検査に伴う苦痛の軽減を図る
鎮静下で受ける胃の内視鏡検査
渚たなのファミリークリニック
(枚方市/枚方市駅)
最終更新日:2024/04/08


- 保険診療
胃の内視鏡検査と聞くと、どうしても苦しい、つらい検査といった印象を持ってしまいがちだ。さまざまな病気を発見して、健康を守るために受けなければという思いはあっても、過去につらい経験をして、検査を避けている人も少なくない。しかし、「現在では、鎮静下で検査を行うことで、検査に伴う痛みの軽減が図れます」と、「渚たなのファミリークリニック」の棚野晃秀院長。落ち着いた状態で検査を行えるので、よりスムーズに検査を進めることができ、検査の質の向上にもつながるという。胃の内視鏡検査の必要性や検査を受けるタイミング、そして鎮静下で受ける胃の内視鏡検査は実際にどのように進められるのか、棚野院長に詳しく聞いた。
(取材日2023年6月1日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q胃の内視鏡検査でどのような病気を探れますか?
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A
逆流性食道炎、胃潰瘍、胃炎、十二指腸炎、アニサキス症、胃がん、食道がんなど、さまざまな消化器疾患の発見に有用です。また、内視鏡を通す際に喉の奥が確認できるので、声帯ポリープなど喉の疾患や食道静脈瘤などの発見にも役立ちます。検査の際は、画像で胃や食道の内部を確認するだけでなく、異常が疑われる場合はその部分を染色したり、光の波長を変えたりすることで、病気を発見しやすくなります。また、組織を採取して検査に回すことも可能です。例えば、良性の可能性が高いポリープは経過観察しますが、疑わしい場合は組織を採取します。さらに、より精密な検査が必要と判断した場合は、大学病院など適した医療機関を紹介します。
- Q検査を受けるべきタイミングを教えてください。
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A
胸焼けがする、胃が痛い・重たい、胃の不快感、逆流性食道炎でよく見られる喉の違和感や胸が痛いといった症状を自覚している場合は、できるだけ早い検査をお勧めします。また、特に症状がない場合も、誕生日の付近で検査を受けるなどして、1年に1回を目安に定期的に受けていただきたいですね。症状のない患者さんでも定期的な検査を受けることで早期に病気が見つかるケースもあります。定期検査で病気を早期発見できれば、その後の治療の負担が小さくなります。一般に「がん年齢」と呼ばれる60歳以上の方だけでなく、最近は若い人でも胃の不調を訴える方が多いため、きちんと検診・検査を受けてより適した治療につなげることが大切です。
- Qつらい・苦しい検査だと思われがちです。
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A
過去に痛くてつらい思いをしたばかりに、定期検診が遠のいている方もいらっしゃると思います。しかし、一度鎮静下で検査を受けると、以降は定期的に検査を受けられるようになるでしょう。検査を受ける患者さんにとって、苦しい時間は実際以上に長く感じます。また、苦しさから動いてしまうと危険なだけでなく、十分な観察が難しくなる場合もあります。鎮静下での検査は、検査中の苦痛の軽減だけでなく、スムーズで質の高い検査にもつながるのです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と診断
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初回診察時に問診が行われ、症状の有無や家族歴、服用薬などについて尋ねられるので、わかる範囲で答えたい。問診の結果を踏まえた上で、症状がある場合は、症状が落ち着くまで検査を待つか、内視鏡検査の結果次第でその後の治療について検討するかなど、すぐに検査を行うべき状態かを医師が判断。薬物療法を先に行う場合は治療法や検査時期の説明を受け、すぐに検査を行う場合は検査日を予約する。
- 2術前検査と内視鏡検査の説明
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検査に先立って、血液検査、感染症検査、胸部エックス線撮影、心電図検査を受けるために来院する。この術前検査で、心電図の異常や糖尿病などが発見された場合は、必要な検査が先行。その後、検査についての注意事項、服用する薬などについて解説したクリニック独自のパンフレットを受け取り、さらに検査についての動画を見ながら看護師から説明を受ける。食事は検査の8時間前まで。常備薬の服用については医師の指示に従う。
- 3内視鏡検査
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検査当日はまず問診を受け、問題がある場合は検査の延期や必要に応じて感染症のチェックなど追加の検査が行われる。その後処置室に移動して、看護師から検査の流れなどについて説明を受け、点滴を用いて鎮静剤が挿入される。検査にかかる時間は平均で15分程度。検査中に病気が疑われる部分が見つかった場合は、病変を発見しやすいようにその部分の染色や光の波長の調整が行われ、必要に応じて病変部が採取される。
- 4休憩を取る
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リカバリールームに移動して30~45分程度の休憩を取る。45分以上経過した時点で、ろれつがしっかりし、水分が飲めるなど十分に覚醒していることが確認できれば帰宅できる。鎮静剤を使用した場合、当日は車の運転や自転車での移動は不可。また、検査後の空っぽの胃に急に食べ物を入れると大きな負担になるので、当日の食事については基本的に軽いものを摂取したい。特に組織を採取した場合は、刺激が強いものは避ける。
- 5検査結果と治療方針の説明
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検査画像は院長と大学病院の医師によるダブルチェックが行われる。検査結果については、当日に短時間の説明を聞いて不安を抱えないよう、基本的に次回の診察時に実施。検査画像をディスプレーで見ながら、検査の結果や状況、今後の治療方針などについて説明を受ける。薬物療法の継続が難しいと判断された場合や早めに手術を行ったほうが良いと判断された場合は、丁寧にその理由が説明された上で大学病院などに紹介される。