全国のドクター9,329人の想いを取材
クリニック・病院 161,133件の情報を掲載(2020年11月01日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 高槻市
  4. 高槻市駅
  5. 医療法人光輪会 さつきクリニック
  6. 福山 貴之 院長、秋田 千栄 さん

福山 貴之 院長、秋田 千栄 さんの独自取材記事

さつきクリニック

(高槻市/高槻市駅)

最終更新日:2020/04/01

190901

高槻市に拠点を置く訪問診療専門の「さつきクリニック」は、関西に5軒、関東に1軒の訪問診療クリニックを持つ医療法人光輪会のグループ院として開業。高槻市・茨木市・枚方市の一部のエリアを対象に、患者のニーズに沿ったきめ細かな医療を提供している。院長の福山貴之先生と看護師の秋田千栄氏に、実際の訪問診療の様子や、医師、看護師としてのやりがいなどを聞いた。
(取材日2019年3月12日)

人生の先輩を敬う気持ちで、患者と接する

先生の前職と、なぜ在宅診療に携わるようになったのかを教えてください。

%ef%bc%91

【福山院長】以前は宝塚にある、病院に付属するクリニックの所長をしていました。そこは一般内科で入院と外来診療をしながら、一部で在宅の往診も行っていたんです。当時は僕の背景に病院があることもあり、在宅で看取られるよりも病院で亡くなることを選ぶ方が多くいました。しかし今は、時の流れとともに人々の考え方も変わり、自宅で最期を過ごしたいという方が増えてきています。僕としても、自分の医師としての残りの時間を在宅診療中心に費やしたい、自分の立ち位置をはっきりと在宅医療に置きたい、という思いがありました。そうしないと、患者さんの気持ちに寄り添えないんじゃないかと矛盾を感じるようになったので、病院勤務に区切りをつけたのです。

医療の仕事をめざされたきっかけを教えてください。

【秋田さん】私はもともと会社勤めで事務職をしていたんですが、自分のやりたいことを探して医療事務を始めました。その時に勤め先の先生が「看護師に向いてるから、やってみたら?」と言われて看護学校に行ったんです。人より遅れてのスタートだったので、最初は想像以上に大変でしたね。看護師になった当初は病棟にいたので、「ありがとう」と言って笑顔で退院していく人の顔を見て、この仕事っていいなと思いました。

訪問診療には、どのような思いで日々取り組んでおられますか?

%ef%bc%92

【福山院長】患者さんはどなたも、僕より目上の方々です。病気のことはお伝えしますが、僕としては人生の先輩である患者さんから、生きることを学ばせていただく気持ちでお宅に伺っています。接する時間が病院での診療と違って長いので、その方がお仕事で苦労されてきたことなど、過ごされてきた人生について聞かせていただくことがよくあります。そこで人生のコツを教えていただけるので、人間として豊かになれますね。
【秋田さん】当法人の考え方の一つに、第二次大戦を乗り越えてきたご年配の方を敬って、長い間生きてこられた大先輩を尊敬するというものがあるんです。その気持ちを自分の中で大切に持って、患者さんに接するようにしています。皆さん、私たちが経験していないことを経験されています。戦時中は大変だったでしょうが、若かった頃の話をすると、どなたも表情が豊かになるのが印象的なんです。

在宅診療の必要性が高まる、これからの社会を見据えて

こちらのクリニックが所属する医療法人について教えてください。

%ef%bc%93

【福山院長】先ほど秋田が申しましたように、光輪会は戦時中に大変な思いをしてきた世代の人々に恩返しをしたいとの思いで2014年に医療法人を設立しました。在宅医療支援診療所で、対象となる患者さんの中心層は75歳以上の後期高齢者。現在は関西に5軒、関東に1軒のクリニックがあり、関西には医師12人、関東には医師2人が在籍しています。医師同士が連絡を取り合って、主治医が対応できない場合でもほかの医師がバックアップする、チーム医療体制を整えています。また、24時間体制で電話を受けつけ、急な容体の変化にも医師や看護師が迅速に対応しています。

高齢化が進む中、在宅医療の必要性をどのように考えていますか?

【福山院長】必要性は当然高まると思います。その上で、在宅でどこまでの医療が提供できるかが大事なポイントとなるでしょう。大きな病院からの情報や技術、それにクリニックからも情報を提供していただきながら、われわれがどれだけの医療を在宅で提供できるか。現在は機械がポータブル化し、クラウドシステムでカルテの管理が可能になるなど、さまざまな技術進歩のおかげで在宅診療でできることの幅が広がっています。それらを活用できる知識を僕たち医師がしっかりと持って、患者さんに医療を提供することが大事になるでしょうね。

在宅医療に携わって、ご自身に変化はありましたか?

20190322 %ef%bc%94

【福山院長】病院では、病気を診てそれが良くなれば退院となります。患者さんの生活やその背景にあるものには、うっすらとしか関与できないんです。しかし在宅では、患者さんだけでなく、ご家族や生活背景にも関わりますので、以前とは診療スタイルがずいぶんと変わってきましたね。病気の説明についても、どうやったら患者さんにスムーズに理解していただけるか、以前より神経を使うようになりました。
【秋田さん】病棟で診ている時は、知らないうちにどこか上から目線になっていた気がします。在宅診療に携わるうちに、看護師としての目線が下がってきて患者さんと同じになっていると感じますね。病棟にいた頃は常に日々の業務に追われていて、患者さんの気持ちや精神的なことを考えるのは二の次になることもありましたが、今は患者さんの気持ちをしっかりくみ取ることを大事にしています。

在宅診療の主人公は患者。一人ひとりを尊重しケアする

在宅診療では、どのようなことにやりがいを感じますか?

%ef%bc%95

【福山院長】以前は画像とデータを追っていただけの臨床でした。ですが今は、より患者さんとコミュニケーションを取って、病院よりも近い距離で寄り添える。ご家族も含めて、医療だけではなく人間的な部分でも関われます。「病気ではなく人を診る」の本質が、より身にしみて理解できるんです。ご家族以外に医療従事者にもいろんな考えの人がいます。それを教えていただけるので学ぶところは多く、医師としての考え方もずいぶんと変わりました。
【秋田さん】患者さんは病院から退院してご自宅に戻られるケースが多く「帰ってきて良かった」という声が聞けた時に、この仕事をやっていて良かったと思います。以前は病棟で働いていて、その頃は患者さんの病状が良くなって当たり前くらいに思っていました。ですが在宅は患者さんとの距離がすごく近いので、状態が変化していくのを間近で見ていると、自分のことのようにうれしくなります。

患者宅を訪問する際、どんなことに注意していますか?

【福山院長】患者さんやご家族に自分の意見を押しつけず、お話を聞くことですね。受け入れていただくまでに、時間がかかることもあります。病院では医療側が主人公かもしれませんが、在宅では患者さんです。そこを絶対的なものとして尊重しています。
【秋田さん】患者さんご本人のお宅にお邪魔するわけですから、なるべく緊張させず、患者さんやご家族の自尊心を傷つけないよう注意しています。患者さんご自身が、最初は訪問診療を拒否されることもあります。でもご家族は訪問診療で診てもらわないと、お薬も出ないので困る。看護師としては、そのどちらの心情もわかるんです。心を開いていただくまでに時間がかかっても、そこは根気強くやっていくしかない。そのことを常に思いながらやっています。

在宅医療に求められるもの、必要なものとは?

%ef%bc%96

【福山院長】自分が持っている医療レベルを維持しながら、在宅医療を提供していく上で、いかに患者さんのニーズに合わせていけるか。もっともっと患者さんの気持ちをくみ取っていくために、僕も自分の柔軟性や吸収力を高めていきたいと思います。そうした視野の広さもそうですし、もちろん医療の知識もないといけない。その両方が要求されますが、在宅診療を行う医師としてはそれに応えるべきだと思っています。
【秋田さん】患者さんの状況や、何が問題なのかを把握する「看護診断」の重要性は、年々高まっているように感じます。それは看護師にとって大変なことですが、新しいことを吸収するために常に勉強していかないといけません。精神的に患者さんを支えていく仕事なので、お話の仕方も大事。今後も人の気持ちに寄り添うことを一番に考えていきたいです。

Access