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棚野 晃秀 院長の独自取材記事

渚たなのファミリークリニック

(枚方市/枚方市駅)

最終更新日:2024/04/10

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック main

京阪本線御殿山駅から徒歩3分にある「渚たなのファミリークリニック」は、小児外科診療に携わってきた棚野晃秀(たなの・あきひで)院長が2018年9月に開業。「患者の求めることは何か」をコンセプトに、「地域のかかりつけ医」として全年代の患者が受診しやすいよう、小児科・小児外科・内科・外科をはじめ、消化器内視鏡や循環器専門の外来など専門性の高い複数の医師による幅広い診療を行っている。「すべては患者のために」を合言葉に、3つの視点を持った“チーム医療”で患者のニーズに応えるべく奮闘する棚野院長に話を聞いた。

(取材日2020年2月6日)

ソフト面もハード面も「患者の満足」を重視

ファミリークリニックという名のとおり、幅広い診療に対応されていますね。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック1

小児科・小児外科を中心に外科・内科も診る私と、消化器内視鏡は高橋悠先生、循環器専門の外来は森本達也先生と、専門的な診療経験を積んだ複数の医師が診察を行っています。開業当初は地域柄、ご高齢の患者さんが圧倒的に多かったのですが、診療内容が皆さんに知られるにつれ、乳幼児から高齢者まで、年代を問わず患者さんが増えています。何よりも「体調が悪い時に、まず診てもらえること」が患者さんのニーズだと考え、幅広い診療科であらゆる年代をサポートするだけでなく、必要に応じて専門性の高い診療も提供できるよう、臨床検査技師や管理栄養士を含めた体制を整えました。また、誰もが通いやすいように診療時間は木曜日を除く平日は午後8時まで、土曜日は午後4時30分まで受付しています。

小児外科も標榜されていますね。

小児外科では、切り傷・擦り傷などの一般的な外科治療、“でべそ”や切れ痔などの疾患、先天性疾患のフォローや便秘などの消化器疾患、気道や肺などの呼吸器疾患、アレルギー疾患や循環器疾患などが診療領域です。幼い時期に手術した先天性疾患を大人になってもフォローをし続けるのも、小児外科の重要な役割です。しかし「小児は大人の縮小版ではなく、別の領域である」という考え方がある一方で、クリニックベースではあまり浸透していないのが実情です。小児科と重なる部分はあれど、それを外科的な目線でとらえることは大きく違います。特に小児消化器疾患を診る医師はまだ少なく、例えば便秘があっても適切な処置を受けていないと思われるお子さんも多くいますし、やけどや切り傷といったケガ・事故についても、再発防止策のアナウンスも含めて診られるのは強みだと考えています。

クリニックの理念を教えてください。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック2

「医療を提供された患者さんがどれだけ満足できるのか?」ということに重きを置き、クリニックに関するあらゆる判断は、「患者さんにとって何が必要か、患者さんが求めることは何か、それに応えるにはどうすれば良いか」を基軸としています。例えば、患者さんからのご意見は、医療側が気づけていない改善点への指摘ですから、しっかり受け止めて改善する。また、改善が不可能な内容であっても、苦情を言わざるを得なかった患者さんの気持ちを想像し、対応を考えることが大切と考えます。いろいろな意味で“医療だけを提供する時代”は終わったと思います。

「患者のためにできること」チーム医療に3つの視点を

「チーム医療」を大切になさっているそうですね。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック3

チーム医療とは、患者さんの健康や生活の質向上、病状改善といった目標へ向けて、関わる人が「何ができるか」を考え、実行することだと思います。そして私が取り組んでいるのが、当クリニック内・クリニックモール内・地域の3つのチーム医療です。まず1つ目の「クリニック内」は、検査は臨床検査技師に、栄養指導は管理栄養士にとそれぞれ専門性を大切にし、それに対し医師や看護師は「何ができるのか」を考えて動くことです。糖尿病・高血圧・高脂血症という三大現代病は、食事である程度のコントロールが可能ですが、食事は人生の楽しみの一つ。単に医師や看護師が野菜を摂取するよう指示するのではなく、どう調理するのが適しているのか、季節の旬は何か、緑黄色野菜でもどれがいいのか……など、専門家である管理栄養士が提案することで、より患者さんに伝わるのではないかと考えています。

「クリニックモール内」というのはどういった取り組みですか。

当クリニックのクリニックモールの1・3階には整形外科・リハビリテーション科、4階は精神科があります。先ほどお話しした専門性と同じで、例えば運動やリハビリテーションが必要な患者さんに対して「どのような運動、リハビリをすればいいのか」をわかりやすくお伝えすることが重要です。当クリニックでは昨年、筋肉量などが精密に測れる体組成計を導入し「下肢に比べ上肢の筋肉量が少ない」など細かな判断が可能となり、整形外科の助言を受けながら治療を選択できるようになりました。また内科だと思っていたけれど心療内科領域の可能性も考えられる場合も、4階の先生と連携が可能です。総合的に“患者さんのためになる”治療や生活指導を行えるよう、モール内でもチーム医療をめざしています。

地域とのチーム医療について、また感染対策のことも伺いたいです。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック4

地域とのチーム医療とは、総合病院や大学病院を含む地域医療機関との連携のことです。医師・クリニック・病院が互いをよく知り、垣根を越えた診療を行えば、例えば入院や手術は病院で、その後はクリニックでフォローといった対応をよりシームレスに提供できるでしょう。次に感染対策についてですね。新型コロナウイルス流行も受け、その徹底を心がけています。診察室はドアハンドルや椅子も患者さんごとに隅々まで消毒し、トイレは1時間に1回は清掃・消毒。開院時間前後には待合室はもちろん院内全体を清掃します。また空気清浄機を多数設置しているほか、発熱者と非発熱者で待合室・診察室を分け、ウイルスに感染している方を隔離する陰圧ブースも用意しました。新型コロナウイルスの第5類移行後もこうした対策を続け、患者さんもスタッフも安心できる環境を維持します。

常に“未完成”。不断の努力で目標に向かっていく

かなりの広範囲、広い視野を持った「チーム医療」の推進ですね。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック5

チーム医療は、医師、看護師、臨床検査技師、医療事務、そして地域の保健師さんや福祉関係者・ケアマネジャーさんも含め、すべてのスタッフが一丸となって患者・家族を支えてゆく。言い換えると“個々の専門性という名のパズル”がそろってこそ患者・家族の健康という絵を描いていけるわけです。患者さんが赤ちゃんであろうがお年寄りであろうが関係なく、どうやったら健康に、心身ともに負担なく生活していけるのかが大切だと考えます。私は、「患者さんのために何ができるか」を考えたとき、クリニック内・モール内・地域のすべてでチーム医療を実現することが重要だと考えました。

すべては「患者さんのため」なのですね。

患者さんやそのご家族の立場から「どうクリニックと関わっていくか」を考えたとき、一つの場所で解決できることではないと感じたんです。そして患者さんから“選ばれるクリニック”になるための一つとしてソフト面の向上も挙げられます。現在は私も含めたスタッフ全員で、月1回、プロの講師による接遇とマナーについて受講しています。複数年のプログラムのうち今年は「気づき」をテーマに、患者さんへの伝え方などを学んでいます。また待合に生花を飾ったり季節感ある映像を流したり、待合でのストレスを軽減できるよう努めています。またどうしても重症の患者さんを優先させなければならないケースもありますが、受付と看護師が臨機応変に連携しながら、スムーズに診察に移行できる体制も整いつつあります。

今後の展望をお聞かせください。

棚野晃秀院長 渚たなのファミリークリニック6

まずは地域の皆さんに、小児科・小児外科を診られることをもっと知っていただきたいですね。そして何度受診しても満足してもらえるよう、ハード、ソフトの両面から改良を少しずつ積み重ねていきたいと思っています。「患者さんに選んでもらえる」ということは、「患者さんが選ぶ必要性を感じる」ということでもあります。「ご家族の誰もが体調不良になっても、最初に相談できるクリニック」として気軽に頼ってもらえるように、努めていきたいと考えています。私たちが向き合っているのは患者さんとその病。2018年9月の開業以来、少しずつアップデートしてきましたが、刻々と変わる患者さんの体とともに、私たちの変化も求められます。その点でも「クリニックは常に未完成である」ことを忘れず、自分たちにできることを考え、目標に向かって進んでいきたいと思っています。

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