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冨高 緑 院長の独自取材記事

慈友クリニック

(新宿区/高田馬場駅)

最終更新日:2026/03/10

冨高緑院長 慈友クリニック main

高田馬場駅戸山口からすぐ、美しいガラスブロックの5階建てビルに「慈友クリニック」はある。精神科・心療内科を専門とし、成増厚生病院のサテライトクリニックとして開設され、2025年12月にクリニックとして東京都アルコール健康障害専門医療機関に選定された。院長の冨高緑先生は穏やかで親しみやすく、親身に話を聞いてくれそうな雰囲気が印象的だ。心に届く思いやりの医療を掲げ、患者の回復を焦らず見守る姿勢を大切にしている。断酒だけでなく減酒という選択肢も提示し、看護師や精神保健福祉士など多職種のチームで一人ひとりに寄り添う同院の取り組みについて、冨高院長に詳しく話を聞いた。

(取材日2026年2月13日)

入院施設と連携して、患者の生活全体を診る

クリニックの成り立ちや特徴について教えてください。

冨高緑院長 慈友クリニック1

当院は、関東と九州で精神科医療や福祉介護施設を展開する「翠会ヘルスケアグループ」の一つで、成増厚生病院のサテライトクリニックとして開設しました。現在は精神科と心療内科を専門とし、患者さんの8〜9割はアルコール関連のご相談です。2025年12月には「東京都アルコール健康障害専門医療機関」に選定され、都内だけでなく埼玉、茨城、千葉、神奈川など首都圏広域から多くの方が通院されています。2026年4月からは院内をリニューアルし、1階で外来診療を行う予定で、外来からデイケアまで一つの建物内で完結できる体制が整います。ストレス社会で心の悩みを抱える方が増える中、当院が心療内科・精神科で診療する疾患の幅は広く、アルコール依存症に限らず、不眠、抑うつ、不安障害、気分障害、ASDやADHDなど多様な疾患に対応し、成増厚生病院の医師を含め、経験豊富な医師が多数在籍し、診療にあたっています。

入院施設との連携が強みなのですね。

都内にもアルコールや依存症を専門にする医療機関はいくつかありますが、当院の特色は成増厚生病院という入院施設を持つグループ院と連携を取っていることです。そのため、より重症の方から軽症の方まで幅広い患者さんをお受けすることができます。アルコール依存症は他の精神疾患を伴うケースが多く、うつ病や不眠症、不安障害、発達障害などが挙げられます。特にADHDの方は、アルコール依存症を併発しやすい傾向がありますが、そうした方にも対応できる強みがあります。また、成増厚生病院の医師が当院でも診察していますので、入院中に担当した医師がそのまま外来で診療を継続することも可能です。患者さんにとっては、治療の流れが途切れないことが安心感につながっているのではないでしょうか。

精神科医の道を選ばれたきっかけを教えてください。

冨高緑院長 慈友クリニック2

実は大学6年生までは眼科医になろうと思っていたんです。ただ、病院実習で精神科を見た時に、患者さんの困り事の本質に一番密接に関われる科だなと強く感じて、精神科を勉強したいと思いました。精神科では薬は治療の一つの道具にすぎません。患者さんとの信頼関係を築きながら、どこをめざしていきたいかを一緒に考え、その方の生活や家族全体を診ていく。風邪のように一度きりで終わるのではなく、何年も何十年も関わっていけるダイナミックさがあります。最初は治療者として向き合うことへの自分自身に対する不安もありましたが、まずは2年やってみようと飛び込んでみたら、その奥の深さに惹かれました。患者さんの人生に深く関われることが、この仕事の醍醐味だと感じています。

減酒も選択肢に、復職を支援する多彩なプログラム

アルコールに関して、どのような悩みで受診される方が多いですか?

冨高緑院長 慈友クリニック3

よくあるのは、普段は飲まない日もあるのに、いったん飲み会に行くと止まらなくなってしまうという方ですね。大事な書類や会社のパソコンを忘れてしまったり、記憶がなくなるまで飲んでしまったり。また、お酒を飲むと人が変わってしまい、ご家族への暴言や暴力につながって、ご家族に連れられて来院される方もいらっしゃいます。以前は、病院に行く=断酒しなければならないというイメージが強く、受診のハードルが高かったのですが、最近はハームリダクションといって、お酒の量を減らすことでリスクを下げるという治療が主流になってきています。大部分の患者さんは「やめるのは嫌だけど、減らすことならやってみたい」とおっしゃるので、まずは減酒から始めてみましょうとご提案しています。

どのように治療を進めていくのですか?

当院ではアルコールデイケアを実施しており、朝10時から15時半頃まで、飲まない場所としてここで過ごしながら各種プログラムに参加していただきます。家にいるとお酒に手が伸びてしまうという方も、日中きちんと過ごすことで生活リズムが整い、回復につながります。そして当院の目玉ともいえるのが、アルコールリワークプログラムです。働いている方がアルコール依存症から復職をめざすためのプログラムで、対人スキルや再発の原因を深く掘り下げながら準備を進めます。だいたい入院3ヵ月、外来デイケア3ヵ月の計半年ほどの休職期間を経て、職場復帰をめざします。入院せずに外来だけで断酒をめざす軽症の方もいらっしゃいますので、患者さんの状況に応じて柔軟に対応しています。

女性や患者さんのご家族への支援について教えてください。

冨高緑院長 慈友クリニック4

女性には女性特有の問題がありますので、女性だけのミーティングやSeRAという女性のためのリカバリープログラムを実施しています。女性は女性の中で回復するともいわれており、同じ立場の方と語り合える場が大切なのです。また、アルコール依存症は次の世代に連鎖していく病気でもあります。依存症の家庭で育つお子さんは、常に緊張状態の中で親に甘えられない、相談できないという環境に置かれ、感情を押し殺して成長していくことが少なくありません。そこで当院と成増厚生病院では、子どもへのケアプログラムを約20年にわたって継続しています。スタッフがお芝居などを通じて病気について説明し、お子さんが感情を表出する練習をすることで、本来持っている回復力を高めていく取り組みです。

心に届く思いやりの医療で回復を焦らず見守る

診療で大切にされていることを教えてください。

冨高緑院長 慈友クリニック5

「心に届く思いやりの医療」を診療方針として掲げています。依存症に限らず、精神科の治療は医師一人ではとても難しいものです。当院では看護師、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士など多職種がチームとなって患者さんを支えています。例えば単身生活で日常そのものが立ち行かなくなっている方には、お薬を出すだけでは解決しません。誰がどう関わるかを含めて、チーム全体で応援していくことが必要です。私が特に心がけているのは、患者さんの回復を焦らずに見守ること。すぐに入院して断酒すれば早く解決するかもしれませんが、患者さん自身が納得していなければ、その場しのぎになってしまいます。良くなりたいという気持ちが芽生えるまで寄り添い、患者さんのペースで一緒に回復に向かっていくことを大切にしています。

やりがいや今後の展望をお聞かせください。

やはり患者さんが回復している姿を見ることができたときが、一番やりがいを感じます。アルコール依存症の方の中には、お酒をやめて5年、10年とずっと通ってくださる方も多くいらっしゃいます。病院だけでなく、地域の自助会に足を運ぶと、そこでお会いできることもあり、そうした瞬間は本当にうれしいですね。ただ、5年、10年やめていても、一杯飲み始めるとそこからまた始まってしまう病気でもあります。その怖さがあるからこそ、長く関わり続けることに意味があるのだと思います。今後はリニューアルを機に、建物内ですべてのケアが完結できる環境を生かして、より多くの患者さんにいらしていただきたいと考えています。精神科は受診のハードルが高いと感じる方も多いので、特に軽症の段階で気軽に相談していただきたいですね。

読者へメッセージをお願いします。

冨高緑院長 慈友クリニック6

早いうちに正しい対応をすることが、より良い生活や失うものも少なくすることにつながります。「今の飲み方、大丈夫かな?」と少しでも思われたら、ぜひ受診していただきたいですね。周りから「依存症じゃありませんよ」「ほどほどに飲めばいいですよ」と言われ、悪化してしまってから当院にいらっしゃる方もいます。きちんと診てもらえる医療機関を選ぶことはとても大切です。当院では断酒だけでなく減酒という選択肢もありますし、患者さんのペースに寄り添いながら多職種チームでサポートしていきます。お酒のことで気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。