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深田 慶 院長の独自取材記事

ふかだクリニック

(寝屋川市/香里園駅)

最終更新日:2026/07/10

深田慶院長 ふかだクリニック main

香里園駅から徒歩4分、メディカルビル1階にある「ふかだクリニック」。入り口から診察室まで一直線の動線は、車いすや歩行困難な患者へのこまやかな配慮から生まれたものだ。院長の深田慶先生は大阪大学卒業後、大学院での研究、米国留学を経て、大阪急性期・総合医療センターでパーキンソン病治療センター長を務めた日本神経学会神経内科専門医。日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、神経難病から頭痛、生活習慣病まで幅広い診療を行う。掲げるポリシーは「一診一笑」。1回の来院で必ず1度は患者を笑顔にするという、温かく穏やかな人柄がにじむ言葉だ。症状よりも「何に一番困っていますか」と問いかけるその診療には、QOLを第一に考える揺るぎない信念がある。開業の経緯から薬との向き合い方、今後の展望まで話を聞いた。

(取材日2026年6月11日)

同期の一言に導かれ、地元に開いた脳神経内科

こちらで開業された経緯を教えてください。

深田慶院長 ふかだクリニック1

私の専門は脳神経内科で、パーキンソン病などの神経難病を中心に診る分野です。ただ専門とする医師の数が限られていて、診療の多くが大規模病院に集中しているのが現状です。紹介がなければ予約が取れず、取れても1〜2ヵ月先ということも珍しくありません。なかなか専門の診察にたどり着けないんです。私はこの地域で暮らしてきましたが、開業当時寝屋川市には脳神経内科が足りていない状況でした。患者さんだけでなく、紹介する側の医療機関にとっても敷居が高い。その壁を取り払いたくて、扉をたたきやすい脳神経内科をつくろうと決めました。初診は予約制にせず、気軽に受診いただけるような体制にしています。駅近の立地を選んだのも、電車で通いやすい環境を大切にしたかったからです。

先生が脳神経内科の道に進まれたきっかけを教えてください。

私が医学部を卒業した当時、脳神経内科は治療薬がほとんどなく、若手医師には敬遠されがちな分野でした。私自身、神経の病気に興味がありながらも迷っていたとき、同期が「治らない病気を診る医師も必要だろう」と言ったんです。その一言で霧が晴れたように決心がつき、卒業と同時にこの道を選びました。大学院ではALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の研究に取り組み、その延長で米国にも留学しました。その後勤務した総合病院では、診断から長期の経過観察までさまざまな段階の患者さんを診ました。神経難病の救急にも携わり、トラブルを未然に防ぐ視点が培われたと感じています。また、脳神経内科の医師は患者さんの全身を幅広く診る必要があり、もともとジェネラリストに近い存在です。その素地を生かして総合内科専門医の資格も取得しました。

院内はとても広々とした造りですが、設計で工夫された点はありますか。

深田慶院長 ふかだクリニック2

最もこだわったのは、入り口から診察室まで一直線の動線です。難病や車いすの方が多いので、道路から真っすぐ入れる設計にしました。床はあえてワックスを塗らず、滑りにくい仕上げを徹底しています。トイレは車いすが回転できるよう寸法を計測して設計し、待合室には壁に向かうカウンター席を設けて、患者さん同士の足がぶつからないよう配慮しました。車いすが4〜5台同時に入れる広さもありますので、電動車いすで介助犬を連れた方にも安心して通っていただけます。クリニック前の道路は交通量が少なく、車での送迎時にも落ち着いて乗り降りができる環境です。検査室には、クリニックの規模としては数少ない筋電図計測を行う機器や脳波計、そのほか超音波診断装置も備えており、神経や筋肉の状態の検査をはじめ、脳波や頸動脈エコーなど幅広い検査に対応しています。

「一診一笑」を胸に、病気との共存を支える診療を

こちらには、日々どのような患者さんが来院されていますか。

深田慶院長 ふかだクリニック3

最も多いのはパーキンソン病の患者さんで、遠方から来院いただいている方も多くいらっしゃいます。次に多いのが頭痛で、10代や20代の方も多いです。頭痛は「このくらいで大きな病院に行くほどでもない」と思われがちですが、通常の鎮痛薬ばかり使用し、適切な治療を受けないまま放置したため頭痛がこじれてしまうケースが少なくありません。こじらせないためには専門的な治療を早期から受けていただくことが大切で、気軽に受診いただけるよう努めています。そのほか、ふらつきやしびれ、震え、認知症、てんかんでご相談に来られる方もいらっしゃいます。内科の領域では、脳卒中予防の観点から高血圧などの生活習慣病の管理も行っています。しびれの原因を調べる筋電図検査については他の医療機関からご依頼いただくこともあります。10代から高齢の方まで幅広い年齢層に対応できる体制を整えています。

治療にあたって大切にされていることを教えてください。

私がまず患者さんにお聞きするのは、「何に一番困っていますか」ということです。症状の確認ではなく、日々の困り事から入る。それが診療の出発点です。患者さんのQOL、つまり生活の質を良くすることが一番の目的です。例えばパーキンソン病の方であれば、動きづらい時間帯に薬を足すのではなく、睡眠や便通など生活の土台を見直します。その上で、孫の結婚式にきちんと座っていたいといった目標があれば、その時間帯に良い状態をつくれるよう治療を組み立てます。薬を否定しているわけではなく、必要な場面には惜しまず使う。ただ、薬との付き合い方を一緒に考え、メリハリのある生活を取り戻していくことが大切だと考えています。

そうした思いを、日々の診察ではどのように実践されていますか。

深田慶院長 ふかだクリニック4

私が掲げているのは「一診一笑(いっしんいっしょう)」というポリシーです。1回の来院で1回は笑顔になってもらう。難しい病気を抱えていても、少しでも前向きな気持ちで帰っていただきたいんです。実際に「1ヵ月これで頑張れる」と言って帰られる方もおられて、それが私の励みにもなっています。もう一つ意識しているのは、総合内科専門医として症状のサインを見落とさないことです。例えば、発熱と頭痛で風邪のように見えても、丁寧に診ると髄膜炎である場合も考えられます。数多くの症例を診てきた経験があるからこそ、日常に潜む異変を拾い上げることができる。それが地域のかかりつけ医として大切な役割だと思っています。

寄り添うスタッフと、次世代へ届けたい思い

スタッフの皆さんについてお聞かせいただけますか。

深田慶院長 ふかだクリニック5

私が何も言わなくても、スタッフ全員が患者さんにとても丁寧に接してくれています。難病の方は体の自由が利かないことも多いので、自然と寄り添う姿勢が求められます。それを当たり前のように実践してくれているのが、うちのスタッフの素晴らしさだと思います。以前、パーキンソン病の患者さんがクリニック近くのスーパーで動けなくなってしまったことがありました。たまたま近くを通りがかったうちのスタッフがすぐに助けてくれたんです。衆目の中、誰に指示されたわけでもなく、自分から動いてくれた。スタッフには本当に頭が下がります。安心して通っていただける雰囲気は、スタッフの力によって大きく支えられています。

今後の目標や、取り組んでいきたいことをお聞かせください。

規模を広げるよりも、目の前の患者さんと向き合い、笑顔で帰っていただくことが自分の強みだと思っているのでその姿勢を大事にしていきたいですね。一方で、今後力を入れたいのは後進への指導です。若い先生方はまず大きな病院で経験を積みますが、地域で患者さんの生活に寄り添う医療の形も伝えたい。以前、コメディカルの方向けに神経難病の教育動画を制作する機会をいただいたことがあり、保健所での勉強会で講師を務めることもあります。研修医の先生がクリニックの外来見学に来てくれることもあって、少しでも自分の経験を伝えられたらうれしいです。プライベートではスポーツ観戦が好きで、今は高校球児の息子の試合を観に行くのが一番の楽しみです。

読者へメッセージをお願いいたします。

深田慶院長 ふかだクリニック6

脳神経内科は敷居が高い印象があるかもしれませんが、当院はそのハードルを下げるために存在しています。例えば、歩きにくさで長年整形外科に通っていた方が、実はパーキンソン病だったというのは珍しくありません。1つの科で治療を続けていると、別の疾患が隠れていることに気づきにくいです。だからこそ、少しでも気になることがあれば気軽にご相談いただきたい。診察の結果、「心配いりませんよ」とお伝えするだけでも、受診していただく意味は十分にあると思います。専門家でないとわからない領域があるからこそ、遠慮なく頼っていただけたらうれしいです。