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上田 渉 院長の独自取材記事

うえだクリニック

(大阪市淀川区/十三駅)

最終更新日:2020/04/01

190234

阪急十三駅、大阪メトロ西中島南方駅より徒歩圏内の下町情緒あふれるエリアに位置する「うえだクリニック」。上田渉院長はその淀川区木川で生まれ育った生粋の地元住人だ。1992年に大阪市立大学付属病院でキャリアをスタートした上田先生は大阪市立総合医療センターで炎症性腸疾患や内視鏡検査など専門性の高い消化器治療に従事。2010年からは大阪市立十三市民病院に消化器内科副部長、2015年より同病院内視鏡センターのセンター長を務めてきたが、地域の方々が進行がんで発見されることのあまりの多さに驚いた上田先生は、生まれ育った地元の人たちに、もっと早期の段階で内視鏡検査を受けてほしいとの思いから開業。そんな先生に地域医療や患者に対する思いなどをたっぷりと聞かせてもらった。
(取材日2019年4月18日)

内視鏡検査を駆使して地域の人たちの健康に寄与したい

クリニックのある淀川区木川が先生の地元だそうですね。

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そうなんです。私はこの土地で生まれ育ちました。江戸時代から先祖代々この地で暮らしているのでしっかり根づいた土地の人間です。このクリニックも、元は実家があった土地に建てていますからね。子どもの頃は淀川の河川敷や路地で遊んだりしていたもんです。そんな時には「そこは車が多いから危ないぞ」とか「暗くなったから、そろそろ帰りなさい」とか、そんなふうに地域の人たちに面倒を見てもらいながら育ってきたんです。祖父の代から、この地で幼稚園を運営してきたので、来院する患者さんの中には、その幼稚園に通っていたと思い出話をされる方もいらっしゃいます。

何をきっかけに開業することにされたんですか?

私は2010年から大阪市立十三市民病院の消化器内科に勤めていたんですね。それまでは都島区の大阪市立総合医療センターにいました。驚いたのは大阪市立十三市民病院に移ってからのほうが進行がんの患者さんが格段に多いこと。かなりステージが進んだ患者さんを月に何人も診ることになるんです。統計を調べてみると淀川区の定期検診受診率がかなり低いんです。そのため、初期段階で、がんを発見することが難しいということがわかってきました。早期の胃がん、大腸がんなら内視鏡治療のみで完治が望めるので、早期発見がすごく重要。それなら「私自身が地元で開業して地域医療の一助となっていければ本望だ」と「開業するなら自分が育ててもらった地元で」と、そんな思いを長年温め続けていたんです。

大阪市立十三市民病院では内視鏡センター長を務めておられたそうですね。

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2015年から開業するまで、その任にありました。内視鏡検査というのはつらくて苦しいという印象を持っておられる方が多いと思います。でも現在では鎮静薬を点滴しながら眠ったような状態で楽に検査を受けてもらえるようになっているんです。鎮静剤を使った検査の利点は患者さんにとって検査が楽ということだけでなく、じっくり観察ができるので精度の高い検査が行えること。検査が終わった後は、そのままベッドの上でゆっくり休んでもらうことができます。

祖父の胃がんをきっかけに医師を志す

先生が医師をめざした理由を教えてください。

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小学3年生の時に、祖父が胃がんにかかったことが医師という職業を意識したきっかけです。東邦幼稚園を運営していた優しい祖父は私にとって大切で大きな存在でした。祖父の命を救おうと治療に奮闘する医師や看護師さんの姿に触れたことが大きいと思います。祖父は胃がんの末期だったため、手術でも患部を取り切ることができず、亡くなってしまいました。大好きな祖父を失った悲しみは、生と死という私にとって大切なことを考えるきっかけとなりました。高校生になり将来の進路を考える時に、生きる意味を突き詰める「哲学」と、人が生きる手助けをする「医学」。どちらを取るか迷った末に香川大学の医学部に進学することを選びました。

医師になられてからはどのような経験を積んでこられましたか?

医師になってからは大阪市立大学の第3内科で研修医になりました。この時、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんに出会います。この病はなぜか若者に患者さんが多いという特徴があります。自分よりも若い患者さんたちが下痢や血便、腹痛などに苦しむ姿を見て、何とかならないのかと憤りを感じるのですが、経験の浅い研修医でしかない私には何もすることができません。患者さんのベッドサイドで、患者さんたちの悩みを聞くことしかできませんでした。研修医として初めて直面した難病、IBD(炎症性腸疾患)と総称される潰瘍性大腸炎やクローン病。消化器内科医師である私にとって、この難病の治療は20年以上にわたり取り組んできた大きなテーマになっています。

IBD(炎症性腸疾患)とはどのような病気なのでしょうか?

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IBD(Inflammatory bowel disease)は食生活が欧米化する中で急速に患者数が増加中です。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜にびらんや潰瘍を起こし、クローン病は、口から肛門までの食べ物の通る道に慢性の炎症を起こす病気です。どちらも原因がいまだ特定できていない病気で難病に指定されています。私が大阪市立総合医療センターに勤務し始めた2002年頃に生物製剤やタクロリムスといった医薬品が登場し、患者さんが日常生活に復帰できるまでに回復できるようになりました。研修医時代には手も足もでなかった難病を患者さんが克服し、退院して就職し、結婚し、出産と人生を謳歌すること。それは患者さんと伴走する医療を理想とする私にとってすごくうれしいことです。難しい病ですが希望はあります。私はIBDの患者さんを数多く診てきました。慢性的な下痢や血便といった症状に悩む患者さんはぜひ相談してほしいですね。

地域のかかりつけ医として歩んでいきたい

新型の内視鏡を導入されているのは、IBD対応のためですか?

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もちろん、IBDの診断にも活用していますが、内視鏡は消化器系のさまざまな診断に活用できるものなんです。例えば、私の祖父がかかった胃がん以外に、大腸がんや食道がんといった消化器系のがんの早期発見にも非常に有効です。消化器は食事や飲み物といった体外からの刺激物に最もさらされる臓器なんです。がんは長年の炎症の結果として発症することが多いので、内視鏡で経過を観察していれば、早期発見できるものなんです。がんは早期発見できれば、怖くありません。早期発見と早期治療で命が助かる可能性が高いのが消化器系のがんなんです。内視鏡検査は先ほどお話ししたように、昔とは比べものにならないほど楽になっています。

ところで、先生は休日にはどんなことをして過ごしておられますか?

学生時代はフルコンタクト空手に打ち込んだり、冬になるとスキーに行ったりしていましたが、今はこれといって趣味はないですね。強いて言えば読書でしょうか。医療をテーマにした小説やミステリーを読むのが息抜きになっています。それと私には長男を筆頭に6人の子どもがおり、今は妻や子どもたちたちと過ごすことが一番の楽しみですね。特に4歳の末っ子と遊ぶのがリフレッシュにつながっています。一緒にヒーローもののアニメを見たりね。特別なことをしなくても十分に楽しめています。

先生の診療におけるモットーをお聞かせください。

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自分一人でできることには限りがありますが、地域にあるほかのクリニックや病院と連携しながら、地域医療の充実を図ることが大事だと思っています。内視鏡を使った診断と、炎症性腸疾患なら当クリニックですが、痛みの緩和ならペインクリニックへと適切なクリニックへ紹介し、各クリニックの得意分野を生かして地域の人たちの健康に寄与したいと考えています。そしてわれわれの理念は、医療を通じて地域の方々に笑顔になってほしいということ。もう一つはわれわれに関わるすべての人の心に灯をともしたいということです。もっとシンプルな言葉にすると、患者さんとともに歩んでいくことだといえるでしょう。こういったミッションは決めたその日からすぐにできるものではないと思っています。うえだクリニックが開業した日から生涯を通じて、日々この目標に向かって積み上げていくものだと考えています。私たちはまだ始めたばかり。まだまだこれからですね。

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