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田中 耐地 院長の独自取材記事

たなかメンタルクリニック

(海部郡蟹江町/蟹江駅)

最終更新日:2019/08/28

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「うつ病」という病気が広く認知されるようになった現代。社会生活が思うようにいかないほどに心身が疲れてしまうことがあると誰もが知る一方で、心療内科や精神科の受診に対して「ハードルが高い」と感じてしまう人は、決して少なくない。「病気かどうかを確かめるのが医師の仕事です。ご自分の中に『クリニックに行きたい』という気持ちがあるのなら、お気軽にお越しください」と語るのは、「たなかメンタルクリニック」の田中耐地院長だ。人の「体」ではなく「心」に関心を向けたことから、精神科の医師を志したという田中院長。患者の心と向き合うスペシャリストである田中院長に、診療のモットーや家族が病気になった場合の接し方、ストレスをためないコツなど、ふんだんに語ってもらった。
(取材日2019年1月15日)

治療の始まりは、患者の能力・性格・環境の把握から

医師を志したきっかけを教えてください。

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実は高校生の頃、特に関心を持っていたのは医療ではなく、人の「心」、つまり心理学の分野でした。高校時代といえば思春期ですから、部活の後輩がいろいろな悩みを先輩に相談してきますよね。私も演劇部の後輩からよく相談を受けました。自分なりに答えてはいましたが、カウンセリングの知識があるわけでも、心理学を専門的に知っているわけでもありません。人に良いアドバイスをできるようになるためにはそういった知識を学んだほうがいいのかな、と思うようになり、心理学に興味を持つようになったんです。医療の道を選んだのは知人の言葉からでした。私の関心事を話したところ、「それなら精神科の医師をめざしてみたら?」と言われたことをきっかけに医師をめざすことを決め、大学進学後も一貫して精神科の医師をめざし歩んできました。

開業にあたり、クリニックづくりでこだわった点は何ですか?

足を運ばれる患者さんは、心身ともにお疲れですから、少しでも穏やかな気持ちになっていただけるよう、院内は落ち着いた淡い色調でまとめたいと考えました。閉塞感を感じないよう、診察室や待合室には窓を残して、待合室には窓に面したカウンター席を用意しましたので、患者さん同士が向かい合うような形でお待ちいただくこともありません。待合室で診療を待つ間、他の患者さんや、付き添いの方の目が気になるということもあるでしょう。周りが気にならないように、椅子もすべて1人掛けのものを用意しています。

診療方針を教えてください。

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一番に大切にしていることは、患者さんの「能力」「性格」「環境」、この3つをしっかりと分析することです。患者さんが病気になるまでには、段階があります。まずは、生まれ持った能力や性格。その後に続くのが環境です。どんな場所に住んでいるか、どんな学校または職場に通っているのか、どんな家族や友達に囲まれているのか。その方の能力に見合わない仕事をしていたり、能力を無視されるようなことを家族や周りの人に言われたりすると、本人の心が耐え切れなくなって、病気になることがあるんですね。病気になると、ご本人はもちろん、特に家族の方が、病名や、どうやって治せばいいのかということにばかり目が向いてしまいがちです。しかし、患者さんがどういう方で、どんな環境で生活しているのかをきちんと分析できていなければ、治るものも治らないと、私は考えています。

受診するか否かを決めるのは、あくまでも“患者本人”

患者さんから話を聞く際に心がけていることは何ですか?

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医師として、というよりも、私自身が純粋に疑問に思ったことを、そのまま聞くようにしています。例えば、目の前の患者さんが、とても頑張り屋さんで、でもすごくつらそうな顔をしているとします。ではその方は、何を、何のために頑張っているのでしょうか? そんな風に、こちらが素朴な質問として投げかけることで、改めてご自分のことを、ご自身なりに考えていただくんです。すると、「実は誰からも強制されていなかった」ということに気づくことが多々あります。頭の中で、家族や周囲の期待を実際よりも膨らませてしまっていたのですね。患者さんは、ご自分のことを良くわかっているようでいて、実はわかっていないものです。実際と想像との矛盾に、患者さん自身に気づいていただくことが、治療の第一歩だと考えています。

治療を進める際、ご家族の理解や協力が必要となるケースもあると思います。

ご家族の方から、「家族が病気と診断されたが、どう扱っていいのかわからない」という声が寄せられることは少なくありません。腫れ物に触るというか、繊細なガラス細工を扱うような感覚がないといけないと思い込んでいる方が多いのですね。しかしこれは、実はあまりよくないことなんです。ご家族に気を使われていることはご本人にもわかりますし、気を使い続けていくうちに、ご家族も疲れてしまいます。病気の人とそうではない人を極端に区別する必要はありません。患者さんのご家族には、ご本人からすれば腫れ物に触るような扱いをされるほうがつらいんですよ、とお話ししています。特別なことをしてあげなければいけないのではないかと、ご家族のほうが気負い過ぎているので、肩の力を抜いてあげられるように心がけています。

お子さんの診療にも応じられているのでしょうか?

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現在は、対象年齢を中学生以上とさせていただいています。小さなお子さんまで対象を広げるかどうかについては検討中です。中学生ともなれば自分のことを自分で表現できるのですが、小学生以下のお子さんとなると、本人の話だけでは状況がつかめないので、お母さん、お父さん、ごきょうだい、おじいちゃん、おばあちゃん、場合によっては学校の担任の先生にまで来ていただいて、皆さんの話から状況を把握することになるなど、ある程度の時間を要しますので。ゆくゆくは、お子さんを診療するための仕組みづくりをしていきたいと考えています。

うまく“さぼる”ことを覚えれば、楽になれる

家族の様子がおかしいと思った時、病院に連れて行くべきでしょうか。見極め方を教えてください。

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ポイントは2つあります。まずは、社会機能がどこまで落ちているか。気分が落ち込んでいても、学校または会社へ行っているなら、すぐに受診が必要ということはないでしょう。ところが、まったく行かなくなってしまったとか、行きはするものの勉強に身が入っていないとか、仕事の効率が目に見えて落ちているのであれば、医療の手を借りたほうが良いと考えられます。そしてもう一つは、ご本人がどこまで困っているかです。ご本人は困っていると感じていないのに家族が無理やり病院に連れてきてしまうと、絶対に治療につながりません。困っていれば、自らの意思で受診したくなるもの。家族や周りの方が急かしてはいけません。受診前も受診後も、まずはご本人の気持ちを大切にしてあげることを一番にお考えくださいね。

できるだけストレスをためないよう、普段から心がけたほうがいいことはありますか?

常に100点を取ろうとするのではなく、60点の日があっても良い、80点が取れれば十分、というように、何事も肩の力を抜いて考えることです。完璧主義の方にとって、100点が取れないことはつらいことと思います。しかし100点を取れないことに心がとらわれて、ギスギスとしていると、周りとしてはどう扱っていいかわからないものです。時には失敗しても、さぼってもいいのではないでしょうか。さぼるのは良くないという人もいますが、いい塩梅で力を抜けなければ、高いパフォーマンスを維持し続けることも難しいです。もちろん、力を抜きすぎて失敗してしまうこともあるかもしれません。でも失敗は、多くの学びを得るチャンスでもあります。失敗しなければ、リカバリーの方法も身につきませんからね。疲れたら少し休む、失敗したら改善する。そうやって経験を深め、だんだんとご自身のペースをつくっていくことを大切にしていただきたいですね。

今後の展望を教えてください。

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まずは自分のできる範囲で診療をしていきたいと思っています。そして、人としての文化活動に関わったり、発信したりしていきたいですね。運動や音楽、芸術鑑賞は人の心を充実させたり、明るくしたりするために大事な要素だと考えています。私自身も音楽が好きで、趣味でイベントを開催することもあります。高校時代の演劇部でも、俳優というより音響係として舞台に携わっていました。患者さんをはじめ、クリニックに関わっている人々が文化的に充実できるようなイベントか何かを仕掛けていきたいですね。

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