全国のドクター9,287人の想いを取材
クリニック・病院 158,646件の情報を掲載(2024年4月19日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 犬山市
  4. 犬山口駅
  5. ともこころのクリニック
  6. 高木 友徳 院長

高木 友徳 院長の独自取材記事

ともこころのクリニック

(犬山市/犬山口駅)

最終更新日:2023/08/02

高木友徳院長 ともこころのクリニック main

名鉄犬山線・犬山口駅から徒歩5分の場所に、「ともこころのクリニック」はある。高木友徳院長が2019年に開業した同クリニックは心療内科・精神科を標榜し、臨床心理士や精神保健福祉士、作業療法士をはじめとするスタッフがチームを組んで患者の心に寄り添っている。デイケアや訪問看護にも熱心に取り組み、地域とも連携しながら多面的に患者のサポートを行う高木院長は、「病気だけではなく人を診る」ことをモットーに、患者の心の中で複雑に絡まった糸をほぐし、その後の生活も見据えた診療を提供している。穏やかな笑顔とやわらかい口調の中に、一本芯の通った想いを感じさせる高木院長に、診療方針や患者への向き合い方など、たっぷり話してもらった。

(取材日2023年7月12日)

地元の街を支えるクリニックをめざして開業

クリニックがある犬山市は、先生の地元だと伺いました。

高木友徳院長 ともこころのクリニック1

僕は高校から犬山市を離れて、名古屋市や豊田市などで働いていたのですが、名古屋市で勤めていた病院には犬山線沿線にお住まいの方も来院されていました。そのうちに、尾張北部地域が精神保健福祉に関して手薄だとわかってきたんです。患者さんが仕事への復帰を希望された場合、リハビリテーションや仕事に就くためのサポートが必要になりますが、この地域にはそうした社会資源が少ないと感じていました。そんな中、犬山市の伝統行事で、かつての同級生たちと25年ぶりに再会して、温かく迎え入れてもらったんです。その時に「この街を良い街にしたいし、もっとたくさんの人が受け入れられる街になったらいいな」「この街で生まれ育った人が、良い人生だったなと最期の瞬間に思えるような街にしたい」と思ったことで、開業に至りました。

開業から4年がたち、クリニックにもさまざまな変化があったそうですね。

ありがたいことに新規の患者さんが増えてきたため、もう一人常勤の医師をお迎えしました。現在は医師2人に加えて、看護師7人、臨床心理士8人、精神保健福祉士3人、作業療法士1人、事務員7人に加え、 ピアサポーターと言って、精神的な病気を乗り越え、ご自身の経験を踏まえて精神疾患の患者さんをサポートしている方にも来ていただいて診療を行っています。また、当クリニックと同じ犬山駅付近で長く診療されていた「くりきメンタルクリニック」の継承のご相談を受けて、地域の医療を支えるという意味でも受け継がせていただきたいと手を挙げました。そして、2023年4月に分院「Kこころのクリニック」を開業しました。当クリニックから分院に患者さんを紹介したり、分院の患者さんでもデイケアが必要な方は当クリニックに来ていただくなど、密に連携を取りながら、できるだけ多くの患者さんのニーズにお応えできるように、体制を整えています。

現在の患者層について教えてください。

高木友徳院長 ともこころのクリニック2

当クリニックは、下は10代から上は90代まで、幅広い世代の患者さんにお越しいただいています。犬山市にお住まいの方が中心ですが、中にはこの周辺だけでなく豊田市、名古屋市、三重の辺りから通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。学校に行けないというお悩みからうつ病をはじめとした気分障害、パニック障害のような不安障害、発達障害や統合失調症、認知症まで、患者さんのお悩みはさまざまです。

病気だけでなく人を診る、多面的なアプローチ

先生のモットーについて教えてください。

高木友徳院長 ともこころのクリニック3

問題点をどのように解決するのかという「問題志向」ではなく、患者さんが持っている希望を大切にする「希望志向」の診療を行うことを大切にしています。問題志向は日本人の伝統的な考え方ですし、問題点を解決するという視点は大事ですが、それだけでは精神障がいに向き合っていけないと僕は考えています。ですので、当クリニックでは、「病気だけを診るのではなく、人を診る」診療をめざしています。患者さんの問題点だけに焦点をあてるのではなく、患者さんが持っている強みをどうやって生かして希望に近づいていくのかという観点で、どこまでも粘り強く診療していくスタイルですね。

デイケアや訪問看護に力を入れているそうですね。

デイケアは、曜日と時間が決まっていて、プログラムがあらかじめ用意されていることが多いのですが、当クリニックのデイケアは患者さん一人ひとりのニーズや、本当に必要とされていることをじっくりと伺って、参加される方々に合わせて柔軟にプログラムを組み立てています。それから、思春期のお子さん向けの専門的なプログラムがあることも特徴ですね。この頃はピアサポーターのグループもできて、メンバーの方が主体的に企画しながらデイケアを運営しています。もともと訪問看護はしていたのですが、より多くの患者さんを受け入れるために訪問看護ステーションをつくりました。精神科は、病気だけではなく、患者さんを取り巻く環境を知ることがとても大切なんです。診察に来ていただくだけではわからない部分を、実際に生活されている環境で伺いながら、総合的にアプローチしたいと考えています。

臨床心理士から医師に転向されたというキャリアを生かせていると感じる点はありますか?

高木友徳院長 ともこころのクリニック4

僕は臨床心理士から医師に転向したことで、患者さんに対する視点の持ち方が多面的になったと感じています。僕はクリニックのほかに、企業にメンタルヘルスのコンサルティングをする会社や、病気や障がいをお持ちの方と一緒にチョコレート屋さんをする会社を運営しているのですが、これらも医師になったからできたことですね。僕は、当クリニックのことを情報発信基地だと思っていて、この場所から外へどんどん発信していって、いろいろな事情を持つ人がさまざまな生き方をすることに寛容な街になってほしいと考えています。精神障がいをお持ちの方が当事者側だけで頑張るのではなく、街の中で生きやすい道を探していくために、企業や学校など受け入れ側の支援にも取り組んでいるんですよ。行政と連携した引きこもり支援もしていますし、今後は企業を対象にした人材活用のセミナーなども行っていきたいと思っています。

めざすのは、どんな人も生きていきやすい街

患者さんと接する時に心がけていることは何でしょう?

高木友徳院長 ともこころのクリニック5

患者さんのお話を伺うことがとても大切ですので、僕が勝手に「この話は関係ないな」「この人はこんな感じなんだな」と決めつけることはせず、一人ひとりの患者さんのお話や所作を丁寧に受け止めていくことを心がけています。これは毎朝自分に言い聞かせているくらい、自分の中で基本となっている姿勢ですね。また、僕やスタッフが発する言葉は、格好良い言い方をすると、プロの言葉でないといけないと思うんです。ですから、患者さんがどう受け取られるのかというところまで想定した上で、話すようにしています。患者さんの心に響く一言は、何げなくふっと出てしまったものであることも多いのですが(笑)、そうした言葉も日頃から一生懸命考えているから出るものだと思いますので、これからも気を配っていきたいですね。

今後の展望について教えてください。

やはり、デイケアをより良くしていきたいという思いは強いですね。また、思春期の方向けのプログラムも改良していきたいと考えています。あとは、クリニックの外との関わりを深めていくことをめざしています。地域との接点を増やしていきながら、当クリニックだけでなく、街全体でさまざまな生き方をする人を支えられる社会にしていきたいんです。そのために、音楽イベントを企画したり地域の会社に声をかけたりと、日々精力的に活動しています。どんな人にとっても生きやすい街になるよう、最後まで諦めないぞという熱い思いを持って、ポジティブに働きかけ続けていきたいと考えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高木友徳院長 ともこころのクリニック6

人の心はいろいろな感情の糸があって、こんがらがってしまうあまり、どうしたらいいのかわからなくなることがあります。絶望したと感じる時には、どこかにある希望さえも、一人では見えないこともあるんです。ですから、こんがらがった糸でがんじがらめになる前に、お気軽にご相談ください。自分ではよくわからなかったり、うまく言い表せなかったりする気持ちに親身に向き合い、一緒に希望を探していきます。最初は待合室でコーヒーを飲むだけでも構いませんし、デイケアを見学することもできます。一緒に絡まった糸を解いて、自分らしく生きていく道を見つけていきましょう。

Access