細谷 のり子 院長の独自取材記事
医療法人社団恒航会 細谷歯科
(新宿区/高田馬場駅)
最終更新日:2024/12/13

「なるべく抜かない・削らない歯科治療」をモットーに1997年に開業した「細谷歯科」。高田馬場駅から徒歩2分、早稲田通り沿いのビル3階という好立地にあり、近隣住民を中心に子どもから高齢者まで幅広い世代の患者が訪れている。細谷のり子院長は、大学病院の口腔外科に籍を置きながら都内の歯科医院に勤務し研鑽を積んだ、経験豊富な歯科医師。虫歯や歯周病、入れ歯など一般歯科診療から矯正歯科、噛み合わせ治療やホワイトニングなど幅広いニーズに対応し、中でも歯周病菌など口腔内に生息する細菌の種類や数を調べるために位相差顕微鏡検査に力を入れている。「お口は健康の入り口。定期的に細菌の増減などをチェックすることで、ご自分のお口の健康に関心を持っていただければと思っています」と話す細谷院長に話を聞いた。
(取材日2024年11月7日)
口腔を入り口に全身の健康を守る地域密着型の歯科医院
1997年の開業だそうですね。

はい。鶴見歯科大学卒業後、大学病院の口腔外科に在籍しながら都内の歯科医院に勤務して研鑽を積み、1997年に開業しました。私は静岡の生まれですが、夫が高田馬場出身なのでこの地域にはなじみもあり、知り合いも多く住んでいましたので、開業当初からスムーズに受け入れていただいてとてもありがたかったですね。高田馬場は学生街のイメージが強いと思いますが、実際にはファミリー世帯も多く、下町らしいアットホームなエリアでもあるんですよ。当院にも開業当初からご家族ぐるみで通ってくださっていて、小学生の頃に虫歯が痛くて泣いていた子が、成人してまた受診してくれることもよくあります。また地域柄、ミャンマーなど在留外国人の患者さんも多いですね。年齢層は幅広く、小児から高齢者まで対応していますが、60~80代の高齢患者さんが多い傾向にあります。
診療の特徴を教えてください。
虫歯や歯周病、入れ歯などの一般歯科診療から、歯列矯正、噛み合わせの治療、予防歯科など、歯科全般を幅広く診療しています。インプラント治療については医療機関へ紹介し連携を図っています。特に力を入れているのは、歯周病の治療と予防です。当院では応急処置を除き、治療の前に患者さんの口腔内に存在する細菌の種類や数を位相差顕微鏡で確認し、必要に応じて抗生剤などの薬を用いて内科的に細菌を除菌した後で治療を開始しています。ご存じの方も多いと思いますが、歯周病は細菌による感染症であり、口腔内にはさまざまな種類の細菌が生息しています。歯周病菌や虫歯菌が生息した状態で治療しても再び感染するリスクがありますし、口腔内の細菌が抜歯処置などの際に血管に入り込んで、全身疾患を引き起こすことも指摘されています。ですから、事前に除菌して口腔内をきれいにしてから治療することが大切だと考えています。
口腔内細菌の状態は定期的にチェックしたほうが良いのでしょうか?

そうですね。当院では年3~4回のペースで検査を継続するようお勧めしています。先ほども話したように歯周病は感染症ですから、自分の口内を除菌しても他から菌をもらうことがありますし、体調が悪くなると免疫力が低下して細菌が増え、虫歯や歯周病が発生しやすくなります。また、定期的にチェックすることで、「最近体調がいいから口腔内の状態もいいんだな」と手応えを感じたり、細菌数が増えていた場合は何が悪かったのかを振り返ることで次に生かしたりと、口腔の健康に対する意識向上に役立てていただければと思います。口の中は食べ物が体内に入る最初の入り口であり、全身の健康にも直結しています。ご自分の健康を守る第一歩として、口腔内細菌の状況にも関心を持っていただきたいですね。
できるだけ歯を抜かず、天然歯を残す治療をめざす
診療方針を教えてください。

できるだけ歯を抜かず、患者さんの天然歯を残す治療を心がけています。そのためには、歯を削る量を最小限にとどめ、可能な限り神経を残すことが大切です。歯の神経が虫歯菌などに感染すると、神経を取り除くための根管治療が必要になることもありますが、神経を抜いた歯は栄養が行き届かず枯れ木のような状態になって、割れたり折れたりしやすくなります。私としてもせっかくの患者さんの歯を抜いてしまうのが切なくて、とても抵抗があるんです。ですから、たとえ学術的には抜いたほうがいい状態だったとしても、噛めてお手入れもできるのであればなるべく残す方向で治療を提案しています。
天然歯を残すメリットを教えてください。
天然歯の根と骨の間には歯根膜という薄い膜があり、噛む力を分散するクッションのような役割を果たしています。しかし、歯を抜くと歯根膜も失われ、例えば失った歯の代わりにインプラントを埋入しても、噛む力がダイレクトにインプラントに伝わり、天然歯よりもダメージを受けやすくなります。また、歯根膜には周囲の組織に血液を供給し、栄養を補給する役割もあります。ですから、歯根膜がなくなることで血液供給が乏しくなり、細菌感染に対する抵抗力が低下します。インプラントや入れ歯の技術は進化していますが、天然歯に勝るものはありません。もちろん結果として抜かなければならないこともありますが、可能であれば歯を抜かずに、できるだけ長持ちさせたいと考えています。
その他、気になる症状や力を入れていきたい領域はありますか?

今後は噛み合わせの治療に力を入れていきたいと思っています。私が嘱託医を務める保育園でも、虫歯のある子は少ないものの、噛み合わせの乱れが気になる子が増えてきました。原因の一つは、前歯で食べ物を噛み切る機会が減っていることです。前歯で噛むことで上顎が成長し、適切な噛み合わせや歯並びが形成されると考えられていますが、やわらかい食べ物や食べる前に小さく切って提供することでその機会が減少し、噛み合わせに影響が出ているのではないでしょうか。大人になってからでも噛み合わせの治療は可能ですが、時間がかかりますし、状態によっては大がかりになることもあります。ですから、保育士さんや保護者には、小さい頃から前歯でしっかり噛む習慣を身につけられるよう意識してほしいとお伝えしています。
患者が笑顔で帰宅できる歯科医院でありたい
訪問歯科診療にも取り組んでいるそうですね。

はい。高齢などの理由で通院が難しくなった患者さんのご自宅を訪問し、入れ歯の調整や口腔ケア、さらには食事がうまくできているかを確認しています。定期的なケアを続けることで口腔機能を維持し、できるだけ長く口から食べることの喜びを味わっていただければうれしいですね。新宿区は医師や歯科医師、看護師、ケアマネジャー、介護ヘルパー、理学療法士や管理栄養士など職域を横断した交流が盛んで、訪問診療の医師から「入れ歯が痛くて食べられないそうです」と連絡が入ったり、私たち歯科医師が栄養士さんに高齢の方の栄養の取り方について相談したりすることもよくあります。今後ますます訪問診療の必要性が高まっていくでしょうから、こうした交流を活用しながら患者さんに寄り添った医療をお届けしたいと思っています。
ところで、先生はなぜ歯科医師をめざしたのですか?
実はパイロットになるのが夢でしたが、当時女性の入学者がいなかったため航空大学校への入学を断念。実家が薬局だったため薬剤師になることを考えましたが、航空大学校を受験するつもりで物理や数学を勉強していたことから、叔父に勧められて大学の歯学部を受験し、歯科医師の道に進みました。その後、アメリカでパイロットのライセンスを取得しましたが、結婚して開業したため、万が一の事故が心配で操縦することはありませんでした。それでも、飛行機が空を飛ぶ姿を見るのが好きで、クリニックの窓から空を見上げて楽しんでいます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

実家の薬局はコンビニがなかった時代に夜11時まで営業し、閉店後や休みの日でも不調をを訴える電話に両親が対応していたことを覚えています。両親の「人の役に立ちたい」という姿勢は、今の私の仕事への取り組み方にも影響していて、来院された患者さんが笑顔で帰れる歯科医院をめざしています。そのため、できるだけ痛みの少ない治療を心がけるとともに、医療器具の洗浄には高性能の高圧蒸気滅菌を使用するなど、院内感染防止にも努めています。お口は健康の源です。歯周病を予防し、自分の歯で噛む力を保つことが、体全体の健康にもつながることを多くの方に意識していただきたいですね。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは部分矯正/16万5000円〜(検査、診断料別)
小児矯正/33万円〜(検査、診断料別)
成人矯正 /77万円〜(検査、診断料別)
※検査代/2万7500円
※診断料/3万3000円
ホームホワイトニング(上下)/4万4000円(マウスピース、薬剤込み)