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深尾 理 院長の独自取材記事

宮崎中央ふかお透析内科クリニック

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2022/01/19

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック main

「宮崎中央ふかお透析内科クリニック」は、宮崎市内の中心地の県病院近くにある透析に特化したクリニック。泌尿器科を専門とする院長の深尾理先生が尊敬する先輩医師に勧められて2018年に開業した。週3日、1日4時間かかる透析治療だが、スタッフとともに笑顔で患者を迎え、患者の負担を減らせるように、送迎を行ったり、コミュニケーションに工夫をしているという。今回は、同院で行っている「オーダーメイド透析」のこと、同院での治療において心がけていること、新しい技術の導入など今後の展開などについて話をたっぷりと聞いた。

(取材日2021年12月2日)

透析に特化したクリニック

先生の専門は泌尿器科だそうですね。

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック1

もともとは、父が医師になりたかったそうですが、さまざまな理由からなれなかったそうです。兄と私はそんな父から影響を受け、兄弟2人とも医師になりました。私は大学卒業後、大学病院の泌尿器科に入局しました。なぜ泌尿器科を選んだのかというと、自然と興味がもてた分野だったのですが、研修医としていろいろな科で経験を積んでいるときに、現在の大工町すぎえ腎泌尿器科・内科の杉江悟先生が泌尿器科に先輩としていらして、周りの方もすごく楽しそうに働かれていたのが印象に残りました。医局の人数はそれほど多くなかったのですが、みんなで協力している姿を見て、私もその一員になりたいと思ったからです。泌尿器分野はなかなか人に話しにくい部位ですが、患者さんには少しでも言いやすく感じてもらえるような存在の医師になりたいと思ったのを覚えています。

開業にあたり、この場所を選んだ理由やクリニックの特徴を教えてください。

先輩の杉江先生が開業する話を聞き、「同じビルの上の階が空いているから、どう?」と話をいただいたのがきっかけです。いつか一緒に働きたいねという話は以前からしていましたし、この場所はアクセスも良い場所で、近くに大きな病院もあって連携がしやすいこともあり、気に入り開業しました。当院は透析に特化したクリニックです。現在、手術などは他の病院で行っています。2018年に開業してあっという間に3年がたちましたね。透析は体に負担のかかる治療ですが、負担を少しでも軽減して、患者さんが笑顔になれるように心がけています。

患者さんの負担を軽減するために、どのようなことをされていますか?

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック2

多くの患者さんにご利用いただいているのが無料送迎ですね。当院は宮崎の中心地にあるため、どの地域の方も受け入れやすい立地だと思います。透析は週に3回の通院が必要であり、車の運転が困難な方はもちろん、治療後に体調が優れない方などにも利用していただいています。また、患者さんは1回の透析で約4時間を当院で過ごしていますが、同じ時間でも長く感じる場合と、短く感じる場合があると思うので、患者さん一人ひとりが良い時間の使い方ができるようにコミュニケーションをとり、患者さんがどうしたいのかを探ります。例えば、お話をしたい方もいれば、静かにテレビを見ていたい方もいらっしゃいます。その方の希望を伺って、できるだけ希望に沿うような形で透析をしていただけるように対応しています。透析中に何かあったときにはすぐに呼んでもらい、些細なことでも何でも言ってもらえるようにしています。

患者一人ひとりに合った透析を行っていくために

透析について教えてください。

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック3

透析は腎代替療法で、腎臓が何らかの原因で機能しなくなった際に血液中の老廃物を除去したり水分や電解質を調節したりします。当院では「オーダーメイド透析」として一人ひとりに合わせて透析のスケジュールや内容を組んでいきます。体格や体重の増えた量などから体内の水分量を測り、その時に適した条件になるようにしています。当院の血液透析は基本の血液透析と、オンラインHDF(血液透析ろ過)、I-HDF(間歇補充型血液透析ろ過)の3つです。当院で主に行っているオンラインHDFは従来の血液透析に血液ろ過を合わせた方法です。ろ過を多くかけることで、普通の透析では取りにくいような物質も取り除くことができ、また透析中の血圧が安定しやすいという特徴があります。I-HDFのIは「間歇」という意味で30分に1回ごとに透析液を加えていく方法で、透析治療で血圧が下がったり疲れがひどく出てしまう方には適している方法とされています。

透析治療で、気をつけていることはありますか?

透析をする際には、透析前と後の体の水分量のコントロールが重要になります。患者さんは尿をあまり排出できない状態のため透析前は体の中に多くの水分がたまっています。透析でこの余分な水分を抜いていくのですが、余分な水分量がどれくらいであるのか適切に把握することが重要です。これを確認するための指標の一つが、心臓の超音波検査で、心臓に負担をかけるような水分がないか、血管の中に水分が余分に残っていないかを確認します。一般的には血液検査やエックス線、血圧などで水分量の目安を図ることが多く、心臓を超音波で確認する頻度は年に一度などが多いようです。当院では、超音波技師に定期的に来てもらい心臓の超音波検査の頻度を高くして、多い人で1ヵ月に1回程度行っています。このことで、できるだけ患者さんの体の負荷を軽減させたいと思っています。なお、透析中の日替わり弁当の提供も行っています。

他にも透析の患者さんのために行っていることはありますか?

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック4

透析液に含まれる酢酸に対してアレルギーがある人もいるので、無酢酸透析にも対応しています。また、何かあった場合は、宮崎県立宮崎病院や古賀総合病院、宮崎江南病院、宮崎大学医学部附属病院などに受け入れをお願いしています。それからお仕事をされている方などが来院しやすいように、18時まで来院の受付をしてから始める夜間透析も行っています。設備面では現在、23のベッドと2つの個室があり、多くの患者さんを受け入れています。多用途透析用監視装置がすべてのベッドサイドに設置されており、透析を受けている患者さんのデータをリアルタイムで複数のパソコンから見ることができます。

すべての人が笑顔になるような透析治療を

透析治療は、さまざまに進歩しているのですね。

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック5

以前は、透析治療を始めるということは、余命が10年といわれる場合もありましたが、現在は違います。技術も進歩し、治療方法も患者さん一人ひとりに合わせられるようになり、寿命も延びてきています。病気になっていない方と変わらないくらい長寿で人生を全うされる方もいらっしゃいます。まだ社会には以前の透析のイメージが強く残っていると思うのですが、今後はそのイメージを変えられるように情報発信をしていきたいと思っています。

今後、やりたいことはありますか?

透析治療を長く続ける中で必要になることがあるシャントの手術を、現在は他の病院で行っていますが、将来は当院でも行えるようにしたいと考えています。実は、福岡県にあるクリニックのシャント手術がとても良かったという話を、出張で臨時的に当院にいらした透析患者さんから聞きました。その病院の副院長先生に連絡を取り、コロナ禍だったのでオンライン会議のツールを利用して手術の様子を見学させていただきました。シャントの手術は一般的にすごく痛くて皆さん嫌がるものなのですが、その病院では痛くならないように麻酔を丁寧にしていることを教えていただきました。他にも、透析は時間をかけてじっくり行うと良いとされていますので、就寝時間を利用したオーバーナイト透析にも興味を持っています。

読者にメッセージをお願いします。

深尾理院長 宮崎中央ふかお透析内科クリニック6

私もスタッフもみんな明るく、元気に、アットホームな雰囲気でお迎えします。これまで長いと感じられた透析の4時間が短く感じられるように、すべての方を笑顔にしていきたいと思っています。透析を受けることになった場合は、なぜ透析が必要なのか、今後どのような治療をしていくのか、時間の経過とともに、どのように体が変化していくのかなどをわかりやすく説明させていただきます。また透析中は、私やスタッフ、そして監視装置も活用しながら常に患者さんを見守っています。少しでも気分が悪そうな患者さんがいらっしゃったらスタッフがすぐに声をかけますので、気になることは何でもおっしゃってください。患者さんとは長いお付き合いになりますので、いい関係性をつくっていきたいと思っています。

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