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松浦 秀憲 院長の独自取材記事

調布狛江ホームケアクリニック

(狛江市/喜多見駅)

最終更新日:2023/08/07

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック main

在宅医療をメインにした診療所「調布狛江ホームケアクリニック」は2018年開業。24時間の窓口や往診体制、看護体制などの基準をクリアした機能強化型在宅療養支援診療所でもある。院長は横浜市立脳卒中・神経脊椎センター、横浜市立大学病院、神奈川リハビリテーション病院などで研鑽を積んだ松浦秀憲院長。脳卒中、神経難病、脊髄損傷といった特殊な病気を専門に、地域医療から取り残されがちな患者を在宅医療でサポートしてきた。プライベートでは現在でも時々試合に出るという筋金入りのラガーマンであり、ラグビーで培われた「ONE TEAM」の精神は、ケアマネジャーやホームヘルパーとも連携が必要な在宅医療で遺憾なく発揮されている。そんな松浦院長に診療においてのこだわりを聞いた。

(取材日2023年7月11日)

神経難病や脳卒中、脊髄損傷に対する在宅医療を展開

こちらのクリニックは在宅医療をメインにしたクリニックだそうですね。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック1

はい。病気や障害で通院が困難な方や、病院退院後自宅で療養を行いたい方、寝たきりのお年寄り、慢性的な病気で緩和ケアを希望される方を対象にした在宅医療、在宅リハビリテーション診療を行っています。僕はもともと整形外科の医師として、多くの手術を行ってきましたが、手術を行ってもその方にとっての日常生活が元通りになる訳ではなく、もどかしさを感じていました。もっと生活に入り込んで診たいという想いも強くリハビリテーション科へ転科し、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医を取得。専門性を生かして在宅医療を提供したいと考えました。患者さんの状態に合わせてですが、だいたい月に2度の頻度で医師と看護師が患者さんのご自宅や施設へ訪問し診療させていただきます。体調不良時や急変時には24時間でいつでも対応できるよう体制を整えています。

2018年に開業されましたが、どうして在宅医療メインのクリニックにしたのですか?

医師としての専門性によるところが大きいでしょう。僕は、パーキンソン病などの神経難病や脳卒中、脊髄損傷などの診療をメインにしているんですけど、そういった病気の患者さんの中には通院できない状態の方も一定数いらっしゃいます。また診療が特殊で、例えば難病を専門とする医師でなければ書けない書類があったり、薬の調整が難しい病気もあったりして、専門外の医師には診療が難しい部分があるんですね。ですから、訪問診療を行う診療所が増えてきた昨今でも、専門外のため診療を断らざるえない場合があり、家族も本人もものすごく大変な苦労をしながら大学病院に通院したりということが実際に起きています。勤務医時代にそういう実情を多く見てきたからこそ、自分が在宅医療を提供しなければ救えない状況があると思い、このようなクリニックにしました。

特殊な疾患だとスムーズに医療が受けられない状況があるんですね。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック2

脊髄損傷の患者さんはさらに過酷です。患者さんの数に対して脊髄損傷を専門的に診療している病院の数は少なく、全国にも数えるほどしかありません。また、専門の医師の数も限られています。僕は、その数少ない病院の1つである神奈川リハビリテーション病院で1年間、脊髄損傷治療を学ばせてもらいました。大勢の患者さんを診ましたが、たった1年の経験ですから自分では専門家だなんてちっとも思っていません。それなのに、専門的に診れる施設も少ないため、いくつものクリニックで診療を断られた方々が集まってきていました。本当に困っている方はぜひご相談いただきたいですし、クリニックでも診れるという選択肢があることを知って欲しいですね。

「ONE TEAM」ラグビーと在宅医療の共通点

医師としての“使命感”から在宅医療専門のクリニックを始められたのですね。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック3

いえいえ、そんなかっこいいものではないんですよ。脳卒中、神経難病、脊髄損傷で通院不可能な患者さんは、さまざまな疾患の患者数から見れば、ごくわずかです。開業医として経営的に考えると分が悪いですし、在宅医療は大変なことも多いですし、開業の際は一般的なクリニックにしようかと悩むこともありました。ただ、規模としてはごくわずかであっても、ものすごく困っている患者さんを見過ごすことはできません。また、国際医療福祉大学熱海病院、横須賀共済病院、横浜市立大学附属病院、神奈川リハビリテーション病院、川崎協同病院とさまざまな病院で専門的な治療や在宅医療について学ばせていただき、その結果として今の自分がいることを鑑みると、僕だからこそ提供できる在宅医療の内容があるという自負はあります。

クリニックの運営や診療においてこだわっていることはありますか?

開業時に絶対に大事にしようと決めたことがあるんですよ。チームとして対応することです。在宅医療というのは、医師一人で成り立つ医療ではなく、看護師はもちろん、ホームヘルパーさん、ケアマネジャーさん、時に地域の別のクリニックとの連携が必要不可欠なんですよね。医療行為をしているからといって、医師が一番偉いという訳ではないですよね。患者さんの生活を支えないといけないのだから、関係者とよくコミュニケーションを取って、患者さんのために何がベストなのかを総合的に判断するようにしています。こうした考え方は僕が学生時代ラグビーをやっていたことが大きく関係しています。ラグビーは、個人プレーがほとんどなく、何事においてもチームのためになるかどうかを優先するんですよね。

在宅医療はクリニック以外のスタッフともチームワークが必要なんですね。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック4

そうなんです。例えば、1日3回薬を飲んでもらいたくても、ホームヘルパーさんが朝と夕の2回来る予定になっているのであれば、変則的だけど1回分の薬の量を増やして1日2回にするといった柔軟さが必要です。ホームヘルパーさんに「昼も来てください」と言うのは簡単ですが、ホームヘルパーさんだけに負担をかけるのはまずいですよね。それから、ほかのクリニックや医師との連携も多いですよ。僕より別の先生に診てもらったほうがいいと思う患者さんがいれば、訪問診療に対応しているほかの専門性を持った医師に紹介したりして、常に患者さんにとってのベストを考えていきたいですね。

本当に困っている患者に必要な医療を届けるために

チームを大切にするからこそ、スタッフさんも大切にされているのですね。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック5

僕も含めてスタッフのQOLを高めることは大切にしています。自己犠牲で成り立っている組織は永続的ではありません。燃え尽きちゃいますよね。それでクリニックや訪問看護ステーションが潰れたりすることがありますが、それこそ在宅医療が命綱である患者さんにとって最大の不幸なんです。当院は開業当時のメンバーがずっと働いてくれていますし、妊婦やママさんもいるので、少し余裕を持ったシフトにしています。経営側から「先生は労働組合ですか!?」と言われることもあるんですが、スタッフを大切にすることは、回り回って患者さんのためになると考えています。

先生に診てもらいたい時はどうしたらいいのでしょう?専門的な病気以外の方も診療してもらえるのですか?

専門外の患者さんも診ますし、呼吸器の先生にも非常勤で来てもらっているので、お話ししてきた脳卒中や神経難病、脊髄損傷の患者さん以外の方ももちろん訪問することができます。ただ、小さいクリニックですので、いきなりお電話をいただいてもスムーズに対応できない可能性があります。訪問診療が必要だと思う時には、自治体の社会福祉課や担当のケアマネジャーさんに当院のことをご相談いただくのがいいと思います。

最後に読者へメッセージをお願いします。

松浦秀憲院長 調布狛江ホームケアクリニック6

何より、こういった特殊な疾患を抱える方に専門性のある在宅医療のクリニックでの治療が選択肢としてあることを知っていただき、うまく活用いただきたいですね。また、当院では呼吸器疾患や整形外科疾患などでリハビリが必要な方は訪問リハビリも対応しておりますので、ぜひ相談してください。当院を活用しなくても適切なところへ相談をして、適切な医療を受けてもらうことが何よりの願いです。

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