゃんがここで待っていますので(笑)」と優しくほほ笑みながらインタビューに応じてくれたのは院長の高木友徳先生。高木院長は臨床心理士としてさまざまな医療機関で活躍していたという異色の経歴の持ち主だ。精神科では薬や身体的なアプローチもとても大切であると気づき、患者に対して心理的な領域だけでなく多面的に関わりたいと考えるようになったことから医師を志したという。そんな高木院長が2019年5月に開業したばかりのクリニックについて、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2019年5月29日)

患者と社会をつなぐ受け皿が少ない状況を変えたい

こちらのクリニックの特徴はどのようなところですか。

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私がもともと臨床心理士だったこともあり、心理士に活躍してもらって、カウンセリングやデイケアを行っています。また、ピアと言って、精神的な病気から回復されて、ご自身の経験を踏まえて精神疾患の患者さんをサポートしている方々がいらっしゃるのですが、2人の方に開業当初から関わっていただいています。ピアの方は、「心理教育」という、病気とどのようにつき合っていくかを患者さんと一緒に考えるプログラムや、「元気回復行動プラン」などを担当されています。今までの発想にとらわれない、リカバリーに向けた“希望志向”のクリニックをつくる――という志のもと、専門家も一般の方も一緒になって取り組んでいるのが、当院のちょっと面白いところかもしれませんね。

この地域を選んだ理由や経緯を教えてください。

近くに、私が卒業した中学があるんです。高校から犬山市を離れ、岡山県や名古屋市などで働いていたのですが、名古屋市で勤めていた病院には犬山線沿線にお住まいの方も来院されていました。そのうちに、この地域が精神保健福祉に関して手薄だとわかってきたんです。患者さんが仕事への復帰を希望された場合、リハビリテーションや、仕事に就くためのサポートが必要になるのですが、犬山市には退院後にサポートするための社会資源がかなり少ないと感じていました。そんな中、犬山市の伝統行事で、かつての同級生たちと25年ぶりに再会し、みんな本当に良くしてくれて。それをきっかけに、地元の力になりたい、地元に貢献できるようなことをやりたい、と思いはじめました。

退院後にサポートするための社会資源とは通院先のことでしょうか?

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通院先というよりも、リハビリができるところが非常に少なかったんですね。患者さんと社会をつないでくれるような受け皿がないな、と切に思っていました。精神障害は、単に治療だけをしていればいい、というものではありません。治療とリハビリが車の両輪のようにうまく働いてこそ、患者さんが仕事や結婚といった人生の目標や希望に向かっていけるのだと思います。東京や大阪、名古屋といった大都市なら、患者さんが社会に復帰するためのサポート体制も比較的しっかりしていると思います。ところが、犬山市ではそうではない。この状況を、何とか変えたいんです。医療だけでなく街づくりにまで踏み込んで、患者さんが良い方向へ進めるように力添えができれば――という想いで、ここに開業しようと決めました。

専門家と一般の人々が“希望志向”で協働

治療方針について教えてください。

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何よりも、患者さんが持っている希望を大切にしたいですね。日本人の伝統的な考え方は“問題志向”なんです。問題点は何か、問題点をどのように改善するか、を常に考えてしまう。ところが、その考え方だけでは精神障害に向き合っていけません。問題点を解決するという視点は大事だけれども、どうしても何らかの問題点は残ってしまいますから。だから私は、“希望志向”でいたいです。患者さんの望みをできるだけ聞き出して、その方の良いところや強みを生かしながら、ご希望に近づくように援助できればいいなと思っています。薬に関しても、患者さんの希望をかなえるために必要であれば処方しますが、いずれは薬を卒業していただくことが前提です。服用しても眠くなりにくいもの、依存性のないものを選ぶように心がけています。

スタッフは何人いるのでしょうか。

常勤は看護師が2人、臨床心理士が2人、事務員が2人です。さらに、非常勤の看護師が2人、精神保健福祉士というソーシャルワーカーが1人、臨床心理士が2人います。ピアの方にも月に1、2回、来ていただいています。ほとんどのスタッフは私のもともとの知り合いです。私の考えに共感していただけそうな方へお声がけして、1本釣りで釣りあげました(笑)。面白い経歴の方が多いですよ。北海道浦河町に、精神障害を抱えた方の活動拠点があるのですが、そこで働いていた看護師にも来ていただけることになりました。浦賀町は地域全体で精神障害の方の自己実現をサポートしている街です。そのような体制をつくることが僕の目標の一つですね。

デイケアも行っているそうですね。

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はい。デイケアの場合、一般的には、曜日と時間が決まっていて、プログラムがあらかじめ用意されていることが多いのですが、当院のデイケアは基本的にオーダーメイドです。患者さん一人ひとりのニーズや、本当に必要とされていることをじっくりと伺って、その方に合わせて柔軟に組み立てたプログラムをご提案しています。それから、10代、特に思春期のお子さん向けの専門的なプログラムがあることも特徴ですね。多感な年頃だけにニーズは多いのですが、10代の受け入れはなかなか難しいんです。医療的な面だけではなくて、教育的なスタンスも必要になりますから。当院には専門的な勉強をしてきて、対応できる力量のあるスタッフがいますから、10代からのニーズにも積極的にお応えしていきたいと思っています。

精神障害の捉え方を文化として街に根づかせたい

開業から1ヵ月程ということですが、近隣の方の反応はどうですか。

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思っていた以上に、地元の方が来院されています。しかも、徒歩圏内にお住まいの方が多いです。患者さんが口々におっしゃるには、この建物が心療内科・精神科のクリニックだと知って、早く完成しないかと心待ちにしてくださっていたそうです。実際に、開業してすぐに、患者さんが次から次へといらっしゃいました。症状が比較的重くない方が多く、かつての精神科のイメージを思えば、ハードルがだいぶ低くなっているなと感じています。

今後の展望について教えてください。

当院は心療内科・精神科ですが、地域の人たちのいろいろなイベントや、健康教室のようなサークル活動をする会場としても使っていただけたらと思っています。地域との交流に力を入れていきたいですね。それから、地元の企業や小中学校などにこちらから出向いて行って、街の人たちの考え方を一緒につくっていく活動をしたいです。「精神障害を抱えていても、その人たちなりに働いて楽しい人生を送ることが普通なんだ」という考え方を、文化として根づかせたいですね。今、国が精神障害の方の雇用を推進する流れになってきていて、追い風が吹いています。市長さんや議員さん、企業にもご協力いただいて、街の人たちと一緒に考えることが、私の希望です。クリニックではなく、文化を発信する“基地”だというつもりでやっていきます。

読者へのメッセージをお願いします。

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心のエネルギーが低下している時に一人で考え込んでいると、ネガティブなほうへネガティブなほうへ向かってしまいます。同じような悩みを抱えている仲間が大勢いると知るだけでも、心がだいぶ楽になると思いますよ。閉塞した状況から先の展望を示すことが、私たちの仕事です。一人で抱え込んでいるよりも、勇気を出して訪ねていただけたらと思います。待合室でコーヒーを飲むだけでも構いませんし、ココアもおいしいですよ。デイケアを見学することもできます。デイケアは当院の患者さんだけでなく、他の医療機関に通われている方も受け入れていますので、お気軽にご相談ください。気さくなお兄ちゃんがここで待っていますので、一緒にこれから先のことを考えていきましょう。

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