自宅で適切な医療が受けられる
患者と家族の生活を支える訪問診療
さつきクリニック
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2025/02/12


- 保険診療
通院が困難な患者に対して、医師と看護師が自宅や施設まで訪問し、診療や健康管理を行う訪問診療。少子高齢化社会を迎え、入院治療ではなく住み慣れた自宅で療養したいと考える人が増えている中で、訪問診療に対するニーズが高まっている。「さつきクリニック」は、訪問診療を専門とするクリニックを関西に5軒展開する「医療法人光輪会」の法人グループの1医院。福山貴之院長は高槻市を拠点に、さまざまな疾患を抱える患者の訪問診療にあたっており、中には110歳の高齢の人もいるという。実際にどのような流れで診療が行われ、どんな医療サービスが受けられるのか、また緊急時の対応やサポート体制について詳しく聞かせてもらった。
(取材日2019年4月16日/更新日2025年2月3日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qこちらで行っている訪問診療の内容について教えてください。
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A
訪問診療は、通院が困難な方や自宅や施設での療養を望む方が継続的に受けられる医療で、高齢化に伴い利用される方は年々増えています。対応できる疾患は幅広く、現在、私が担当している患者さんですと、認知症をはじめ、重症筋無力症などの特定疾患、気管切開をされている方、胃ろうカテーテルの定期的な交換が必要な方など多岐にわたります。病院でしか扱えない治療以外はほぼ対応が可能で、検査項目も病室で受診する場合とほとんど変わりません。近年はポータブル検査機器の性能が向上し、検査精度も高くなってきていると感じます。訪問エリアは、高槻市内を中心に、枚方市、茨木市などで、看護師と協力しながら幅広く回っています。
- Qより良い医療の提供のために、工夫されていることはありますか?
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A
夜中に病状が急変した場合に備え、常勤看護師による365日24時間体制のコールセンターを設置し、医師や看護師がいつでも対応できる体制を整えています。病院と比べると多少のタイムラグはあるかもしれませんが、光輪会グループには計10人の医師が在籍しており、主治医が対応できない場合、ほかの医師が早急に対応できる点がグループ院の強みです。こうしたチームプレーは医師同士だけでなく、ケアマネジャーや訪問看護ステーションの看護師とも連携を密にしています。患者さんの治療計画だけでなく、普段の様子やご家族の意見などもスタッフ同士がしっかり共有し、チーム一丸となって医療を含めた生活全般のサポートをめざしています。
- Q患者さんやご家族と接するときに心がけていることは何ですか?
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A
訪問診療を受けられる患者さんは寝たきりの方も多いため、どのような医療を望まれているか、どんなふうに自宅で過ごしたいと考えておられるかなどご家族の方に伺い、できるだけ希望に沿えるかたちで柔軟に対応するようにしています。またご家族の方にとって何よりの心配事は、末期がんなどに伴う苦痛です。身体的・精神的な痛みをどのように取り除き、いかに静かに過ごしていくかをご家族と話し合い、納得のいく緩和ケアを重視しています。当グループの基本理念は、最期まで安心して過ごせるように、責任を持って寄り添う医療を提供することです。ご希望や不安なことがあれば、何でも遠慮なくご相談ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1訪問診療の依頼
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訪問診療に関する問い合わせは、電話もしくはファックスで「医療法人光輪会」関西・地域連携室本部に連絡する。訪問診療を開始するにあたり、診療の流れや費用について説明があり、初回の訪問日を決める。家族からの申し込みがあった後は、スムーズに訪問診療をスタートするため、これまで治療をしていた医療機関と連絡を取り合い、患者の病状や治療歴について情報共有を行う。
- 2初回の訪問診療
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約束した日時に、医師と看護師が患者宅を訪問する。事前に打ち合わせを行うこともあるが、最初の訪問が初の顔合わせとなり、打ち合わせを兼ねた初回診察になることが多いという。初対面の医師が家庭に入ってくることに、不安や不信感を抱かせないようにするため、訪問する際は言葉遣いや接し方に気をつけ、まずは患者に受け入れてもらえることを心がけているという。
- 3家族にヒアリングを行い、治療方針を決める
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診療を始める前に、患者の病状や病気について家族がどのように把握しているかヒアリングを行う。末期がんのケアの場合は苦痛を感じないようにしてほしいといった希望や、病状が差し迫っていない場合であれば、自宅でどのように過ごしたいかを確認して、今後の治療方針を立てていく。「在宅医療の主役は、患者さんでありご家族です。ご希望があれば遠慮なく伝えてください」と福山院長。
- 4診察を行う
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問診、視診、触診によって健康状態をチェックし、必要な検査を行う。認知症が進行した患者に対しては、意思疎通の程度も確認する。訪問診療にかかる時間は治療や検査の内容によって異なり、15分から1時間以内が目安。通常は月に2回の訪問となるが、病状や介護サービスとの兼ね合いを考慮しながら、訪問回数は個別に決める。
- 5診察後の報告。スタッフ間での情報共有を実施
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診察後は、体調の変化などを患者に共有・報告。また、生活に則したきめ細かな医療を提供するため、スタッフ同士の情報交換の場としてカンファレンスを実施。患者一人ひとりの健康状態や治療計画を共有するだけでなく、夜間や緊急時の電話対応を輪番制で行う看護師や事務スタッフからの報告も参考にしながら、今後予想される医療の準備にも役立てている。