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水野 聡己 院長の独自取材記事

本山ホームケアクリニック

(名古屋市千種区/本山駅)

最終更新日:2019/08/28

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「本山ホームケアクリニック」は、自宅や高齢者施設への訪問診療を主に行うクリニックだ。昨今の国の方針を受けて、在宅医療の充実が求められる中で、地域の高齢者や終末期医療を担う存在になるべく開業した。話す相手の目をじっとのぞき込み、ゆっくり言葉を選びながら語る水野聡己院長。物腰やわらかで温かみのある話ぶりに、思わず引き込まれる。終末期にある患者や家族も、水野院長の言葉に心癒されることだろう。水野院長には、緩和ケア病棟(ホスピス)での長年の経験を生かした在宅医療の方向性や地域での貢献について、そして、めざすビジョンについて語ってもらった。
(取材日2019年5月10日)

地域の中で、在宅医療を支える核となりたい

こちらのクリニックは、訪問診療を中心に行っていますね。

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患者さんのご自宅や高齢者施設の利用者さんへの訪問診療を行っています。現在、がんや認知症、心不全や肝硬変などで、ご自宅で療養生活を送る方は少なくありません。通院に支障があったり、病院が苦手だったりする方もいらっしゃいます。そういった方々がご自宅で診療を受けていただけるようにしています。ご自宅では、家に医者が来ることで自分の病気をご近所に知られたくないという方もいらっしゃるので、診療の際にはあえて白衣を脱いで訪問車から降りることもあります。一方で施設などでは、自分の役割をわかりやすくするために白衣を着用します。認知症の方などは、白衣を着たほうが不審がらず治療を受け入れてくれることが多いんですよ。訪問診療だからこそ、より相手の立場や状況に気を配るようにしています。

地域の中で在宅医療を支える存在をめざして開業されたのですね。

私はもともとこのエリアの出身で、現在も近くに住んでいます。学んだ大学が名古屋大学と近かったですし、子どものPTA活動に参加するなど、地域の一員としての活動にも積極的に参加をしてきました。高校生の頃、「医療の届かない世界の僻地で働くこと」に憧れて医師をめざした私ですが、形は違えど、初心に戻って人助けの精神で地域の役に立てるのだとしたら、これ以上の喜びはありません。看護師さんや介護士さん、ケアマネジャーさんたちと連携しながら進めており、まだ開業したばかりですが、既に患者さんのご家族からご相談いただいたり、お会いしたことのなかったケアマネジャーさんからお声がけいただいたり、地域での役割が増えてたいへんうれしく思っています。

どんな疾患を持った患者さんが多いのですか?

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近年「心不全パンデミック」といわれるほど心不全の方が増えてきています。心不全などで自宅療養を続けていらっしゃる方には、水分や塩分の管理を行い、そのために体重を細かく確認していきます。病院であればエックス線などで胸部を確認できますが、家庭ではできないので生活の管理に細心の注意をはらいますね。認知症の患者さんも非常に多いです。在宅での医療を望まれる方には、症状が進行した方も少なくないですし、患者さんの扱いについてはご家族のほうが詳しい場合もあり、私のほうが勉強させてもらうこともあります。知覚・感情・言語による包括的なケアを重視し、患者さんを包み込むような優しい接し方を心がけています。私の専門である末期に近いがんの方のケアから学んだことを生かして、他の疾患の患者さんの診察にもあたっています。

ホスピスで学んだ、専門的な緩和ケア

勤務医時代は、ホスピスで緩和ケアをご専門とされていたと伺いました。

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研修医となって初めて勤務したのが聖隷三方原病院というところで、ここは国内で早い時期からホスピスに取り組んできた病院です。私が研修を始めた頃は、まだ抗がん剤も副作用が強い傾向があり、一般病棟に入院して苦しい抗がん剤に耐える以外の選択肢として、ホスピスがありました。症状緩和だけでなく看取りまでを射程に入れており、得難い貴重な経験を積めたと感じています。ホスピスにおける緩和ケアでは、ときに外から見ると“何もしていない”ような場面もあるんですよ。体力が落ちてくると食欲もなくなり、体内の水分も正常に代謝できなくなります。食事がとれないからといってたくさん点滴を行うと、むくみが出たり、肺に水がたまったりして患者さんは苦しくなってしまうのです。かえって点滴を減らしたり、点滴をしないことで楽に過ごせることも多いんです。

ホスピスでの経験から在宅医療へ目を向けられたのですか。

最近では国の方針で、できる限り在宅で治療する方向へ進んでいます。ホスピスなどで緩和ケアを行っていた時にも、人は最後は自分の住居に戻りたいと願うものだと、多くの患者さんから思い知らされました。住み慣れた場所で、安らかに過ごすこと以上に良いことはないと思います。実際にホスピスなどを出て自宅に戻られた患者さんの、生き生きとした写真を拝見することもありました。しかし、現実問題として末期の患者さんを抱えたご家族の負担は大きくなります。こうしたご家族の負担・不安を軽減しながら、あるべき終末期医療をめざすには在宅での医療が最適だと感じたんです。

そうした想いから、訪問診療をメインに据えて開業されたんですね。

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自宅や地域で慣れ親しんだ人やものに囲まれて過ごすことができれば、気持ちの安らぎから痛みの軽減にもつながり、その人らしく人生を全うできると思います。家で末期の家族を見守ることに不安を感じていらっしゃれば、クリニックまでご連絡いただいても良いですし、病院やケアマネジャーさんなどを通してのご相談もお待ちしております。ご本人・ご家族の心に寄り添って専門的なケアを提供したいと考えていますし、単なるご相談でも良いんですよ。人は話をすることだけでも心が軽くなるものでしょうし、話しているうちに自分で解決策を見つけられることもあると思います。そんなふうに、私が一方的にアドバイスするのではなく、対話によって今後の道を進んでいく後押しができたらと思っています。

患者が自分の思うとおりに生きられるよう、サポートを

お仕事以外ではどんなことがお好きですか。

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自転車です。大学ではサイクリングサークルに所属していました。学生時代はテントをもって、北海道を回ったりしたこともありました。今はロードバイクでのツーリングを楽しんでいます。最近では瑞浪から恵那の辺りを走って、学生時代のサークル仲間とリフレッシュしてきました。

医師としてのモットーを教えてください。

「きちんと診断して、きちんと苦しみを取り除く」ということです。当たり前のことですが、それが一番難しいと感じます。患者さんの苦しみは人それぞれなので、それを取り除くためには、教科書的なアプローチだけでは不十分です。こうしたことを考え、慎重に適切に一番良い方法を選ぶだけでも、本当に難しいことなんです。だからこそ、一つ一つ疎かにせず、きちんと積み上げていくしかないと思います。特に末期の患者さんや認知症の方といった、完全に治ることがない病状の場合、どんな治療が適切でどんなケアが最善なのか、患者さん、ご家族、更にはその方に関わるさまざまな職種の人と考えていきたいと思います。そうしていく中で、患者さんやご家族にとって“希望の持てる医師”になれたら良いなと思っています。

今後はどんなふうに診療を進めていきたいですか。

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私の仕事の8割は、話を聞くことだと考えています。患者さんやご家族が、お話をされる中で何か気がついたり、腑に落ちることって多いと思うんです。ご施設に入居中の方であれば、そこで働かれるスタッフさんからのお話にもとても大切な情報が眠っていることもあります。そうすることで、一緒に考えながら納得できる医療をつくっていきたいですね。アドバイスやこちらからの働きかけだけではなく、患者さん自身で人生を考え選んでいく実感を持っていただけるように気を配っています。患者さんご本人にとって1番いいかたちで、納得して最期を迎えられるよう、ご家族も含め出来る限りのサポートをしていきたいと思います。

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